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誘われしダンジョンマスター・未来紀行  作者: 北のシロクマ
第8章:封印の地ガルドーラ
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姉妹対決! アイリVSアイナ

 最大級の火魔法イグニスノヴァでさえ少し熱い程度とか、お姉ちゃん本当に規格外だわ。

 表面が硬いから肉弾戦はダメだし、魔法も大したダメージにはならない。敵に回したら絶望しか感じないわね。


「どうしたの~? かかって来ないならこっちから行くよ~?」

「ちょっと待って、今作戦練ってるから!」


 とにかく、こっちのペースで戦わないと防戦一方になる。何か手を考えないと……


「ふんふんふ~ん♪」


 グルングルンと腕を振り回しているお姉ちゃんを横目に眷族たちの様子を見る。

 アンジェラやリヴァイは押してるけれど、倒したところで直ぐに復活してるわね。

 ゴーレム姉妹や他の眷族も優勢で、ギアヒューマンだけなら脅威ではない。

 だけど……


「トドメだ――タイダルウェーブ!」

「ガハッ!」


 リヴァイの強力なスキルが多数のコンテナと一緒にDOを押し流す。

 壁に激突させて押し潰したものの直ぐに修復され、透かさず立ち上がった。

 まさか無限に復活する? 回数制限でもあれば希望が見えてくるんだけど……


「あ~もしかして~、あの子たちが消滅するのを待ってたり~? 」

「(ギクッ!)」

「バラしちゃうけど~、無限に復活するよ~」


 うっわぁ……希望の一つがあっさりと潰えちゃった。

 アンジェラとリヴァイがフリーなら何とかなりそうだったのに。


「待ちくたびれたから~、お姉ちゃんちょっと張り切っちゃうね~」

「ちょ、待っ――」

「ス~パ~ラリアット~!」


 スッ――――ガッ!


「グェッ!」

「まだまだいくよ~」


 マズった! 反応しきれずに後方へと飛ばされたわ。

 すぐに体勢を立て直そうとするも攻撃を緩める気はないらしく、透かさず真後ろへと回り込まれる。


「よ~い――――しょっと!」


 ドガッ!

 

「ゴハッ!」


 背中をおもいっきり蹴られた。

 まるでサッカーボールのように蹴り上げられ、再び飛ばされた先に回られる。


「は~い。3コンボ――っと!」


 ドゴォ!


「ガフッ!」


 最後はハンマーナックルで地上へと叩きつけられた。


 ボズン!


「――ったたたた……」


 連撃が止んだところでヨロヨロと立ち上がる。

 このお姉ちゃん、手加減どころか完全に殺しにきてるじゃない。

 鉄より硬い床にめり込んでおきながら生きてる私も私だけど。


「楽しいねぇ~。姉妹喧嘩ってこんな感じなのかな~」


 喧嘩どころか姉妹での殺し合いでしょ。こんなの親だって許さないし、私としても全力で遠慮するわ。


「大丈夫~? さっきより元気がないみたいだけど~」

「大丈ばないわ! それと元気がないように見えるのは、お姉ちゃんのせいよ!」

「そう~」


 そこで悲しげな顔を作る理由を教えてほしい。むしろ私が泣きたくなるっつ~の。主に痛みでね!


「しかしいくら倒しても切りがありませんな」

「そうじゃのぅ。妾も少々飽きてきたわい」

「飽きたんなら加減してくれねぇかい? 俺としちゃあ逃げ回るのが関の山なんだが」

「それは嫌じゃ」


 まだ余裕があるとは言え、リヴァイもアンジェラも体力が無限なわけじゃないし、先にモフモフたちがバテてしまう。

 どうせギアヒューマンとやらは復活と同時にスタミナも全快だろうし、いずれはこちらがバテてしまう。

 何か方法は――――ん? 無限じゃない?

 そうだ、その手があったわ!


「リヴァイ、アンジェラ、そいつらを戦闘不能になるまで追い込んだら、トドメは刺さないで!」

「承知しました。何か勝算があるのですな」

「うむ。飽き飽きしとったところじゃし、半殺しもよいかのぅ」

「モフモフたちもいいわね?」

「了解ですぜ!」

「「イェス、マスター」」


 倒すと復活するんだから、()()()()放置しとけばいいのよ。

 そうすれば邪魔されずに眷族の援護を受けられる。


「あらあら~、手加減するの~?」

「いいえ、手加減する気は更々ないわ」

「じゃあヤケクソ~?」

「今に分かるわよ――ファイヤーストーム!」


 眷族の様子を見ながらお姉ちゃんを牽制する。一定の距離を保ちつつ、魔法でチマチマとした攻撃をね。


「アイリちゃん、意外と消極的ね~。もっとガツーンとかましてくれないと、お姉ちゃん楽しくないな~」

「別に楽しませるつもりはないし――スプラッシュファイヤーボール!」

「う~ん、威力がいまいちかな~? じゃあお姉ちゃんがお手本を見せてあげるね~」

「いらないってば!」

「いくよ~、ドリルチャ~ジ~!」


 シュィィィィィィン!


「危なっ!」


 両腕をドリルに変形させての突撃を辛うじて避けた。あんなのが当たればグロテクス極まりない事になるっての!


「む~、避けてばっかりじゃつまらないじゃな~い。ちゃ~んと受け止めてくれないと~」

「その見返りに内蔵を抉られるとか洒落にならないんだけど!」

「も~ぅ、さっきから言い訳ばっかり~。ちゃ~んと楽しんでくれないと~」

「殺し合いが楽しくてなるものか!」


 笑顔で言ってくるから余計怖いわ。


「いいも~ん。そんなこと言うなら避けられないようにしちゃうから」


 プシューーーッ!


「煙!?」


 マズイ、お姉ちゃんが煙で見えなくなった! 仕掛けてくるタイミングが掴めない!


 ガシッ!


「なっ!? ワイヤーが!」


 煙の中からワイヤーが飛んできて、両手両足に巻き付いた。


「これで逃げれないね~。じゃあ特大なやつをお見舞いするよ~」

「クッ……」


 やってくるであろう激痛に備え、全身に力を込める。

 正面から迫るお姉ちゃんの拳に対して私は無防備!




 ガツゥゥゥン!


「――ん?」


 派手な音の割には痛みがこない。

 反射的に閉じてしまった目を開けると、目の前では頼もしい眷族がガッチリと拳を受け止めていた。


「待たせたな(しゅ)よ」

「アンジェラ!」

「あの4体はレイクが押さえつけておる。後はアイナ殿を倒せば終いじゃ」


 その言葉通り、遠くでギアヒューマンたちがレイクの下敷きになっていた。

 うん、これならいける!


「あれあれ~? 時間稼ぎが失敗しちゃった~?」

「うむ。(しゅ)の思惑を理解するのに(いささ)か時間を要したがの。リヴァイに言われて気が付いたわぃ」


 そこはすぐに察して欲しかった……。


「これで形勢逆転ですな」


 ズバズバズバズバッ!


 リヴァイが手刀でワイヤーを切断し、ようやく拘束から逃れる。


「ありがとリヴァイ」

「勿体なきお言葉。後は我々にお任せください――――フゥン!」


 ドゴッ!


「いった~い……」 


 さすがはお姉ちゃんとも言うべきか、リヴァイの蹴りを痛がりながらも両手で防いだ。


「ほれ、隙だらけじゃぞ? ――せいや!」


 バギッ!


「ガフッ!」


 アンジェラの蹴りをまともに受けて宙を宙を舞う。

 さ、ここからが本番ね!


「ルー、いきま~す」

「ミリーもいきま~す」


 ドスドスドスドスドスドス!


「グゥゥァァァ……」


 ゴーレム姉妹の拳連打を浴び、お姉ちゃんの顔が苦痛で歪む。

 けれど連打はまだまだ続くわよ。


「いくぜ野郎ども、俺に続けぇ!」

「承知した」

「……野郎じゃないけど続く」

「ワイに任せときや!」


 モフモフの牙にザードとペサデロの斬撃、これにホークの風魔法が加わりお姉ちゃんを床へと叩きつけた。

 そしてトドメはこの私!


「これで決めるわ――イグニスノヴァ!」


 シュ――――ゴォォォォォォォォォ!


「キャァァァァァァ!」


 ここで初めて悲鳴が上がる。

 何せ(まと)ってる最終兵器がボロボロだし、まともな守備力は無くなってるはずだもの。


「カフッ……凄いじゃない……。眷族と共闘したアイリちゃん……とても強かったよ……」

「お姉ちゃん……」


 襲ってきたから迎撃したけど、ボロボロで横たわる姉を見ると罪悪感が込み上げてくる。


「フフ、そんなに悲しい顔しないで~。元の世界でまた会えるから。だけど……」


 視線がレイクへと――いや、4人のギアヒューマンへと移される。


「あの子たちは完全なオリジナル。もう二度と会うことはできないみたい」


 元の世界には居なかったからね。


「もし……できればだけど……」

「ん?」

「あの子たちを……助けてあげてほしいの」

「た、助けるって……」


 戦意も害意もなさそうだから構わないけど、どうやって助けたらいいのか……。

 いっそ眷属として迎える? いや、それには同意が必要だし――あ!


「無理言って……ゴメンね……」


 サラサラサラ……


 方法を考えてるうちにお姉ちゃんもギアヒューマンも消えてしまった。


「助けられなかったか……」


 お姉ちゃんの願いだし叶えてあげたかったけれど、これはこれで仕方ない。


「はぁ~~~、疲れた……」


 ドサッ!


「あ、姉御、大丈夫ですかい!?」

「少し休ませて」


 気を張ってたから脱力感が凄いのよ。

 まぁ、これでフェルマーの予言とやらは回避できたし、よしとしよう。


アイナ「あら~、もう終わりなの~?」

アイリ「本当はあの4体と合体するところを、カットして一話にまとめたみたい」

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