3章 ー07
「あん?なんか言ったか?」
「いえ、なにも」
(こ、心の声でも聞こえるの!?)
透子はどぎまぎする胸を押さえた。
「ほら、こっち向けよ」
透子は遠慮がちに白拓に顔を向ける。
白拓は前髪を分けている透子の額にふっと息をかけた。
「これで良い。外にも出れるが結界の外には出るなよ。まだお前を探している奴らがいるんだからな」
「うん」
封印を解く為とは言え、なんだかんだ透子を白拓は蔑ろにしない。
それがなんだかむず痒かった。
「昼はあの婆さんと食うか?」
白拓は立ち上がって、着物を直す。
「うん」
「持って行くから先に行ってろよ」
襖に手を掛け、顔だけを透子に向ける。
金色の髪がサラリと彼に流れ、それがまた似合っていた。
「有り難う」
「あぁ、後でな」
口角を上げ、白拓が出ていった。
白拓に言われたままに、透子はナツの部屋に訪れた。
「あらぁ、透子!ちょっと、ちょっと」
「え?何?」
「長年痛かった腰が痛くないが!どうしたことかねぇ」
ナツは目を白黒させている。
(白拓が言った通りだ)
杞憂ではなかった事に透子は笑みを洩らした。
「白拓が良いお医者さん連れて来たみたいよ」
透子はクスクス笑いながらナツの側へ行く。
「はぁあ。すごい人だねぇ」
目を開いて驚くナツに(人ではないのだけど)と、透子は苦笑いを浮かべた。
「そう、そう。その田原さんがね、これまたすごい物を用意してくれてんちゃ」
ナツが部屋を出て、透子もそれに続く。
(あれ?)
いつの間にかナツの部屋が角の部屋になっており、壁に木の戸が付いている。




