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★魔道戦艦まほろば、人類プロテクト計画★  作者: koimayu
★ 魔道戦艦まほろば ★
9/10

第9話 ★ 真由の想い、そして決断 ★

長期間更新できませんでしたが、ある程度の目処がたちました。


『まほろば』はいよいよ抜錨の準備に入ります。







デジタルビジョンの画面を消すと共に、デスクに収納されている折り畳み型のマイクを引き出す。


「総員に告ぐ。『まほろば』の抜錨が正式に決まった。抜錨時刻は明朝1000(ひとまるまるまる)だ。よって、施設外への交信は本日2030(ふたまるさんまる)までとする。加えて、2130(ふたひとさんまる)より『まほろば』の搭乗員は訓練施設Bに。整備班は『まほろば』の最終点検を同時刻より開始せよ。以上」


 真由は司令室の折り畳み型のマイクをデスクに収納する。


 背凭れに凭れて天井を見上げるような姿勢になる。


 そこには司令室を照らしているLED電灯、そして真っ白な壁しかない。だが、真由には他にも見えているものがあった。一番最近の事では、数ヶ月前のことになる。


 今でも目の前で起こったかのごとく鮮明に覚えている。自分のふねから見た銃弾やミサイルが戦闘地域に落ちていく映像を。


 第8次中東戦争、エジプト内戦、他にもたくさんの戦争に真由は参加していた。その度に昇進した。僅かながら嬉しいという気持ちはあった。だが、それはバッジの授与式での一瞬のみ。あとは後悔いや後悔というと攻撃をしたこと自体を否定するから少し違うが、それでも自分がトリガーを、自分が命令をしたことによってどれほどの命が奪われたものだろうか。死傷者は自然と伝わってくる。だが、その数字の幾らかは自分の手によって死んだ者達。だが、それによって仲間を、味方を、日本という国を守ることができたのだから自衛隊として当然のことをしたまでだ、官僚たちがそんなことを言っている。


 自衛隊という組織は名前こそ軍が付いていないものの中身は軍隊とさほど変わらない。政府の命令を聞いて、それを実行するのが私達。たとえ、それが非戦闘地域だとしても……。


『世界の警察』を歌うアメリカ。それは半分正しく、半分間違っている。


 軍事力は新ソ連を除けば、アメリカは確実にトップだ。だから、アメリカは自国に関連している国の戦争を軍事力で解決できる。だが、アメリカが大抵の戦争乃至は紛争の首謀者だったことは何度もある。もちろん、世界には絶対に漏洩しないように徹底してあくまで援助をしただけだと言っているが、それは逆に私達からすれば発端は自分達だと公言しているようにしか聞こえない。


 先日の国連安保理でも詳細は知らないが、明らかにアメリカは新ソ連に対して喧嘩を吹っ掛けている。それが『世界の警察』のやることなのだろうか。世界平和に本当に繋がっているのだろうか。


それはいずれ数十年が経過すれば見えてくるだろう。あるいは後世の歴史家に判断を委ねるしかない。


 私ができることは今、現在を考えること。そして、その結論は『まほろば』をアメリカに渡すべきではない、ということ。あくまで世界の平和を目的として造られた『まほろば』。初めは協力を完全に拒否していた魔道師が協力してくれたのはその目的を成すことを宣言して信用をしてくれたからこそ、『まほろば』は存在するのだから。


 迷いを払拭させた真由は目を開ける。

 

 戦争はもう始まっている。憎しみを増幅させるだけの戦争は既に始まっている。私達の戦争も今この瞬間から始まっているのだ。







次話では、乗組員のエピソードを書きます。


投稿は7月26日午後12時までを予定しています。


また、遅延することもありますので、随時活動報告にてお知らせしますので、お気に入り登録をしていただくことをお勧めします。



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