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食べ方が生まれた日

 アイツか、父親の仕業だ。2人暮らしだし

他に人はいない

年末の町内会の集まりに出て、そこで出された菓子パンを持ち帰ったわけだ


それでその菓子パン誰が食べるんだ?

あんたが甘いものを食べないのは知ってる

自分が食べない菓子を、俺が通るコタツの上に置いた。


俺に食べろと


人がどれだけ苦しんでいるのか全く理解していない

それ食ったら、お前の息子死ぬんだけど

そういうとこだぞ、無神経な行いで人に嫌われるの


コタツの上のあんぱんを掴み取る

壁に投げつけてやりたいけど、それをしたら袋が破れて、中身が飛び散る、誰が片付けるんだ


どうしようか、これ、捨てるだけだけど

握ったあんぱんを手に立ち尽くす時間が過ぎる

ふと、頭の奥底、自らの手が届かないところで

何かが回転した


待て待て、こいつらどうせ捨てるだけ、誰も食べない

それは決まっている

勝手に持ってこられたものだし、俺は何も悪くない


誰も食べないなら、捨てる前に俺の口に入れてみる

それから捨てても同じだろう

口の中に入れ、飲み込まず吐き出したらどうなる?


糖質制限が続けられないのは我慢が続かず

甘いものを食べてしまうから


その限界が来たとき、口の中で甘みを感じられれば

続けられないか

甘みを感じるのは口の中だから

飲み込まなくても、ある程度満たされないか

口の中までだ


ボクシング漫画でも減量の限界に達した登場人物は

何かを口に入れ、限界をごまかしていた


あるジムでは、減量に苦しむボクサーがそのコップの水で喉を湿らせ、と言われていた、

そしたら、そのコップの線の所まで、水を戻せ

できなければ、わしはお前を見捨てる


そのボクシングジムで出された飲み物

決して、口をつけてはならぬ


飲み込まずに吐き出す、それを菓子パンでやれば

生き残れるかも、やれるかもしらん


右手にあんぱんがあった、左手にメロンパンを持つと

そっと、自分の両胸に押し当て、もんでみた





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