譚之陸 狂闘 その四 祈りは呪と交われり
兎角、この”世界”は ままならぬもの。
ならば、諦念し、限られた現実の中で生きて行くか?
そうして自身を取り巻くガラスの檻を努めて忘れゆこうとするか?
諦めるか?
『否!!』
ならば、どうする?
神に祈るか?
よかろう、祈るとしよう。
しかし、祈りは神に達しない。
何故?
疑念、神はこの矮小な存在自体に目を向けているのだろうか?
神は万能故、すべてを見通す。
ならばなぜ、神は我の願いを叶えない?
やはり、我らの存在はあまりにも矮小すぎて神の目には入らぬのか?
『否』
では、すべてを見通していて、なぜ我の願いは叶えられない?
我の祈りはもとより神の耳には届かぬものか?
『否』
では、何故?
祈る者は我のみではない。その願い全ての方向性にのみ神は手を伸ばされる。
祈る者は人間のみではない。この”世界”の生命の方向性のみを神は叶えるのだ。
では、その方向性が我の祈りの方向性とちがっていたならば?
我らはただ、その方向性の中に身をおかねばならぬのか?
『否』
では、どうする?
さらに神に語りかけるか?、もっとも力強い声で、他の生命の声を圧倒するほどの祈りで?
しかし、神は聞くだろう。万能なればこそ、微かな生命の声を
そして?
問いは最初に戻る。
ならばどうすればよい? どうすれば?
ならば、我らは神を創ろう。我らは我らだけの神を創ろう、我らの、我らだけの神を!!