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2章 ー08

 その頃、白拓の思いとは裏腹に透子は人里に安堵していた。


 兎に角、体が冷えて仕方がない。


 人の良さそうな人に……と思うが、こんな雪の積もった日に人なんて早々おらず、透子は途方に暮れた。


「麗華様?」


 子供も声にゆっくりと透子は振り返る。


「おっかぁ、麗華様が……」


(麗華様?)


 初めての土地の初めて聞く名前。


「そんな馬鹿な。あっれぇ?本当だ。どうしてそんな格好で?兎に角、中に入って下さいな」


 透子は良く分からないまま母子に手を引かれ、家に入って行った。


 囲炉裏の側で甘酒を飲んで温まる。


(有り難たいけど、誰かと勘違いしてるんだよね)


 家にはこの母子以外誰もいない。


 透子は気が引けた。


「すずえ、麗華様をお屋敷まで送って差上げて」


「はぁい」


 結局、透子は何も言えず深沓を借りて、麗華の屋敷まで送ってもらうことになった。


(屋敷の前で別れたら良いよね?)


 すずえと呼ばれた女の子のが透子の手を引く。


 女の子は門のある大きい屋敷の前で足を止めた。


「麗華様、内緒で出てきたの?大丈夫?」


 強ばる透子に女の子は心配そうな顔を向ける。


「ううん、大丈夫。お母さんの所に戻って良いのよ」


 透子は屈んで女の子に視線を合わし、深沓を渡してそう言った。


(それにしても大きい家。本当に家なのかしら?)


 塀がぐるりと屋敷を一周しているようだった。


 どうしようかと悩んでいると内側から門が開いた。


 「お帰りなさい麗華様」


 違うと言う前に男が透子の腕を引っ張り門の中へ。


「探す手間が省けたな」


 男がポツリとそう言った。


(この声……)


 透子の足が強ばる。


(ばっちゃんの家に押し掛けてきた……)


 くるりと透子を振り返り見る男の手は刀の抦にかけられている。


「自分から来てくれるとは、ついているな」


 すらりと刀は抜かれ、キラリと光る。

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