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譚之陸 業 その壱

「うんっ、拓磨たくまぁ」寝ぼけながら彼女は側にいるはずのもう一人の存在を確かめる為にその手を動かした。まさぐるようにして、…その手が愛する男の温くもりを伝えてこない異変じじつに気づき、彼女はハネ起きた。

しまったっきやぁぁっ! 青瀬かれから見張り頼まれてたのきのうにっ、どーしよっ? 昨晩はヤリすぎちゃったしな、…さすがのアタシも鬼の体力にはかなわんなぁ …きゃはっ 乙音おとねちゃんってばえっちぃ……って余韻にひたってる場合じゃなかった、早くみんなに知らせないと」

そのつややかな美貌かおに”狩人かりびと”の顔を取り戻し、彼女は疾りだした。


*


 鬱蒼うっそうと生い茂る木々は人々の侵入を拒んでいるかのようだった。いや、事実そういう目的の為にこの森はあるのだろう…

 

 ”妖しあやかしおきな”と、この森の主じ、この町を造りそして”わざわい”をふりまいた者は、そう呼ばれていた。そいつのもとへ今、僕は向かっている。彼が”妖しあやかしおきな”と呼ばれるようになるまでには多くの時間を必要としたが、その永い年月あいだ、彼は何故か自分の存在を隠すかのようにひっそりと生きてきた。そしてこの町ではとうに忘れさられた存在じんぶつだった。その彼が何故 今頃になって自分の存在をあらわしたのか はわからない。あるいは、ただ静かに彼の側を過ぎゆきた年月こそ彼が腰を上げる迄にたちあがるのに必要な年月じかんだったのかもしれない…

 ただ僕が知った事実。彼は神になろうとしているという事だ。その為に僕達は”根”を 植えつけられられた。つまり、僕達は彼のその壮大な計画の為にランダムに選び出された実験データテストサンプルというわけだ。さらに彼の言を借りるなら、僕はその中でも貴重な失敗データモルモットというわけだ。それで奴らは僕を捕獲しようとした。計画を完璧にする為に…、僕は奴らを許す事は出来ない。たとえ彼が”神”と呼ばれ、人の人生に介入することを許された者だとしても…

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