3章 ー01
人間嫌いの野狐・白拓に助けられた透子。
透子は、白拓が自分を使って九尾の狐を復活させ、人間界を混沌に陥れようとしているのを知り、白拓の屋敷から逃げだした。
だが、近くの人里の屋敷には自分にそっくりな人がいてー
透子は大人しく白拓の脇に抱えられ、彼の屋敷のいつもの部屋にストンと、下ろされた。
「待って!」
黙って出ていこうとする白拓の行く手を、襖の前に立ちはだかって阻止する。
「教えて欲しいの」
透子は苦手な薄茶の瞳を挑むような真剣な眼差しで見る。
「快くんは名前を教えてないのに知っていたわ。勿論、ばっちゃんの事も知ってた。貴方達は以前から私達を観察していたの?」
「観察ねぇ……」
人型である必要のなくなった白拓が妖かしに戻り、面倒臭そうに頭を掻く。
「別に観察していた訳じゃねぇよ。ただお前には目を付けていた」
「……どうして?」
(あぁ、そうか)
言ってから、透子は理解した。
「きゅうび様の封印を解くのに、さっきの子にそっくりな私が必要なのね。だから私に目星を……」
「なんだ思っていたより賢いのだな」
白拓は目を丸くして、それからくつくつと喉の奥を鳴らす。
「なぁ、お前さっきのを見てどう思った?」
白拓が目を細める。
「どうって……」
「綺麗なべべ着たそっくりな奴を見ても何も思わなかったのか?」
やっぱり愚図だなと白拓が笑う。
「お前、知らないのだろ。双生児は畜生腹だと忌み嫌われ、片方を殺す習慣がある事を」
「そうせいじ?」
初めて聞く言葉に透子は瞬きする。




