3章 ー04
「あん?」
白拓が寄ってきた透子に顔を向ける。
二人の距離は30センチしか離れていない。
「あのね、人間にも悪い奴とそうじゃない奴がいるの。妖かしだってそうでしょ?だから……」
透子は必死だった。自分のせいで人類滅亡なんて御免である。
「あのなぁ、妖かしに良い奴も悪い奴もいねぇよ。なんか勘違いしてないか?ただ俺らはしたいようにしてるだけだぜ」
面倒臭そうに白拓が答える。
「それに、人間は窮すると他者を排除する生き物なんだよ。自分だってそんな目に遭ったろ?お前を排除すれば雪が止むなんて思っる連中だって、常日頃悪い奴と言ったらそうじゃない。凍傷で死人が出るからの行動なんだよ。そう言う意味で人間は完全悪だな」
分かるか?と白拓は透子を見てクスリと笑う。
透子は黙って俯く。
(だからと言って……)
透子はある事に気が付き、顔を上げた。
その時の透子の力強い瞳に白拓は笑みを引っ込める。
「白拓はばっちゃんを助けてくれるって言ったわよね。だったら人類を滅亡させたら契約反古よ」
透子の真っ黒な瞳が白拓を映し出していた。
(本当にこいつは馬鹿なのか、聡いのか……)
白拓は透子の瞳に映る自分を口角を上げた。
「お前はやっぱり面白いな」
白拓が透子の頬を長い爪をした指でなぞる。
ビクッと透子は身を固くした。




