第1話 なんか悪ばっかなんですケド
登場人物紹介
剣城さくら 剣城道場の一人娘
剣城雲龍 剣城流剣術の師範、さくらの父
*登場する名称は全てフィクションです。
とある侍がいる時代。
「ちちうぇ~、勘弁して下さいよぅ...。」
「さくら、いつも言っておるだろう。常に修行なんだよ。」
「いやいや...、修行って...買い物の山盛り荷物持つのなんか...パシり感ハンパないんですけど...。」
「うっ...えーと...、そっ、そうじゃ、腕の鍛練だ。」
「何...その...今思いつきました~的なやつ。」
「まあ、いずれお前にも判る時が...。」
「ぜーーーったい、来ないです。」
.........平和だった...。
それから2年後。
時の幕府の将軍が何者かに殺害された。
下手人は捕まらず、幕府内は権力闘争で大混乱。世間は治安も乱れ、殺伐としていった。
剣城道場。
「父上、先日この先でまた辻斬りが出ました。また町民が何人も...。」
「さくらよ、今の世はどこも大変な事態になっておる。そこでじゃ、お主を修行の旅に送り出そうと思うのじゃ。」
「とか言って...、また遊廓でヒャッハーしたいだけでしょ。」
「うっ...えっ...はっ...。」
「何、図星ですみたいに、鳩が豆鉄砲食らった顔してんのよ、まったく...。」
「いや...ワシ...寂しい...。」
「そりゃ、母上亡くなってから男手一つで育ててくれたことは感謝してるよ。なら再婚でもしたら?」
「ワシ...再婚...めんどい...。」
「やれやれだわ...。」
「じゃ、さくらよろしくな。」
「まあ...旅...嫌いじゃないケド...。」
数日後。
「父上、私がいないからと言ってダラダラ生活しないで下さいよ。」
「さくら、お前は父をそんな風に見てたのか。」
「そうです。炊事やらん、洗濯苦手、掃除めんどいとかずーーーっと言ってサボってたの誰です?」
「いやー、妻が完璧にこなすから、ワシ出番無くてな...。」
「まだ道場の師範として教えるなら兎も角、生徒めんどい~とか抜かしてんの誰よ。」
「こんなご時世じゃ。親御さんは心配なんだよ。」
「だ•か•ら•教えるんじゃないの。町の人、道場で鍛えてとか私に言うんだよ。私が代わりに教えたいくらいだよ。」
「じゃ、旅から帰ったらさくらが師範でいいよ。」
「父上...、まあ今日は旅立ちだから言いませんが、帰ったらしっかり話しますからね。」
「じゃ、さくら、ガンバ~。」
父上も母上が亡くなるまでは剣豪として凄かった。幼い頃から鍛えさせられて、私なんか泣きそうだった。でもあの日、全ては変わった...。
3年前。
「母上、この着物かわいい。」
「さくらにはこちらが似合うわよ。」
「うん、こっちいいね。母上は選ぶの上手いんだから。」
「さくら、あなたも年頃なんだから、お洒落にも気を遣いなさい。」
「だってぇ...父上...厳しいんだもん...。」
「かつて将軍の剣術指南をされていましたからね。さくら、勘弁してあげてね。」
「母上、あんまり甘やかすと図にのらないかな。」
「あの人は...そんな人じゃないわ...。」
「ふーん、まあいい...、ん?」
突然目の前に野武士が現れ、問答無用に母上を斬った。アイツの顔は絶対忘れない。
町民も怖がって取り押さえられなかった。
さて、最初の宿場町だね。
なんか上手いモンでも食べよ。
何か騒がしいな。
「あの、何かあったんですか?」
「宿場の手前で勝手に関所作った連中と揉めてんだよ。」
「へっ?そんな...。」
どれどれ...、確かに掘っ立て小屋があるな。
また...ワルそうな顔の奴らがいるよ...。
「あの...、ここ...通りたいんですケド。」
「ん?なんだぁ~、てめぇは?」
「ただの旅人ですよ。」
「通りたけりゃ、金出しな。」
「あなた方、幕府の役人では無さそうですね。」
「は?幕府?何いっちゃってんの?」
「ならば不法に野武士が設置した掘っ立て小屋は撤去して下さい。」
「調子ぶっこいてんじゃねえよ!ちょっと痛い目見せてやるぜ!」
こう言うワルは言って何とかなる連中じゃない。どっちが痛い目見るかな。
「おりゃー。」
さっとかわす。
「てっ、てめー、何してんだよ!」
「降りかかる火の粉をかわしたまで。それが何か?」
「ふざけんじゃねぇ!」
隙だらけだね。峰打ちでもしとくか。
「うぐ...。」
「まだやりますかね?」
「くっそー、てめえなんかボスにかなわないからな。」
ワルのボスねぇ...、何だかな...。
宿屋。
「いやぁ、お嬢さん強いねぇ。このご飯はアタイが奢るよ。」
「おかみさん、すいませんねぇ。」
「おい、てめえか!俺の子分をやったのは。」
「ワルのボス登場だね。」
「誰がワルじゃ!」
「ここではお店に迷惑です。外へ出ましょうか。」
「覚悟しやがれ!」
少しは力はありそうね。
「うりゃー!」
まあ、太刀筋は見えたわね。
「てめー、刀抜けよ!」
「私が刀を抜いたら、あなた...最期になるわよ。」
「ふざけんなー!」
仕方ないわね。こんな奴どうでもいいケド、この辺りの平穏を考えるとやるしかないかな。
「ならば、あなたには特別に見せてあげるわ。」
「はぁ?」
「必殺!さくらシュレッダー!」
第2話 予告
宿場町に現れた剣士。なかなかやるじゃない。でもね、ここでやられる訳にはいかないのよ。
次回 「なんなの?!ライバルって」
新たな物語の幕開けです。
さくらの旅がいよいよスタート。
ではまた。




