表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/60

譚之陸 狂闘 その弐 黒き疾風

「分断されたか…」言ってなめらかな動作で彼は自分の口元の煙草に火をつける。目前、黒い疾風かぜが彼の喉元に迫り、ヒタ、と止まる。喉元にその鋭い爪先つまさきを突きつけられながら彼はふてぶてしくその凶器つまさきの持ち主に言う

「殺さないのか?」

「殺して欲しいのか」問われた漆黒の男もそれに不機嫌そうに返す。

「いいや」

「では、なぜけようとしなかった」

「ただの人間風情が妖怪に勝てる道理はないからさ」

「ふざけるなっ! そんな答えで俺が納得するとでも思うのかっ!!」

「事実だ、この前は運が良かった」その爪先を無造作に自分から離し、男は彼に答える。

「このまま、ただ殺したのでは飽き足らぬ。死力を尽くしてなお、かなわず、惨めったらしく命乞いをするお前を殺したいのだ」

「…、お前が百数える、俺が逃げる。”狩人と獲物”という奴だ。どうせお前を倒さない限りここから先には行けないのだろう」しばしの静寂の後、青年は一つの提案をした。

死の遊戯デス・ゲームか、あきれるな」真意を探るかのように男は提案者の瞳の奥を覗き込む。


「少なくともただ死ぬ気はないさ」それに答える青年に浮かぶのはふてぶてしい笑み。

「よかろう、それこそ我が望むところ。百、いいや二百だ、そのうちにせいぜい無駄な小細工をろうするが良い、そして後悔するが良い。時間は貴様の心を絶望で染め上げる」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ