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2章 ー06


「白拓様は親の仇である《《人を滅亡》》させるべく、九尾様の封印を解こうとされているのです」


 もう一度、しかし丁寧に、快は何の躊躇いもなくそう言った。


「ひ、人を……」


 喉が乾く。


 透子は自分の唾を飲み込んだ。


「戦争などという下らないものを起こす人類など不要だろうと白拓様が……」


 快の声が遠くに響いているような、頭に靄がかかっているような感覚がする。


『身を捧げるんだろ?』


 夢で聞いた声が脳で木霊する。


(そうしたら、人が滅亡しちゃうの…?)


「い、いやぁぁあ!」


 透子は部屋を飛び出した。


「透子さん!」


 人懐こいと思っていた快からそんな事を聞くだなんて…!


 絶望的な気分だった。


 透子は一瞬ナツの部屋を見たが、自分で運ぶ事は出来ないと判断するとまずは出口をと左に曲がる。


行き止まりの先は右手と同じく帯戸がある。


 じっと見つめると帯戸に小さな綻びのような亀裂のような歪みがあった。


「透子さんっ」


 快の声が迫ってきている。


 透子は迷った挙げ句、歪みに手を入れる。


(抜けれる!)


 抜けた先が何処であるか分からない。


(ばっちゃん、ちゃんと後でくるからね)


 自分が生きている限り、白拓はナツに手を掛ける事はないだろう。


 透子は意を決して向こう側へと抜ける。


「あ!」


 快が見た時にはもう半分しか透子の姿は見えなかった。


 

 急いで手を伸ばすも、間に合わず、透子は向こう側へと消えて行った。

 

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