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★魔道戦艦まほろば、人類プロテクト計画★  作者: koimayu
★ 魔道戦艦まほろば ★
10/10

第10話 ★ 自衛隊は死傷者ゼロ!? ★

koimayuです。


最近、話題になっていた安保法案。


本話では、そのもとに書いています。









羽下ばか、今だったら通信室は開いてるわよ」


 抜錨までの時間が迫る中、本土にいる家族との連絡をし終わっていない隊員に通信室を使用する気があるかを美咲はまだ本土との連絡をしていない者に通信室を使うかの確認をしている途中だったのだ。


「バカって呼ぶな。俺は羽下はしただ」


 二人の挨拶だろ、バベルの館内にいる者は皆がそう言う。それくらい見慣れた光景だということだ。


「あー、はいはい。それで使うの?」


 美咲はりょうのツッコミを軽くあしらう。


「いや、俺はいいわ」


 その答えに美咲は思わず、ずっこけそうになる。通信室に来れていなかった者は、受け持ちの作業に負われているからだ。つまりは、できることなら皆早く通信室に行きたいのだ。


 一方で、涼の方はというと戦術マニュアルの復習などをしておけば良いだけだ。補足として付け加えておくが、涼のように特殊任務に選抜されている者は阿呆ではない。よってマニュアルは明確に記憶しておくのは普通、日常的にやらなければならないことだ。結果的に、『まほろば』内での自分に関わる調整が終わっていれば自由時間になる。だから涼は、自由に、していたのだ。


「何でよ!?あんた、家族いるんでしょ?」


 美咲にとっては、万が一の可能性が無くは無いのに家族との通信ができるこのチャンスを逃すということが信じられなかったのだ。だが、涼の表情が自身の問いを聞いた途端に豹変したことで、一つの結論に達する。


「生きていたらコイツも通信していただろうけどな」


 その想像が正しいことを証言したのは美咲が歩いてきた方向から現れた洋介ようすけだった。涼は先程の一言から何も発さずに突き当たりの角を曲がっていった。


「お亡くなりになったの?」


 いつもは敬語など知らないかのように話す美咲だったが、さすがに丁寧な言葉使いで聞くべきだと思ったのだ。


「まあな」


 洋介は近くに設置されている自動販売機からコーヒーを二本買うと、自分はその前に置かれている長椅子に座る。どう?と内一本を美咲に勧める。美咲は男から何かを貰うことを基本的に好まないが、何となく受け取ることにした。


「あいつの親は戦死したんだって」


「えっ!?そんなはずは……」


 さすがに戦死という言葉を聞くと驚かずにはいられない。なぜなら美咲達、いや日本国民には現在のところ自衛隊の戦死者はゼロと聞かされていたからだ。だが、30年ほど前に定まった安全保障法新三要件で消極的攻撃主義となった日本は海外派兵は至極普通になっている。そして、戦闘もそれなりに起こっている。園中で日本は先頭による死傷者はゼロだと歌っていたから、これまで国内の反応はそれを容認しているような雰囲気があった。


「そりゃ、俺も初めはそんなはずはないと思ってたけどさ。けど、この前の任命式の時にそれが本当なのかもしれないってさ」


美咲は洋介の言っていることをすぐに理解した。


『これから指名された者は、故郷に帰られなくなるかもしれないことを理解した上で受けるかを決めよ』


 存在そのものが機密である『まほろば』はその存在を例え自衛隊の一員であっても、極一部の者にしか教えられていない。そして、上官が言ったその言葉はわかりやすく言うと、もしも戦闘で死亡したとしてもそれは公にすることができないということを言ったのだ。だからこそ、自衛隊は戦死者がゼロなのかもしれない。美咲はそう思った。死さえも家族に知らせられなかった人がいるからこそ、自分達がいるのかもしれない、とも。


「さらに悪いことに、涼は両親共に自衛隊だった。だから、涼は幼少期以外は本当の親に育ててもらってないんだと。それで自分の目で確かめたくなったんだって、自衛隊がそんなに大事なところなのかって、さ」


 気が付いた時には、洋介の話に聞き入っていた美咲。思い掛けないおそらくは真実や涼の過去はそれほどの効果を持っていたということだ。


「でもこんな話、羽下先輩の許可なしに私に話しても良かったのですか?」


 何かあまり意識しない内に色々な情報を耳にしてしまったと美咲は思った。


「あー、いいんじゃないの?」


 洋介の答えは呆気あっけからんとしたものだった。


「い、いいんじゃないのって」


 美咲はそんな軽くて大丈夫なのかと思う。


「だって、涼はたぶんこの話をすることを予想していただろうから無言で了承したんだろうし、もっと言うなら、今の話は全て隠匿されている話だから例え知ったからといって容易に口を滑らせることはできないだろうしって言ってたしな」


 洋介は笑いながらコーヒーに口を付ける。


 美咲は、本当に自分が聞いても良かったのかが心配に成り始めていた。


「そんじゃ、俺はこれで」


 そんな美咲を置いていくかのように洋介は無慈悲にも立ち去っていった。後に残された美咲は思わず、溜息を付いたのだが、それは攻められることはないだろう。








次話投稿は8月9日午後12時までを予定しています。

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