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2章 ー07
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白拓の結界が張られているこの屋敷での出来事に彼が気づかない筈がなかった。
(透子?)
屋敷内にあった彼女の気配が消えている。
「ちょっと失礼」
白拓はゆるりと妖かしの間を抜けて、部屋から出た。
出ると、直ぐさま壁に手をあて、結界の外へと飛び出した。
外は肌に刺さるような寒さであった。
(人とは不便なものだな)
結界から出る際に人型になった白拓は寒さに震えた。
袂にあった糸屑にふっ息を吹き掛け深沓を用意した。
(透子……)
白拓は深沓を履き、透子を探す。
白拓が歩くとザック、ザックと雪を踏みしめる音がする。
暫くすると足跡を見つけた。
「ちっ」
白拓は舌打ちする。
透子はこの雪の中、裸足である事に気がついたのだ。
急いで足跡を追い、途中でその足を止める。
(まずい事になったな)
白拓の眼下に広がる人里を見て、彼は美しい顔を険しくする。
静かにゆっくりと目的地に移動していた白拓の屋敷はいつの間にか彼女のいる所まで来ていたのだった。
(なんとかせねばなるまい。だがどうやって……)
白拓は険しい顔で暫く人里を眺めていた。




