表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/60

譚之弐 忌譚 その伍

 友人達 ―まぁ、一人は今日知り合ったばかりなのだが― が半ば強引に祖父に追い返された後、しばらくはまたあの重苦しい沈黙がこの部屋を支配していた。


「”そいつの名は””と言う」

長い長い沈黙のすえに ようやく祖父はただそれだけを僕に云ったつげた

「”根”?」

「”根”とは、その名の通り取り憑いた者の体の中に根を張りめぐらし、その者の体を奪っていくという妖しあやかし

祖父はあまり”根”について語りたくないようで、そこで言葉を切り、次の言葉を発するまでに かなりのができた。

「そして”根”とお前の意識は次第に入れ替わってゆき、お前と”根”との意識が完全に入れ代わったとき、お前の意識を持った”根”の部分が落ちる。それと同時にお前の意識は死に絶え、”根”が富井とみい 拓磨たくまの体を操る…、そういう目的のために造られた人造じんこう妖しあやかしよ」

「人の造った?」

「くけけっ、その通りよ。なかなかの博学じゃねぇかよ、このくされチンボッ!! グゲッ!」

蘇奈かずひろに代わってヤツにエサを与えていた母が祖父の言葉に その手を一瞬止め、その隙に”ヤツ”が騒ぎだしたが、それでも母は黙々と単調な作業に戻っていった。まるで何もかもが遠い世界の出来事だとでも言うかのように…


「そうだ、人の造った妖しあやかしよ、人が神になろうとして造ったもの… いや、その試みはことごとく失敗したと聞くが、その過程のなかでさまざまなものが産まれた、この”根”もそのうちの一つよ」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ