ふわりと麦わら帽子。
「今日、良い天気だな……」
空を見上げながらボクはそうつぶやいた
入道雲が空を泳いでるように浮かんでいる
こうやってずっと空を眺めていても飽きない
そんなボクの近くを初夏の爽やかな風が吹き抜ける
「あっ……あれは?」
風に吹かれて麦わら帽子が飛んで来る
ボクはそれを手に取った
誰の麦わら帽子だろう?
赤いリボンがついたやつだ
辺りをキョロキョロと見回す
1人の女性がこっちに来ている
顔に見覚えがある
「取ってくれてありがとう。久しぶり。ここに来てたんだ」
彼女はそう言った
「あぁ、久しぶり」
ボクは微笑みながらそう言い、麦わら帽子を返した
「ここ座ってもいい?」
「あぁ、もちろん」
ボクは笑顔でそう言った
どのくらいの時間が過ぎただろうか?
二人の話は尽きることがない
「そろそろ帰るね」
「えっまだ一緒にいられないの?」
「ごめんなさい。帰らないと」
悲しげな表情を浮かべながら彼女はそう言った
「もう少しここで一緒にいられないの?」
ボクは涙をこらえながらそう言った
「ごめんなさい。それじゃ…。会えて良かった」
「あっ待って……!!」
そしてボクは目が覚めた
夢を見ていたようだ
またキミに会えて良かった。たとえ夢の中だとしてもだ。
あの日、突然キミはボクの元を去った
別れの挨拶さえできなかった
だから夢の中でまた会えて良かった
いや……どうやら夢じゃなかったらしい
ボクの手元に赤いリボンがついた麦わら帽子が落ちていた
「会いに来てくれてありがとう」
空を見上げて一言そうつぶやいた
その言葉に応えるようにまた風が吹いた




