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遥か高き空の日常  作者: 餡ころ餅
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船の修理・ラーメンそして密航者前編

貨物船護衛作戦から帰還したジェドは船を修理するために第11コロニーへと向かうことになった。

 現在俺は工業コロニーと呼ばれている第11コロニーに向かっている。11コロニーは宇宙・惑星探検家が使う飛行船の修理業者や武装などのパーツ販売業者の拠点であり界隈では11コロニーを出禁になるとそいつはもう探検家として活動することはできないだろうと呼ばれるほど俺たちにとっては必要な拠点の一つだ。

 「輸送船護衛の報酬金で買った最新刊おもしれぇぇー!」

 前に行った護衛作戦の報酬で買った漫画「自分の世界を描いて何が悪い!」の最新刊を読みながら壊れかけの宇宙船を運転していた。(ながら運転は危険だからマネしないように!)

 2時間後 第11コロニー内 リペアエリア 修理屋 スクリュー

「おーいリナの姉御いるかー?」

俺が声をかけると奥からつなぎを来た長身の女性が現れる。

「ん?ジェドじゃないか、修理でもしに来たのか?」

この人の名前はリナ、修理屋スクリューの店主兼エンジニアとして宇宙船の修理を生業としている。

「この前の仕事で大破とはいかなくても中破ぐらいはしたからね、報酬もそれなりに出たし修理に来た」

「 なるほどそういうことね、で?船は?」

「もうドッグに入れたけど」

「私の許可が出るまでドッグに入れないでよ。全く」

「だって他に船、見当たらないし」

「悪かったね客なし修理屋で」

「別にそうとは言ってないだろ、それとレンチを構えるなそれは武器じゃない道具だ」

「あんたの頭を修理するにはいい道具だと思うけど」

「何言ってんだ姉御」

「全く生意気なのは変わらないね、作業自体は3時間あれば終わるからそこら辺でも回っといて」

「3時間後な、そこらへん散歩しているから終わったら連絡くれよ」

そういってスクリューを後にした。

 第11コロニー レストエリア 

 レストエリアは工業コロニーで働いている人たちの休息の場であり、食堂や酒場などが密集している。

「腹減ったなぁ なんか食べるところねぇかなぁ」

しばらく歩くと一軒の食堂が見えてきた。店の名前は銀河軒というらしい。店の中に入るや否や

「このガキ!無銭飲食たぁいい度胸してるじゃねえか」と店主らしき人の怒号が聞こえてきた。

店主が捕まえているのは幼い子供。この子が無銭飲食をした犯人だろう。

「そこの兄ちゃん悪いが今は取り込み中だ。ほかの店をあたってくれ」

しかしこの辺りはレストエリアの中心から少し離れた店があまりない場所、食堂はここぐらいにしかない。中心部に戻って店を探してもいいのだが面倒だし何よりもう動く気力すらない。

「だいたいの事情は分かった、その子が無銭飲食をして捕まえた。それであってるよな?」

「あってるがどうするっていうんだ。こいつを警察に突き出さないといけない、それとも兄ちゃんがこいつの分を払ってくれるのか?」

「その通りだ。そいつの料金を負担してやるから問題はなかったことにしてくれ」

「そうか、ほらいけっ!運がいいガキだな」

店主は子どもを外へ追い出して厨房へ戻っていく。

「それで店主、あの子供が食べた料金っていくらだ?」

もし仮にあの子供がとてつもない大食いだったら最悪破産しかねないと思っていたがそんなことはなく

「そこにある一品だけだ。料金は750SCスペースクレジットだよ」

「それだけだったら払えるが、なぜあんなに怒った。確かに無銭飲食は犯罪で悪いことだがあの子供かなり幼かっただろ。」

「怒るに決まっているだろ兄ちゃん。俺は自分の料理を提供することが仕事でそれに応じて料金という対価をもらってる。提供するからにはこっちだって最高のもてなしをするさ、だけどなそれにお金を払わないでとんずらしようとしたんだ。あいつのやった行為は俺の仕事を裏切り、侮辱しているようなもんなんだよ。」

それに小さい子供ほどより厳しく教えてやるのも大人の責任だろと店主は続けて言う。

「確かにそうだな、仕事の誇りに対する侮辱か。すまなかった」

「別に兄ちゃんがしたわけじゃねぇだろ。で?注文はどうする」

「そうだな、じゃあこの特製ラーメン一つ」

「少し待ってくれよ」

数分後

「ヘイお待ち、特製ラーメン!!」

目の前に出されたラーメンはスタンダードな醤油ベースだった。

「いただきます」

一口目、口の中でうまみが爆発した。

「なんじゃこりゃぁぁぁぁあ」

うまみの暴力と例えるのが正しいのかそれほど口の中がうまみで支配されていく。

「どうだ?美味いだろ」

「美味いってもんじゃない、美味すぎる!!」

「そりゃそうだ本物から出汁をとっているからな。大衆店のようにスペースミートなんて使わねぇ。それが俺のポリシーってやつだ」

「本物ってことは高いんじゃないのか?」

「肉は高くて使えないが骨なら安く仕入れることができる。出汁は骨からとっているのを使ってる」

「具は海苔とメンマ、そしてなるとだけでチャーシューとか卵は入ってないがそれでもおいしすぎる」

「そうかい、そう言ってくれると作ったかいがあるってもんだな」

がっはっはと店主は笑う。

一口目から止まることなく麺をすすり続ける。たちまちすぐに完食してしまう。

「ごちそうさまでした」

食べ終わった後でも口の中にうまみが残っている。至福の時間は終わることを知らない。

完食後、会計を済ませて店を出るときに

「兄ちゃんまた来いよー」と店主が言ってきたので

「また食べに来るさー」と返した。銀河軒、リピート確定した瞬間だった。

そろそろリペアエリアに戻った方がいいと思ったためリペアエリア方面に歩き出そうとした瞬間、後ろから声をかけられた。

「どうしてあのとき私の分のお金を払うって言ったの?」

声をかけてきたのは銀河軒で無銭飲食をした子どもだった。

「あそこ以外に食堂がないから俺が困ると思ったから払った。それと無銭飲食はもうするなよ、全員が助けるとは限らないからな。こんなことはやめるこったな。」

「お金というものを持っていなかったし知らなかった。

「お金を知らないってもしかして異星人か?」

「そう」

コロニー内では友好的な異星人は就労ビザを取得することで入ることができるため時々見かけることができるのだがこいつは見るからに子どもだ、ビザなんて取れるはずもない。

「お前密航者だな」

「そうかもしれない」

「そうかもしれないじゃなくてそうなんだよ」

原則密航者は警察に突き出さないといけないのだが手続きが面倒なのだ。

「それでお前はこれからどうするんだ、こどもは働けないしビザも取れない、挙句の果てには密航者ときた。救いようがないし捕まれば国へ強制送還されるだけだぞ。」

「それだけは嫌だ」

「だったらどうする」

「どうすればいいのかわからない、でも絶対国には帰りたくない」

「はぁ・・・少し待ってろ」

このまま考えていても時間の無駄だ。

「もしもしナタリアか?」

「ジェド?今忙しいのよ後にして」

「そういうなよこっちも緊急事態発生で忙しいんだ」

「他の連絡員にしてよ」

「お前にしかできないんだよ」

「私にしかできない?何か面倒ごとに巻き込むつもり?」

「面倒っちゃ面倒だが」

「やっぱりパスで」

「そういわないでくれナタリア、お前だけが頼りなんだ」

「しょうがないわねそこまで言われたらある程度協力してあげるけど。第2コロニーの限定10食のケーキを報酬にしてね」

「あのケーキかよ!ゲットするのすごい大変なんだぞあれ」

「じゃあこの話はなしで」

「わかった、それで手をうつから」

「それで問題は?」

「今、密航者の子供を見つけたんだが」

それからはこれまで起きた事の顛末を話す。

「ということなんだが」

「ということなんだといわれても密航者は警察に突き出すほかないわよ」

「でもなんかこいつ何か事情があるかもしれない」

「根拠もないのによくそんなことが言えるわね」

「否定はしないが何が何でも国に帰ろうとしないんだよ」

「取り合えず警察で事情聴取しないと目的がわからないからどうしようもないわ」

「とりあえず警察か」

「ギルド長に取り合って保護してもらうように頼んでみるけど期待しないでよ」

「してもらえるだけありがたい」

「その子とはとりあえず行動を一緒にして、離れないようにね」

「わかった、ありがとう」

「ケーキ忘れないでね」

通信が切れた後、密航者に話しかける。

「とりあえず、一度警察に行くぞ。そこで俺の所属しているギルドが保護できるか判断する。」

「犯罪はしていないし一応身分証明書はある。」

「無銭飲食したろうが」

「確かに」

「ところで名前は?」

「プルト」

「俺はジェドだ、とりあえず一緒に行動してもらうからな」

「わかった」

こうしてプルトと呼ばれる密航者を連れて行動することになった。














キャラ紹介

リナ 修理屋スクリューの店主兼エンジニア。ジェドとは長い付き合い。

プルト 偶然出会った密航者。何か秘密がありそうだが。

用語紹介

自分の世界を描いて何が悪い ジェドの愛読している漫画、一人の画家が冒険の中で自分の描きたい世界を探していく物語

第11コロニー 通称工業コロニー 友好的な異星人が技術提供や就労のためにやってくることがある。

密航者 コロニーの検査を通らず入ってきた者のこと。犯罪歴がないのと身分証明書があるのを証明できれば注意だけで済んだりすることがある。意外と緩い。


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