オートミールの和風仕立て
今日の彼女も、台所で一人コトコトやってるだけです。
久々に深酒が過ぎた休日の朝。
ウコンを流し込んで、胃の調子と相談する。
冷蔵庫の中は、相談できるほど存在していない。
残業続きで、スーパーに寄る気力もなかったのだ。
作り置きしておいた惣菜のストックも切れてしまった。
タッパーの中にキャベツの浅漬けが少しだけとか、物悲しい。
「これで体重落ちないどころかむしろ増えたって、どういうことなのよ……」
体重計に乗ってみて、うめいた自分の声で、頭痛がひどくなった気がした。
気分はそれ以上に悪い。
主に、目の前の数値のせいで。
こういう時は、食物繊維にしよう。そうしよう。
我ながらこの繊維に対する信頼はどこから来るのか。
繊維をとれば、体重は落ちるのだと信じている。
おコメを炊いていなくも、食パンも麺類も切らしていてもストッカーには欠かさずに常備してあるオートミールが心強い。
不味いと悪名高いこの食材だが、出汁で麦がゆ風に仕上げたものは結構いけると思うのだ。
今朝はオートミールの和風仕立て、トッピングはチーズである。
チーズがかかる時点で、和洋どちらともいえないが。
そもそもオートミールは和食とは言えないだろう。
まあ、美味しくってお腹にたまって、ついでにローカロリーならなんでもいい。
栄養素が取れるなら、もっといい。
「オートミールの食物繊維は玄米の……」
何とはなしに裏面の文を読み上げながら、シリアルボールを取り出した。
レシピというほどでもない、必要な数字は頭の中に入っている。
まずはオートミールをカップ一弱。
冷蔵庫に作り置きしてある昆布水のピッチャーを取り出して、しょうゆを一差し、塩コショウ少々。
チーズは隠し味に。
油物の高カロリーは食物繊維をとれば相殺されると信じたい。
仕上げにレンジに二分かければ出来上がり。
個人的には、硬めに作った方が満腹感がある、とおもう。
鍋の締めに作るおじやに卵を入れた時のような、あのもったりした感じがマイベスト。
二日酔いで胃がなにも受け付けない、でも何か食べたい、そんな今は流し込めるほど緩めだ。
「あ~。もうちょっと塩気が強くてもよかったかも??
でも塩分量が……」
一口食べて、考える。
二日酔いで舌がばかになっているから、美味しいと思う程塩を入れたら確実に塩分過剰だろう。
でももっと塩。
葛藤している時間はそんなに長くなく、おもむろに冷蔵庫のドアを開けた。
目的は、タッパーの中に少しだけ残った浅漬けである。
二リットルサイズの容器の中に漂うだけの量というのが、いかにも残り物というか。
惣菜の作り置きを一日の予定に書き込みながら、浅漬けを笊に開けて水分を切る。
オートミールの上に散らして再度、いただきます。
程よい塩気が舌の上に馴染み、遅い休日の朝はこうして始まった。
シュレッドチーズは適量です。