表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/7

第二話:First encounter is —— (最初の出会いは——) 2 

 久しぶりの投稿です。

 筆者はここ最近アイルランド反英歌「靄の露」にハマりそうでございます(唐突。

 ______



 _エルディアン連邦首都 プレイディアル 大統領府



 大統領府の一角。大統領官邸西棟(旧ウエストウイング)施設地下に設けられたシチュエーションルームにて、大統領府執務室から席を移動した大統領ニッソンと各担当大臣その他各府要人らが楕円形のテーブルを取り囲むように椅子に座っている。


 「まずは各担当大臣、今回忙しい状況で緊急招集をしてしまいすまない」


 ニッソンからの謝罪に、エネルギー・資源担当大臣のアウグスタはゆっくりとした口調で応答する。


 「いえいえ、お気になさらず」


 「それで……今回の緊急招集の件についてだが……」


 「大凡察しがつきますが……ネオ・クレセント・シティの沖に突如として出現した国籍不明・船種不明の木造船……ですね?」


 経済・貿易担当大臣のフランクリンは、大統領が招集理由を語る前にそう言った。


 「あぁ、勿論それもある。だが問題なのはここからだ——」


 ニッソンは今知り得ている、我が国”のみ”が別惑星に位置しているとの情報を彼らに伝える。


 「は、はぁ……!?」


 「それは事実なのですか!?」


 各大臣から様々な悲痛の声が上がる。


 「これは宇宙域本部から伝えられた情報です。事実、ここに証拠写真が——」


 国防担当大臣のルイスはカバンから数枚の写真を取り出すと、無造作に机の上に広げる。

 その写真に大臣らは釘付けになる。


 「な、な、な…………」


 確かなる証拠を見て言葉を失う者、顔面蒼白になる者、その他様々な反応を各々は示す。


 「この話は長くなるから後でするとして……。フランクリン大臣。ネオ・クレセント・シティ沖合に現れたという木造船に関する情報は貿易を司る君が一番知っているはずだが……」


 フランクリンは虚無の感覚から脱すると、ニッソンの質問に答える。


 「あぁ……つい先ほど職員に彼の船に類似した船がネオ・クレセント・シティに寄港、停泊するかを確認させました」


 「それで……どうだったのかね?」


 ニッソンは重みのある言葉で尋ねる。

 フランクリンは一旦呼吸を整え、重々しく口を開く。


 「……どのデータ上にも、ネオ・クレセント・シティにてあの様な船々が寄港、停泊する予定があるかどうかは記載されておらず、現在出自を確認中です」


 その場にいた誰もが、恐怖に染まった顔でフランクリンを見つめた。



 _???視点



 木造船らが風に乗り……いや、今現在存在しないはずの風に乗って、ゆったりと岸に近づく中


 「俺達はただ、蛮族を殺すだけでいい……改めて気楽な仕事だと実感するよなぁ」


 「だな。それに今回は国家の為、家族の為にも成る。この仕事が終わったら家の家族に鱈腹(たらふく)飯を食わせたいよ」


 30隻ある戦列艦のうちの一つ。その上甲板の一角で、青と白を基調とした軍服を着る2人の男が話し合っていた。

 二人は共に、今回の蛮族国家デルタニウス王国上陸の先陣を切る兵士。

 それを示すかのように、すぐ(そば)の壁には我が国の魔導技術の技術の枠を集めて作られた魔導式ライフルが、レイピアのような剣が鞘に入れられた状態で腰に巻いたベルトからぶら下がっている。


 「あー……そういえば東部地域で飢饉があったんだったか?あそこは結構な量の食い物を納入してた場所だったからなぁ。蛮族が死んだとかは別に興味無かったが……」


 「ったく。蛮族はそこらへんにある草でも食ってりゃ良いのにさ、よりにもよって俺たちダーダネルスーザ人に奉納するための飯を食ったんだってよ?

 許されるわけがないよな?」


 「確かに許されないな」


 と、言った感じで会話を膨らませていると、偶然前を通りかかった今回の上陸の指揮を執るグラニアスが、けたたましい声で注意する。


 「お前ら、そろそろ我が船団は攻撃を始める!上陸に備えて小舟に乗っておけ!!」


 突然の注意に一瞬驚くが、今思えばそろそろ出撃の時間だ。

 二人は一瞬互いの顔を見合い、ほぼ同時に


 『Εντάξει(了解)!』


 と言うと、壁に立てかけられた魔導式ライフルを手に取り、せっせと小舟のある方向に走り去った。



 _視点をカーラに戻す。



 周囲の人々の視線は、カメラのシャッターは、全てが沖を航行する30隻程の木造船舶に向けられていた。


 「……」


 カーラは妙な寒気を覚える。

 と、言うのもあのような船舶……存在しているとしても、イギリスに保存されている帆船くらいのはず。それに、現代で著名な帆船を再現しようとする動きがあったとしてもそれは大きなニュースになるはず。

 ますます疑問が深まるばかり……。だがその疑問は、一瞬で払拭されてしまう。


 カーン……カーン……カーン……


 先ほどと同じ音程の金が3回鳴り、間髪入れず沖を航行する木造船舶数隻の右舷の突起物から一斉に白煙が上がる。


 ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ……


 奇妙な風切り音が鳴り響いた数秒後……。


 ッ——ガァァァァァァァァァァァァァァァンッ!!!!


 『 『 ! ! 』 』


 数十メートル先の港の一角係留されていた漁船が、港湾施設が、家が、大きな爆炎とともに爆発した。破片は海に舞い散り、直下の人々へと降り注ぎ、負傷者を生み出す。爆風もまた然り。近隣の建物の窓ガラスも爆風で粉々に破壊され、その破片は地面や家屋内に飛び散る。人々はその爆風により、あらぬ方向へと吹き飛ばされる。

 突如として訪れた平穏の崩壊。それにただの一般人である彼らに抗うすべはなく、一瞬にしてパニック状態に陥った。


 「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」


 展望台にいた人々はカーラも、ジョニーも含めスマートフォンを投げ捨て逃げる……が、中には例外的な人間ももちろん存在する。


 「おいおいおいおいおいおい!まじかよこりゃすげぇや!」


 恐れ知らずの野次馬。彼らは夢中でシャッターを切り、この情報をネット(大海原)へと放り投げる。

 だが、そんな彼らに都合のいい出来事は起きない。


 ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ……ッ——ガァァァァァァァァァァァァァァァンッ!!!!


 次の瞬間発生した爆発に彼らは巻き込まれ、そのほとんどが一瞬にして生き絶える。

 沖合に浮かぶ船舶らから無慈悲な第二射が発射されたのだ。

 それと同時に上陸部隊も上陸に向け小舟を海に下ろす。


 ——この街が地獄と化すまでの時間も、そう長くはないだろう。だが——彼らなら……。



 ______

 全部オリジナル言語にしたかったけど、そんなことしたら白髪増えそうだったからやめた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ