3章 ー06
白拓は空いている方の手で透子の髪を引っ張り、二度目の口づけを交わした。
ゆっくりと白拓は透子を離す。
「ちゃんと今度は目を閉じていたんだな」
ニヤリと笑う白拓に、真っ赤な顔で恨めしそうに透子は彼を見上げる。
「なぁ、俺はその案にのってやる」
白拓は透子の髪を指で梳きながら話す。
「だが、お前を毛嫌いしている朱奈がそれで納得すると思うか?」
ニヤニヤしている白拓を透子は叩いてやりたい心境であった。
「ずるい!」
「何がずるいんだ」
叫ぶ透子の声に白拓は耳を塞ぐ。
「それ含んでの契約なんじゃないの?!」
「朱奈以外の妖かしなら俺がどうとでもしよう。だが、あれは無理だ。俺の言う事も聞かん」
(白拓の言う事さえ聞かないのに、私の言う事なんて聞く筈ないじゃない!)
「そうそう、この屋敷を自由に歩けるようにしてやる。朱奈の事もあるからな」
「それはどうも」
がっくりと項垂れたまま透子が顔を上げずに返事をする。
「額を貸してくれても良いが、先程の方が良いが?」
"先程の"に思い当たり、透子は慌てて顔を上げ「すみません、有り難うございます!」と、額を畳に付けた。
「分かっているじゃねぇか」
白拓が機嫌の良さそうな声でそう言って笑う。
(この冷徹狐!)




