1章 ー03
絹のような黒髪に梅柄の着物。
金色の瞳がはっきりとしており、また猫のような印象の目である。
「あら、やだ、死にかけじゃない」
言葉と裏腹に朱奈はころころと笑った。
「朱奈、彼女は大事な客だ」
白拓が透子を庇うように間に入る。
「ふ~ん」
値踏みするかのように朱奈が透子を見下ろす。
「命だけあったら良いんでしょ?だったら骨を治す必要なんてないじゃない」
「朱奈」
咎めるように白拓は朱奈の名を呼んだ。
「何よ、白拓が治したって見たら分かるわ」
それが気に食わなかった朱奈はそう言い放ち、ツンとそっぽを向いた。
(骨を治した?)
そんな馬鹿なと、朱奈を見上げると、それに気づいた彼女と目があった。
朱奈は可笑しそうに目を細める。
「貴女、分かってないんでしょ。私達が妖かしだってこと」
人間て愚かねと朱奈はクスクスと笑う。
(え?妖かし?)
「脆い上に愚かだわ」
「はぁ……」
白拓は溜め息を吐くが、朱奈は笑うのを止めなかった。
(どう見ても私と変わらないくらいの女の子だけど、さっきの快くんの耳……)
快を見ると、目を泳がせている。
「良いこと?白拓も私も人間なんて大嫌いなの。ここにあんたの味方なんていないわ。その事は覚えておいて頂戴」
朱奈は満足したのか身を翻す。
「そうそう、それと……」
朱奈は足を止め、振り向き、白拓の頬に白魚のような手を添える。




