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1章 ー16
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この白拓の屋敷は彼の妖力で保たれている。
人の目に映らぬよう結界を張っているのも、寒くないよう透子の部屋の床下で狐火を絶やさないようにしているのも全て白拓である。
普段は何ともない白拓だが、透子の怪我を完治させ、ナツまで助けたからか酷く体が重かった。
それを透子に指摘され、不思議な気持ちになった。
ちょっとした気まぐれで透子と夕餉をと思ったら、感謝を述べられた。
(馬鹿な人間だ。俺が怪我を完治させる時に少し精気を貰った事も知らずに)
妖かしだとバレた時から彼女に良い顔をしたつもりのない白拓は後ろめたい気持ちであった。
(老婆を助けたのも俺が良いように彼女を扱う為だと言うのに)
その時、透子が立ち上がる気配がした。
そして、掛け布団がズシと上に置かれた。
(……)
透子は何気なく掛けたが、白拓は憂鬱な気持ちになった。
(こいつは目的の為にいる。それを忘れてはいけない)
白拓は奥歯を噛みしめ、強く目を瞑った。




