3章 ー02
「つまりさっきの女は、お前と同じ母から、ほぼ同時に産まれてきたんだよ」
白拓の言葉に透子は自分の頬が紅潮するのが分かった。
「私のお母さん……」
ナツが全てであったが、母と手を繋ぐ子供を見て羨ましくないかと言えば嘘になる。
どこかで淡い期待をしていた。自分の母親がどこかに居ることを。
「はぁ。だからそれは空なのか?」
白拓が頭を指す。
「お前は殺されていた筈の子供なんだよ。だから、見つかって命を狙われている。今年のまだ止まない雪はお前が生きているせいだのなんだと、因縁をつけてくる人間共にな」
これだから人間は嫌いだと白拓が毒づく。
(殺されていた筈の……)
透子の視界が滲み、鼻がツンと痛くなった。
「で、でも」
透子は目を伏せたまま抗議する。
「私が生きているって事はお母さんが生かしてくれたって事でしょ?」
チラリと白拓を見た。
「それは多分、お前の方が霊力が強いからだろ。あの屋敷で何かしら手解きを受けているあいつと、お前の霊力に差異がない事からして、お前は霊力の強さは生まれつきだろうからな」
白拓はドカッとその場に腰を下ろした。
彼の金色の髪もそれに合わせて波打つ。
「要は、殺すには惜しくて遠くに置いてきたって事だろ」
白拓の棘のある言い方に胸がチクリと痛む。
「ちなみに、お母さんは?」
「亡くなった。去年だったか、一昨年かに」
「そう……」
透子はそう言うと黙ってしまった。




