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3章 ー03
(少し言いすぎたか……?)
白拓は三年前、透子を見つけてから彼女を秘かに見ていた。
捨てられた事も知らず能天気に笑う透子に苛立ちを感じていたが、時折、仲の良い親子の後ろ姿を淋しそうな顔をして見る透子と、幼さい頃の自分の姿と重なり複雑な心境になる事もあった。
「とう……」
「白拓!」
珍しく優し気な声で名を呼ぶ白拓に気づかず、透子は涙を拭い、彼の名を呼んだ。
「結局、さっきの人は何者なの?」
白拓は目を白黒させたが、透子の真っ直ぐな瞳にニヤリと笑みを浮かべる。
「"姫巫女"だよ」
「姫巫女?」
「昔いた強い陰陽師の子孫らしい。俺ら妖かしを封印できる霊力がある」
「封印……」
「そう。封印できるってことは、その封印を解くことも出来る」
白拓は深沓を糸屑に戻すと、今度はそれを煙管に変え、それを吸う。
透子はその様子を瞬き一つせずに見ていた。
「……なんだよ?」
白拓が透子を見つめ返す。
「凄いのね……なんでも出来るんだ……」
「あぁ、そうだな。だが、封印は解けない」
白拓は皮肉でもなく、ただ事実としてそう言って煙管の煙をふーっと透子から離れた場所へと解き放つ。
「ねぇ、白拓」
透子がしゃがみ白拓の少し側に寄る。




