表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/16

自由の狂気

どうも!スキーです!

今回も読んでいただき、ありがとうございます!

第一幕【人間の超越】


次の瞬間、七央の気配はヴィクトニケと同じ階梯にまで到達していた。振り抜いた剣から放たれるオーラは全ての存在を震わせるようだった。

「人間にここまでのことが…!?ありえん…JOKERの力をそこまで使いこなすなど…!」

自由神はあまりのオーラを一歩引く。

「《枠断絶》ッ!」

放たれた一閃は、世界そのものを断ち切るかのように自由神を裂く。

轟音とともに、自由神の胸部を斜めに走る鮮烈な裂傷。

それは確かに“痛み”を刻んだ。

「ぬおおお……!ふざけるな!消え去れ!」

呻き声を上げながらも、自由神は七央に対して存在を消す攻撃を放つ。

「ふはは…んな!?」

そこにはなんともない七央の姿しか無かった。

「なっ……攻撃が……当たらない? いや、未来そのものが変えられた……!?」

「まだ気づいてないの?」

七央がそう言うと七央の背後から嘲笑うような明るい声が戦場に響く。

「あはっ☆ 油断したね! 僕の能力で、おっさんの事象は書き換えさせてもらったのさッ!」

姿を現したのは空兎だった。

「なぜ…ただの人間が我を認識出来ているのだ…!?」

「私の《枠断絶》で貴方を強制的に実体化させて、枠を越える存在ではあるけど

、人間でも姿を捉えられるようにしたわ!」

「……これでやっと攻撃が届く!」

無羽飛、アスガ、野郎、結弦。さらに学園の実力者や天界の者たちも来ていた。

「いくぞ、総攻撃だ!」

そう声を上げたのはオーディン。彼は勝利の因果そのものを上書きし、戦局を味方に引き寄せる。

「因果固定か…!今の我では因果にすら縛られるというのか…!!」

自由神の動きが止まったその直後、自由神の体に亀裂が走る。

「ぐぅおおおお!」

「あはは!凄いわ!攻撃もスムーズに入る!」

アスガが放った《エンドクラッシュ》が炸裂し、自由神を存在ごと飲み込んだ。

「僕も反撃だ……!これで決める!」

結弦の銃弾が光条となり、自由神の肉体を撃ち抜く。その一撃は能力者専用に特化した必殺の弾丸――多元宇宙をも震わせる威力を秘めていた。

「ぐはっ…!ぐぬぬ……おのれ、人間…神どもがッ!」

自由神は顔を歪め、怒りに満ちた声を轟かせた。

「なにか来るぞ!」

零矢がそう言って全員が身を構える。

「我が与えた恩恵で力を得ておきながら……逆らうというのか!!」

自由神は神々の存在を縛る。

「くそ…もう通用しないか…」

自由神の全身に、濁流のようなオーラが渦巻く。立っているだけで空間が軋み、空気が絶望に染まる。

「滅びよ――《ワールドリセット》!!」

咆哮とともに世界が反転する。因果は逆流し、時間は解体され、デルゲ・セントラル誕生前の“無”へと世界を押し戻そうとしていた。

「能力が…発動しない…」

デルゲ・セントラルの能力者たちは自由神を起源にして生まれているため、全員の能力が発動しない状態であった。

「……これで終わりだ!」

光が全てを飲み込み、仲間たちが消滅の運命を悟る。

「ごめん……ヴィクトニケ……私達…ヴィクトニケの想いを…叶えられなかった……」

七央の声が震え、剣を握る手から力が抜けかけた、その時――

巻き戻しの流れが突如として停止する。

時空の奔流を断ち切り、戦場に新たな影が立っていた。

「――待たせたな。」

黒髪を揺らし、デルゲ・セントラル学園の制服を纏った一人の生徒が、静かにそこに佇んでいた。


第二幕【十本の剣】


その男は、悠然と自由神へと歩み寄った。

「待って!一般生徒は勝てない…!戻って!」

七央の声が戦場に響く。しかし、男は軽く笑いながら振り返った。

「七央よ。オーラで誰か分からないものか?少々適応できる体を探すのに時間がかかったが…前の俺の肉体は一時的に消滅してしまった。まぁ、今からなら誰かすぐ分かるだろう」

その言葉に七央も、戦場の仲間たちも、目を丸くした。

「アレス・マァート……これは転生体の名か。実の名は……“ヴィクトニケ・アレクレル”」

「え!ヴィクトニケ!?」

七央が言って続いて、仲間たちも同様の驚きの声が続く。

「ありえん……なぜだ…転生したとしてもお前はヴィクトニケとしての観測がされないはずだ…それにこの力は無効化できないはず…」

俺は冷笑して答える。

「馬鹿だな。俺はもう前の俺とは違う存在になっているんだ。アレスという人間の身体(うつわ)…つまり、俺としての存在を一回捨て、魂だけでアレスの体に移り、ヴィクトニケとしての観測は終了したが、アレスとしての観測をまた始めたのだ」

「もう…ヴィクトニケ…心配させないでよ…」

「ヴィクトニケ様が無事でなによりですわ」

七央とイムホテプが俺に向けて言う。俺はその間に七央にだけテレパシーを送る。

『七央、お前のくれた口づけは無駄にはなっていないから安心しろ。俺の体は直に戻る』

そう言った瞬間、七央の顔は赤くなった。

『もう…今はそういうのいいから…!』

七央がテレパシーでそう返す。彼氏は彼女に気遣いをするものだと見たのだがな…余計なお世話だったか?

俺は手を掲げる。そこに十本の光り輝く剣が現れる。

「俺の持つ十本の神剣よ…ここに集結せよ!」

光で覆われた合体した十本の剣が、静かに俺の周囲に浮かび上がろうとする。

「まさか…やめろ!形のあるものは全て無に帰せ――」

自由神の能力が発動した時としてない間の処理に十本の剣を一つに合体させる。

その剣の名は――

「権能十剣 《オールマイティ・エクストラ》」

その剣は戦場を神々しい光で満たしていく。

《オールマイティ・エクストラ》──光るその剣が俺の手の中でうなりをあげる。それは単なる武器ではない。この剣の能力は全能の管理と創造、因果の書き換えまでも掌握する道具。概念の根源を掴み、枠に縛られる存在は永久にその支配下に置かれる。

「七央、助かったぞ。枠外の存在を枠内戻すなんて芸当を使うとはな……《ラグナロク・ビヨンド》は破滅の力を顕現するとはいえ、あれほどの仕事をするとは思わなかった」

七央は肩で息をしながらも笑みを見せた。戦いの傷がまだ残っているが、その傷には確かな達成感がそこにある。

自由神はゆっくりと顔を上げた。存在が世界の枠内に縛られた今、その言動すら俺の剣の前では虚ろに響く。

「さて、自由神よ。世界の枠に戻ったお前が、俺に勝てるのか?」

自由神は言葉を紡ごうとした。しかし、《オールマイティ・エクストラ》の力が先に働き、発言も、行動も封じられる。

「ぐぁ……!」

あからさまな屈辱に顔を歪めるその姿に、少しばかりの哀れさすら覚えた。だが問いは続く。俺は問い詰めるように問いただす。

「お前は何のためにデルゲ・セントラルを支配しようとした? そしてお前は天界から命令されて来た者なのか?」

囚われたまま、自由神は答えた。言葉は震え、嘶くように出てくる。

「わっ…我は…天界王バベル・オーディーの使いだ。デルゲ・セントラルの者達を千年の間育成し、バベルの能力精度を上げるため…デルゲ・セントラルの民の強すぎる能力を献上し、バベルを強くさせるのが我が務め……」

無羽飛が訊く。

「バベル・オーディーって誰なんだ?」

俺は肩をすくめる。

「バベルは今の天界で最も偉い存在の一人だ。俺ですら顔を合わせたことはない、声だけで片付くような相手だ。他に話したことのあるのはアトゥムやオーディンくらいだな」

自由神は続ける。

「我の復活に必要な時間を稼ぐため、貴様を利用しようとしたのだ…。千年の間に力を溜め、その間に貴様を利用し、支配を完成させてから貴様を葬るつもりだった……。」

「だから、俺は言っているだろう。支配ではない、監視…いや、そうだな…秩序を守る者だ」

俺は続けて質問する。

使徒(アポストル)達もバベルからの命令で動いてたのか?」

自由神はまたも抵抗出来ずに答える。

「くっ…アイツらは俺が作成してデルゲ・セントラルに送り込んだんだ…JOKERはずっと前から作ってたが…他の使徒(アポストル)は最近、お前がデルゲ・セントラルに来た時に作った奴らばかりだ…」

答え終わったその瞬間、その場の存在を震わせるほどの声が響く。それは、上から響くものだった――


第三幕【バベル・オーディー】


『自由神……失望したぞ……消えろ』

嫌な予感がし、《オールマイティ・エクストラ》で自由神の存在強度を強化する。だが、枠を越える上位の命令が下ったのだろうか。《オールマティ・エクストラ》では耐えさせることの出来ない力で自由神の肉体が滅んでいく。

「うぐぁっ!?うぐぉおおおおおぁぁぁぁぁぁ!」

自由神は叫びをあげ、己の力が逆噴射するかのように泡立ち、盛大に崩れ落ちていく。

「我の…千年…の努力…が…!こんな…こんなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

最後は哀れとも言える断末魔を残して、自由神は跡形もなく消え去った。

「……ふむ。オールマイティ・エクストラを越え、更なる上位の支配から自由神を消したか。これが出来るのは、天界の上位層に匹敵する存在のみだな」

声が変えられていたが、まぁ間違いなくあれはバベルの仕業だろう。

すると、アスガがぽつりと訊く。

「ねぇ、とりあえず自由神は倒せたってことでいいのよね?」

俺は亜空間の扉を開き、避難させていた民衆の方へ向けて声を出す。胸に去来する疲労が、しかしそれ以上に安堵を孕んでいる。

「自由神は倒した! これでこの世界は平和だ!」

その言葉に応えるように、クリスが多元宇宙を調整して空間を再創造する。デルゲ・セントラルの街並みが、元通りに立ち上がる。人々の歓声が一斉に巻き起こる。

「やった!自由神を倒したぞー!!」

「これで平和なんだわ!」

零矢が近づいてきた。表情は穏やかで、しかし瞳の奥に安堵とやはり複雑さが混じる。

「ヴィクトニケ……そして皆、ありがとう。これでこの世界…いや、無限の宇宙の平和は保たれた」

野郎が胸を張り、得意げに叫ぶ。

「ったりめーよ!」

結弦が笑ってツッコむ。

「いや…僕たちはほとんど何もしてないよ。今回はヴィクトニケと七央のおかげだよ」

俺は笑う。肩に力を入れずに言った。

「はははっ皆の勇気が、俺の心に火をつけたんだ。皆が動いたから勝てた──それだけだ」

アスガが真面目な顔で訊く。

「で、前の体はどうなったの?それは他人の体でしょ?」

「あぁ……前の体は戻る。だが完全に元に戻るまで一週間はかかる。その間はアレスの体を借りて生きるしかない。面倒だが仕方ない」

クリスが横から口を出す。

「ヴィクトニケの本来の身体くらい、私が用意してあげれるよ。」

だが、俺は首を振る。

「無理だ。俺の体を完全再現させることは"俺自身"によって出来なくなっている。まぁ…見た目くらいは再現出来るか。」

「俺自身って?」

結弦が言う。

「俺の能力でな…俺という概念や存在、俺の能力は一つしか存在出来ない。これは相手がコピー能力などを持っていた時に相手をするのが面倒くさいからな…自らこうしている。だから、見た目は再現出来ても、前の俺の体にあった神眼や神の力は再現出来ないというわけだ」

無羽飛がにやりと笑う。

「ヴィクトニケは前の姿が似合ってると思うぞ…。」

七央がうんうんと頷く。

「やっぱりヴィクトニケはあの姿が一番しっくりくる!」

「そこまで言うならしょうがないな…」

俺はクリスの用意した元の姿に戻った。前から持ってた能力は無くなってるがな。

その時、横から零矢が少し躊躇いながら口を開いた。

「ヴィクトニケ。今度、俺と一緒に天界へ行かないか?」

「ふむ、何故だ?」

「自分のことを確かめたいのだ。俺は記録を見ると天界で産まれたらしく、天界なら親に会えるだろうと。それと…バベルのことも確かめたいからな」

俺は眉間を寄せる。

「今、天界に来れば危険だ。バベル…あの存在は自由神の遥か“上”に立つ者だ。今回の出来事で、その断片が見えた以上、零矢を連れて行くことは出来ない」

「危険度が段違いだ。俺一人で行く。仲間を連れて行ける状況じゃない」

零矢は残念そうにしながらも頷く。

「それも…そうだな…」

俺は少し考え、約束をする。

「よし。ならば俺が零矢の親を探して、会わせてやろう。だがその前に、まずは俺が天界へ行ってバベルに話を付ける。準備は必要だ」

零矢は目に光を取り戻し、低く礼を言った。

「……ありがとう」

その夜、街は静かに戻っていく。皆が去って、学園前の広場には俺たちだけが残った。明日もまた戦いがあるかもしれない。それでも、今はただ──少しだけ、平和の余韻に浸っていいだろう。

「皆、ゆっくり休め」

「「「「「じゃあね!!」」」」」

俺は軽く笑って背を向ける。自身の城へと続く影の道を歩きながら、やはり胸のどこかで次の戦いの気配を感じ取っていた。バベル、そして天界。バベルという存在に俺は身を震わせた――


第四幕【天界調査】


次の日、俺は天界へ向かう準備を整えた後、学園の皆にしばらく不在になることを告げた。

「え!ヴィクトニケしばらく居ないのかよ〜!」

野郎は今回、自分たちが天界に行けないことに納得していない様子だ。

「今回は行けないの?今の私たちならきっと、バベルも倒せるわよ!」

アスガがそう言うが、自由神を使いこなしていたあの規模を考えれば、今回は危険度が桁違いだ。

「すまんな。今回は流石に俺一人でやらせてくれ」

七央は寂しげな表情でこちらを見る。

「ヴィクトニケ…今回も絶対に勝ってね!」

七央に背中を押され、俺は小さく笑った。

「帰ってきたら…天界のお土産でも持ってきてやろう」

「まじかよ!俺にもくれよな!あの米と肉はまた食いたいぜ!」

「全く…野郎はご飯のことしか頭に無いな…」

結弦が苦笑いして皆もその笑いに釣られる。

皆の笑顔が、俺の心にも安堵をもたらす。

「ヴィクトニケさん?居ない間の課題は出しますからね?」

凪海の声が響く。

「課題くらい大したことはない」

「では、行ってくる。」

俺は次元を天界と繋ぎ、天界へとワープした。

「さて…バベルはいつもの所に居るのだろうか…?」

俺はバベルの元へ飛び、現場で始末するつもりだったが、姿は見えなかった。

「流石に居ないか…」

すると背後から声がした。

「ヴィクトニケ様!お帰りなさいませ…」

膝をつき、頭を下げるのはノルンだった。

「ノルンか。バベルはどうした?」

「天界人から聞いたのですが、自由神撃破直後に消えたと…」

天界の枠を越えて消えたか。だとすれば、この会話もバベルに聞かれる可能性がある。

「ノルンよ、結界を貼るから離れろ」

ノルンはささっと後ろに下がる。俺は手を掲げ、無限の結界を展開した。

「これで会話も聴かれまい…」

枠を越えた存在に効くかは分からぬが、やらないよりは良いだろう。

「申し上げにくいのですが、ヴィクトニケ様も枠を越えられるのであれば、枠を越えた世界を見て、バベルが居るかどうか分かるのでは?」

「しばらく奴の動向を見ようと思っている。動き次第で作戦も変わる。それに、自由神が枠を越える能力を使っても見えなかったことを考慮すれば、バベルに対しても効果が無いだろうからな」

結界は安定しているが、奴が本当に枠外なのか、それとも天界に潜んでいるのかは定かではない。

「中々に面倒くさい…奴はどこに居るのだ。」

俺はそう思いながら、自身の城へと戻った。

城に戻ると、荘厳な扉の前にオーディンが立っていた。

「ヴィクトニケ様。おかえりなさいませ……」

深く頭を下げるその姿に、俺は軽く返事をした。

「あぁ、バベルについて分かったことはあるか?」

オーディンは顎に手を添え、険しい顔つきになる。

「分かりませんでした……ですが、アポストルについては解析が出来ました。」

「ほう、聞かせてみろ」

「アポストルは……自由神が創り出した概念の具現化です。それはお分かりかと思いますが……アポストルはヴィクトニケ様の一部の力を使っている、ということです。」

その言葉に、俺は思わず息を呑んだ。

――まさか、自分の力を奪われているとは。

「……だから、JOKERの時も自由神の時も本気を出せなかったのか?」

「恐らく、デルゲ・セントラル……いえ…下界。つまり、無限多元宇宙全体がヴィクトニケ様の力を奪い取るための魔法陣になっているのではないかと思います。力を奪い取れなければ、現在のヴィクトニケ様なら自由神相手にも一瞬で勝てていたでしょうね。」

「……なるほどな。自由神の力と俺の力が均衡していたことについては、俺も疑問だった」

俺は深く息を吐き、立ち上がった。

「少し……クリスに会ってくる」

ワープでクリスの元へ移動すると、彼女はすぐに振り向き、俺を見た。

「あっ、ヴィクトニケ。どうしたの?」

「クリスよ、気になることがあるのだが……」

俺の後ろからイムホテプが姿を現した。魔法に関しては彼女が最も詳しい。

「この無限多元宇宙は……お前が創り出したストーリーだと言ったな。この無限多元宇宙内全体を少し見させてもらうぞ。」

そこには、重く深い緊張が流れた――


第五幕【矛盾】


イムホテプが力を使い、無限多元宇宙全体を視る。

「ヴィクトニケ様。この無限多元宇宙内全体が、ヴィクトニケ様の力を奪い取るための魔法陣であることが分かりましたわ。」

「……というわけなのだが、クリスよ、全体が魔法陣になっていることに気付かなかったのか?無限多元宇宙の管理者および創造主であるお前が気付かない理由がないと思うのだが?答え方によっては首が飛ぶかもな。」

クリスは俯き、小さく震えながら答える。

「ごめん……ヴィクトニケ。私だってこんなことしたくなかった。でも……私は逆らえなかった……いや、操作されていた……だって私は……自由神から産まされた、創造のアポストルだったもの……」

やはり、か。最近になってようやく気付いた俺も馬鹿だったが、クリスがJOKERや他のアポストル達を目にした時は見えていたものが、管理者の立場になった途端に見えなくなる――それはおかしかった。

「そもそも、歴史自体がおかしい…アザトースはどうしたのだ。無限多元宇宙はあくまでアザトースの夢の中だ。それをお前が創り出したというのはおかしな話だ。」

クリスは、絞り出すように答えた。

「アザトースは……私が殺したの」

自由神によって発言が封じられてきたのか、彼女は驚くほど素直に答えを口にする。

「元々、アザトースも自由神によって産み出された者。でもアザトースはアポストルじゃない。あれは……自由神の失敗作。起源のアポストル……つまりJOKERが産まれた時、既にアザトースは用済みだった。そこで自由神にアザトースを殺し、私が自由に創れと命令され、この無限多元宇宙を生成したの……これが99万年前の話。アザトースの夢を具現化させて、そこから私が創り上げてきた。」

なるほど。俺が産まれた時、既にアザトースが存在しなかったのはそのためか。そして、代わりにクリスという者が、アザトースの代わりの歴史となったわけだ。

「なるほど……それはそうと

、クリスよ。俺の力を返してもらうぞ」

クリスは小さく頷く。

「うん……ごめん。返すよ」

その瞬間、俺の身体に確かな感覚が走る。失われていたものが流れ込むように、力が蘇る。

「能力の強度はまぁまぁ戻ったな…」

隣で控えていたイムホテプが、嬉しそうに声をあげた。

「さっすがヴィクトニケ様ですわ! 今までの力を取り戻したところで、バベルの野郎をぶちのめしてしまいましょう!」

俺は首を横に振る。

「まぁ待て、イムホテプ。流石に俺と言えど、今じゃ勝てるか怪しいぞ」

クリスが俺に喋りかける。

「ヴィクトニケ…エルダを呼ぶってのは――」

「クリス。やめろ…あの男の話は…」

「ごめん…それと……最後にひとつ、言いたいことがある」

「なんだ?」

クリスは真剣な眼差しでこちらを見る。

「……デルゲ・セントラルが、ピンチなんだ」

その言葉に、この空間には言い表せないような緊張が走った――

やっと自由神を倒したかと思いきや…まさかのバベルという新たな影!そしてやはり今までのデルゲ・セントラルでの騒動は天界が関わっていたという…また新たな展開に乞うご期待!

ヴィクトニケの世界紹介

ヴィクトニケの世界には能力強度というものがあって、例えば同じ無効化能力でも、能力強度によって優先度が大きく変わってくる。これまでのヴィクトニケはアポストルに力が割り振られてたせいで強度が大きく落ちていた。完全体なら、自由神の能力全部を無効化して一瞬で倒すレベルには強かったはずだったっていう…ちなみに本来の10分の1以下の力しか出せてなかったようです。とりあえず、クリスが戻してくれたお陰で、10分の5くらいに戻ったようだけど、ヴィクトニケ本来の体がまだ戻ってないからまだまだ全力はある!

次回の投稿はです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ