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3章 ー08
ナツはその戸を開けると土間があり、農具が置いてあった。
「その戸を開けたら外に出れれんと。かいちゃんと、だくちゃんが今度、春に巻くキャベツ植えようって言っとるげん」
(快くん……)
快の名に透子は目を伏せた。
(私が聞いたからだろうけど、何の躊躇いもなく教えてくれた気がする)
『妖かしに良い奴も悪い奴もいねぇよ』
白拓が言っていたのはこう言う事だろうか?
「さ、おらはちょっと土見てくるわ」
「私も後で行くね」
「おん。先行っとるね」
土間でナツを見送り、透子は屋敷に戻る。
右手にあった帯戸がなくなっている。
奥が日の光に照らされているので、向こうに玄関があるのだろうと透子は思った。
(自由に歩けるようになったからかな?)
透子が何気なしに部屋に戻ると、香炉が部屋の真ん中に置いてあり、その側には黒猫が寝転んでいるではないか。
「わぁ、きれい」
その黒猫は毛づやが良く、毛が濡れているかのように美しかった。




