創造主と使徒
どうもスキーです!
今回も手に取っていただきありがとうございます!
第一幕【天界へ】
ーー翌日
学園の校門前で皆と合流をし、天界へ向かう準備を整えた。
「天界!まじ気になるぜ!」
野郎は興奮が抑えきれてないようだ。
「野郎は落ち着かないな…」
無羽飛は荷物チェックをしつつ野郎を見る。
その間に俺はノルンと交信を取る。
「ノルン。今日は行けそうか?」
『はい、今日は大丈夫そうですよ!それとなんですけど、天界の上層部にはなるべく下界の人達を連れてくることをバラすのは控えてくださいね。』
天界の上層部共はこういうことにうるさいからな。ましてや任務対象の者達を連れてくるだなんて言語道断だ。
「もろちんだ。それと、俺の仲間に食欲の凄いやつが居てだな。最高のおもてなしをしてやってくれ。」
『ハハハッ!そうですか。分かりましたよ!イムホテプにも伝えておきますね。』
ノルンは笑いながら返事をする。
ノルンとの交信を切り、皆に出発することを伝える。
「よし、皆行くぞ」
ゲートの座標が定まったことを確かめ、次元と次元を繋ぐ。
「この中に入ればいいのね?」
俺が先陣を切って光の中へ飛び込む。続いてアスガ、無羽飛、結弦、野郎、七央が次々とゲートをくぐり、天界へと昇っていく。目の前が真っ白に染まるが、すぐに目の前に広大で荘厳な天界の景色が広がった。草木が生い茂り、聖水も流れている。白色の建物達が並んでいる。
「飯はあるかー!?」と野郎がはしゃぐ。
「ちょっと…野郎。さっき、あんまりバレないようにしろって言われてただろ?」
結弦が呆れながらも宥める。無羽飛は神話でしか見たことのない存在たちを目にして興奮を抑えきれていない。そして皆を俺は自身の城へと導いた。ゴッド・シグナルとは違い、自分の家のような扱いのものだ。
「さぁ、ここが俺の城だ。」
城の前には、俺の過去の仲間であるオーディン、ノルン、アメノミナカヌシ、アトゥム、イムホテプ、トート、ハデス、イザナギが出迎えていた。その迫力に皆、圧倒されているようだった。レモン色の髪をなびかせ、イムホテプが皆を中へと案内する。玄関から20歩ほど歩いてイムホテプは立ち止まる。
「ここでよろしいですよね?ヴィクトニケ様。」
「あぁ。」
イムホテプは一歩下がる。客室だ。皆を客室へと座らせ、学園の仲間たちに、天界仲間の1人、トートが紅茶を振る舞う。アスガが紅茶を口にした瞬間、全身の疲労が消え去る感覚に驚いた。
「す…凄いわ!疲れが消えた!なにこれ…。」
その正体を問うと、
「収穫した薬草を煎じたものです。」
イムホテプは答えた。それは俺にとっても懐かしい味だった。よく飲んでいたものだ。
その様子を見ていた俺は後ろからノルンに話しかけられる。
「ヴィクトニケ様。ゼウスの通信が途絶えたところに…」
「あぁ、そうだな。」
俺はノルンの案内でゼウスの交信が途切れた現場へ向かう。
「ここだな。日は浅いし…まだ行けるはずだ…!」
俺は広範囲にオーラを展開し、《ターガル》を使用する。オーラを展開することで《ターガル》の効果範囲を伸ばしたのだ。光の破片が再構築され、長い白髪を持つ老人。ゼウスが姿を現した。
「ヴ、ヴィクトニケ様…申し訳ありません…。」
ゼウスは感謝を述べると同時に、あの時の出来事を語る。
「ワシを襲った者の姿は…黒い仮面をつけており…そのオーラは神ではなかったのです。剣を持っており、恐らく…神剣と思われるものかと…ですが、なんの神剣かは…分かりませんでした…」
俺の脳裏に嫌な記憶が蘇る──かつてのJOKERだ。黒仮面…JOKERも黒仮面をつけていた。これはJOKERが招いた事件だと思って間違いは無いだろう。そして俺はゼウスに感謝を伝える。
「存在を保ってくれていてありがとう。」
神は光の粒子がしばらくその場に残るのだが、これが無くなると蘇生や転生が出来なくなる。
「勿体ないお言葉…ありがとうございます…。」
俺とゼウスとノルンで城へ戻ると、仲間たちの姿が見えない。
「皆はどこだ?」
そう言うと後ろから青髪で長髪の青年が俺の後ろから声をかける。
「ヴィクトニケ様の交友者は温泉へ案内しました。」
天界の仲間の1人、イザナギだ。彼が皆を温泉へ案内していたようだ。俺も便乗し、温泉へ向かう。温泉の扉をガラガラと開くと既に結弦、無羽飛、そして野郎が温泉に浸かっていた。野郎は気持ちよさに負けて温泉内で爆睡している。俺でも気持ちいいと感じるからな。すると
「何か分かったのかな?」と結弦が俺に問いかける。俺は黒仮面とJOKERについて語った。そういえばと無羽飛は零矢について語る。
「零矢は神の血を継いでいる…その零矢の娘である七央も神の血を継いでいるだろう?2人とも今回の天界の件に…なにか関係があるんじゃないか?」
「零矢は七央に天界のことを話していないし、心音を覗いた際も無関係だと確認済みだ。」
ただ──どこかでこの混沌に七央が関わる予感は拭えない。
一方、女子風呂では七央とアスガが肩を並べて湯に浸かっていた。
「天界の湯って気持ちいいわね〜」とアスガが頬を赤らめる。効果を確かめると、疲労回復、傷の再生、精神安定まで兼ね備えている。
「精神まで癒せるなんてすごいね」
と七央も感嘆した。
「はぁ…それにしても、私もアスガや野郎くんみたいな強い能力が欲しいな。」
七央は小さく呟く。アスガはにっと笑う。
「天界の神々なら、何か教えてくれるかもよ。それに、強いだけが全てじゃない、自分の得意で戦えばいいのよ。」
アスガは七央を励ます。七央も少し明るさを取り戻した。
「そうだね!」
七央は一言頷いて、2人は湯から上がっていった。
広場で七央とアスガと合流した俺たちは、天界での仲間の1人、アメノミナカヌシの案内で食事の場へと向かった。
「おぉぉ!うまそうなのが並んでるじゃねぇか!」
野郎が飛びつき、豪快に食べ始める。
「落ち着きなよ、野郎…」
結弦が呆れながらも手を伸ばす。
天界の料理はただの食事ではなかった。肉一切れにすら滋養強壮や回復の効果が込められ、果実には精神安定や集中力向上の力が宿っている。
「これはすごいわね…食べるたびに力が湧いてくる。」
アスガは驚いている。
「伝承で読んだ以上のものだな。」
無羽飛も目を輝かせた。
「俺もいただくとしよう。」
俺は皿と食べたい食べ物を浮かせて俺の皿の上に食べ物を乗せる。俺はステーキを選んだ。このステーキは肉の食べ応えがあり、肉汁が詰まっており、とても美味い。それから1時間ほどして俺と皆が満腹になり、それぞれの個室で眠りにつくことになった。
──ただ一人を除いて。
七央はこっそり部屋を抜け出し、城の広間で掃除をしているオーディンを見つける。金と黒の法衣を纏っていて見るからに強そうなオーラを放っている。
「オーディンさん、強くなる方法って……あるの?」
七央は真剣な目で問いかけた。オーディンは一瞬黙り込み、低い声で答える。
「強さを求めるのなら──神剣を集めるといい。」
「神剣…?あの、ヴィクトニケが使ってたやつですか?」
「あぁ」
オーディンは静かに頷いた。
「神剣は天界とデルゲ・セントラルに散らばっている。全部で二十一本。そのうち十一本はヴィクトニケ様が所持しており、三本はデルゲ・セントラル政府が管理している。そして残り七本は…所在不明だ。」
「でも…神剣って、超越存在にしか扱えないんですよね?人間の私に使えるんですか?」
七央が不安げに尋ねる。
「……君には、超越存在の片鱗がある。」
オーディンの片目が鋭く光る。
「いずれ、その力を扱えるだろう。」
そう告げると、オーディンは踵を返す。「今は休むがいい」と言い残してオーディンは去っていった。七央は拳を握りしめ、小さく呟いた。
「私も…いつか、ヴィクトニケみたいに……」
ーー翌朝
俺だけ早く目を覚まし、天界中を巡ってそれぞれの神々の心音を覗いた。これで嘘や隠し事は出来ない。しかし──「ダーク」の痕跡はどこにもない。
一体誰が……と考え込んだその時、俺の城の方から轟音が響いた。
即座に城へと飛んだ俺の前に現れたのは、『全知全能神』と呼ばれる存在だった。周囲には仲間が倒れている。
「……何をしている?」
俺の声が冷たく響く。
全知全能神は嘲るように叫んだ。
「人間などを連れてくるとは何事だ!コイツらはデルゲ・セントラルの連中だろう!こんな危険な能力者共を連れてきて!」
俺は深いため息を吐く、《サリナム》を展開し、城も仲間も何も無かった状態に戻した。
「……全知全能ごときが図に乗るな。埃にも満たぬ雑魚が。」
「なっ──!」
全知全能神の顔が怒りに歪む。
「貴様ァ!全てを破滅させてやる!」
大げさなことを言ったあと、巨大な雷光が渦巻き、天界を裂かんとする。
だが俺はただ一言、低く呟いた。
「――《グラベ》。」
次の瞬間、全知全能神の身体は粉々に砕け散り、跡形もなく消滅した。
「はぁぁぁ!? 全知全能神なのに、一瞬で!?」
アスガが思わず叫ぶ。
「やっぱりヴィクトニケは最強だなぁ。」
と結弦も笑い混じりに言った。《グラベ》は、森羅万象を掌握し、全知全能の力すら覆す。ゆえに……全知全能など敵ではない。さらに言えばこんなコーヒーを濾した紙に残った粉の搾りかすみたいな能力で倒される全知全能神など全知全能を名乗る資格は無いだろう。
その後、城へ戻った俺は天界の仲間にダークの調査を命じる。そして、夕刻まで学園の仲間たちは天界で遊び、やがてデルゲ・セントラルへ帰還することとなった。
「「「「「ヴィクトニケ、ありがとう!」」」」」
デルゲ・セントラルの皆が口を揃えて感謝を伝える。
俺は微笑みを浮かべる。
「なに、俺はなにもしてないし、あの程度のおもてなしは当然だ。」
俺はゲートをデルゲ・セントラルへと繋ぎ、下界へと戻ったーー
第二幕【自信の輝き】
ーー次の日
俺は学園で授業を受けている途中、机の上で腕を組み、静かに眠っていた。
前の席の結弦がチラリと振り返り、小さく呟く。
「……また寝てるなぁ…ヴィクトニケ」
結弦は堪らず声をかける。
「ヴィクトニケ、今度のテストは大丈夫なのか?全然授業聞いてないようだけど?」
心配そうに言うが俺は薄く目を開けたまま答えた。
「話は聞いているが?」
「えっ?」と結弦はきょとんとした顔をする。
「意識は眠らせているが、耳から通る音をそのまま記憶に流している。だから授業内容は全て覚えている。」
昔から俺は器用なのだ。
「……ずるいね、それ…」
結弦は苦笑して黒板へと顔を戻した。
一方、隣では野郎が大きなイビキをかきながら爆睡していた。もちろん、彼には俺のような器用な芸当はない。今度のテストで地獄を見るだろう。
授業が終わると、アスガが俺に話しかけてきた。
「ねぇねぇ、ヴィクトニケってさ。不得意なこととか、出来ないことってあるの?」
「あるぞ。」
俺はそう答える。
「へぇ!あるんだ?」
アスガが目を丸くした。
「不得意なことや出来ないことがない──というのが、俺の出来ないことだ。」
「なによそれ……」とアスガが肩をすくめると、俺は淡々と続けた。
「逆に言えば、これ以上の伸びしろがない。強くなれるという楽しみが無いんだ。」
アスガは少し黙り込み、やがてため息をついた。
「……強者なりの悩みってやつね」
その会話を隣で耳にしていた七央も口を開く。
「ヴィクトニケ、もし、本気を出したら……どうなるの?」
俺は少しだけ視線を逸らし、短く答えた。
「……言葉では表せない。恐ろしいものだ。無限多元宇宙どころかアウターバース…それすら越えて天界にまで被害が及ぶだろう。」
七央とアスガは一瞬だけ身震いをした。俺がデルゲ・セントラルに来た日、殺気だけで無限多元宇宙を崩壊させたことなど、彼女たちは知らなかった。
そんな時、隣のクラスから大きな笑い声が響いてきた。
「ハハハッ!!!」
教室の扉が開き、一人の男子が颯爽と入ってくる。水色の髪をなびかせ、制服の左胸あたりに薔薇を刺している。
「僕は青薔薇空兎!最強イケメンさ☆」
一瞬でその場の空気が凍りつくのが分かった。俺、アスガ、七央──全員表情を固めた。
「……イケメンさんが何用だ?」
俺が冷ややかに問いかける。
「僕は戦いが嫌いなんだ。強すぎてね!」と空兎は大げさに両手を広げた。
「えっ……だから何?どうしたいわけ…」
アスガが冷めた声で突っ込む。
「辛辣だなぁ!でも、戦い嫌いの僕がわざわざ隣のクラスから来たんだよ?勝負してくれないか?この強すぎる僕と……ね☆君ならやりがいがありそうなんだ…」
彼は薄く笑うが俺は額に手を当て、小さくため息をついた。
「……やれやれ。なんで無羽飛と言いアスガと言い、すぐに勝負を挑んでくるんだ。」
次の瞬間、俺と空兎の姿はワープで特訓場へと移った。
神眼で覗けば、空兎の能力は事象を操る力らしい。規格外に強力な力のはずだ。──この世界でなければな。
「先攻貰いい!」
空兎が構えた刹那──
俺が動いた。空兎が瞬きを、能力を発動するよりも早く、その首が切り飛ばされていた。
「なっ──!?」
空兎の意識が途切れるよりも先に、俺の《ターガル》で即座に蘇生させられる。
空兎は息を荒げながら呟いた。
「ば、馬鹿な……今、何を……?」
俺は淡々と答える。
「俺は“事象に観測されないように”動いた。だから俺によって起こる事象は無いものとされ、お前の能力は働かなかった。」
空兎の脳内は「???」で埋め尽くされた。
「……こんな世界で、事象を操る程度の力で満足するな。お前など、下の下だ。」
俺の眼差しは中々に鋭い。
「それに、戦いが嫌いと言いつつ、勝負を挑んできた。お前は本当は“強さ”に拘っているのではないか?俺を格下と侮ったな。」
空兎は唇を噛み、ふっと笑う。
「ふ、ふん……ま、またお手合わせ願うよ。」
そう言い残すと、空兎は髪を整えながらそそくさと特訓場を後にした。
俺は小さく肩をすくめ、ワープで教室へ戻った。そんな時、俺の知らないところで、影が蠢いていた。
第三幕【闇の侵攻者】
「……ダークでございます。イーノルが……殺られたようです。」
暗がりの奥から響くダークの声に、その奥に居る者はわずかに息を吐いた。
「お前が次に行け。ヴィクトニケを再起不能にしろ。」
そいつはダークに命令を下す。
「……えぇ、わかりました。必ず倒してみせましょう……。」
ダークの声は静かに、しかし不気味な熱を帯びていた。
ーー学園
俺が廊下を歩いていると、七央に呼び止められた。
「ねぇ……ヴィクトニケ。前に言ってた“超越存在”って、どうなるの? 私……神剣が使いたいの。強くなりたくて…」
少し沈黙してから、俺は答えた。
「ふむ、超越存在とは……どんなものにも縛られず、認識されない。あらゆる秩序を操り、その秩序に絶対的な“結果”を結ぶという存在だ。常に超越し続けているため、事象も因果にも縛られぬ。相手を攻撃した、相手を殺した――そこに至る過程は無きものとなり、“結果だけ”が残る……それが超越存在だ。」
七央は息を呑んだ。
「じゃあ、私はそれになれる……?」
俺は頷く。
「お前にはその可能性がある。なぜなら――お前は神の片鱗を持つからだ。」
俺はついに七央に打ち明けた。
「……神の、片鱗……?」
七央の瞳が大きく開かれる。
「そうだ。お前の父、零矢は神と人間のハーフ。その神の血を継ぐお前にも、その力は薄くも眠っている。」
七央は動揺を隠せなかった。
「どうして……黙ってたの……?」
俺は静かに目を伏せた。
「……お前が苦しむと思ったからだ。」
神の血を知るということは、重き宿命を背負うことにも繋がる。過去に神という称号を持つことに悩みを持った者が自ら死を選んだことがある。
「……すまない。」
七央は少しの間、俯いていたが、やがて微笑んだ。
「ううん……むしろ、教えてくれてありがとう。私も…強く…皆の役に立てれるようになれるんだよね…。」
そう言い残し、七央は足早にその場を去っていった。
廊下に取り残された俺は、これまで受けたどんな攻撃よりも深く胸を抉られる感覚を覚えた。
それは“心の傷”だとすぐに分かった。
七央は涙ぐみながら学校を飛び出した。
「……私、なにしてるんだろ……」
自分でも分からぬまま、ただ必死に走る。
気づけば深い森の中に立っていた。
「早く戻らなきゃ……ヴィクトニケに心配かけちゃう……。」
そう思って踵を返したその時――。
「ハハハッ! ヴィクトニケじゃねぇが……連れのガキじゃねぇか! まぁいい! コイツも殺してやるッ!」
森の奥から、邪悪な笑い声が轟く。闇の中から姿を現したのは、ダーク。黒く伸びゆく触手が、七央を捕らえようと迫った。
「いやっ……!」
七央は逃げようと駆けた――が、不運にも石に躓き、地面に倒れ込む。足を痛め、もう立ち上がれない。
助けを求め叫ぶが、その声は森の闇に掻き消される。
「助けてっ……終わり……なの……?」
視界が涙に滲んだ瞬間、突然、七央は時間が飛んだかのような感覚に襲われた。だがそれは錯覚ではない――速すぎて時すら追いつかない速度で駆けた者が居たのだ。七央は目を開けるとそこには俺が居た。
七央を抱き上げ、短く声をかける。
「大丈夫か?」
その直後、俺の到来の衝撃波だけで、ダークの肉体の一部が吹き飛んでいた。だが奴は不気味に再生し、狂気の笑みを浮かべる。
「ヴィクトニケェ!! ついに見つけたぞ! 今度こそぶちのめしてやる!!」
触手を広げ、叫んだ。
「――《無限黒炎地獄ぅッ》!!」
瞬間、森全体を埋め尽くすほどの黒き炎が押し寄せ、俺の周りを包み込む。
「ハハハッ! 無限の闇に押し潰されろ! これで終わりだッ!!」
だが、俺の表情は揺るがない。
「無限など、俺からすれば有限に過ぎん。数え切れない無限だろうとな。」
その声と同時に、一言。
「――《ノロニ》。」
途端に、無限の闇の炎は一瞬で消滅した。
「な、なにっ!? 消えるはずが……!」
うんこマンは絶望の声をあげる。
《ノロニ》――秩序も法則も因果も、次元も概念も理屈すらも操る力。無限でさえ例外ではない。
「……最悪の相手だちくしょう……!」
ダークは必死に構え直す。
「だが、それでも……お前を殺せば――」
その言葉を言い終える前に、俺の拳が放たれた。時空をも超越したその一撃は、森ごとダークを呑み込み――跡形も残さず消し飛ばした。
「……倒したの?」
七央が恐る恐る問いかける。
俺は頷いた。
「あぁ。そして奴は天獣ではない」
「えっ?」
「天獣ならば、死んだ際に光のエネルギーが散るはずだ。だが、それがなかった。結局、あいつがなんなのかは分からなかったな。」
そう言いながら、俺は地面に落ちているそれを拾い上げる。
「……ふむ。こいつが持っていたのか」
それは――神剣のひとつ。
雲帝神剣。
「これが……神剣……」
七央は目を見開いた。超越存在の素質を持つがゆえ、振るうことはできずとも、その神剣に触れ、存在を感じることはできた。神剣は超越存在でなければ見ることも触ることも出来ない。
「七央。しばらくは俺と修行だ。振れるようになるぞ。」
俺は静かに告げる。
「うん…!私…頑張る!皆の力になるよ!」
七央はその言葉に力強く頷き、俺達は共に暗い森を後にした。
第四幕【神剣】
ーー学園にて。
俺は仲間たちに、昨夜の出来事を話していた。
野郎は「まじか!」と飛び跳ねる。
「えっ! あの黒いやつを倒したのか!? さすがヴィクトニケ!」
結弦は疑問を抱いた。
「それもすごいけど、一番気になるのは神剣の方だよね。オーディンさんから聞いたけど、あれって元々は天界のものなんだろ? どうしてこっちの世界にあるんだ? しかも政府まで所持してるなんて。」
確かに結局、天獣じゃ無かった。なのに天界のものである神剣をアイツが持っていたのか俺は腕を組み、少し考え込む。
「いや、必ずしも天界の物とは限らん。昔から“神剣”と呼ばれていても、その製作者は神とは限らんのだ。たとえば神剣の1つである《炎焔・地獄火》──あれは神の力も宿してはいるが、造ったのは人間だ。クリアスモークは俺の生まれた100万年前よりも前に生まれたらしいからクリアスモークの起源は知らないがな。」
無羽飛は質問する。
「……つまり、例外的にこの世界で生まれた神剣もあるって認識でいいのか?」
俺は顔をそらし、言った。
「さぁな。天界からわざと落とす者もいたのかもしれん。」
すると、後ろから低い声がした。
「神剣はかつて秩序を示す物だった……そう書かれている。」
振り向けば、そこに零矢が立っていた。
「俺の地下室にある天界の歴史書にも記されていた。だが“秩序を示す”とはどういう意味なのか……そこまでは分からん。」
アスガが首をかしげる。
「じゃあ、ヴィクトニケは何か知らないわけ?」
俺は頷く。
「知らんな…初めの神剣が造られたのは一千万年前だ。俺が生まれたのは百万年前……始まりの神剣の起源については何も知らん。」
その剣の所持者は知っているが。
俺はゆっくりと立ち上がった。
「……お前らは学校に残っていろ。少し、旧友に会いに行ってくる。」
そう言い残し、俺は一人校舎を去った。
第五幕【ストーリーの創造主】
俺が足を踏み入れたのは、天界のとある場所。そこは幻想的な空間だった。
広がるのは鏡のように透き通った水溜り、その水面には、無限の小規模多元宇宙が浮かび上がり、ゆらゆらと瞬いている。
その中心に建つ古代の神殿。その奥に、彼女は居た。
ーー著述者クリス。
「ヴィクトニケ…?どうしたの?」
彼女は無限の多元宇宙を記述し、その因果律やストーリーすら創り替える存在。無限多元宇宙内は彼女のお陰で存在しているということだ。
「久しいな、クリス。相変わらず、自分の仕事しかしてないな。」
「私が居なきゃ、こんな宇宙。無限の数があったってすぐに壊されるし、取られるよ」
そしてすぐにクリスは思い出したように言う。
「それと…この前、無限多元宇宙…壊したでしょ。」
「クリスの手間になるかと思ってすぐに直したぞ。」
はぁ…とクリスはため息をつく。
「そういう問題じゃない…形は直っても法則とか直すの私だから。」
俺は少し反省しつつも本当に聞きたいことを聞く。
「もっと話したかったが…今回は“天界の件”について、それとデルゲ・セントラルに関わる事象を知っているか、確かめに来た。」
クリスは静かに首を振った。
「ん〜…知らない……私はただ、自分の宇宙を見て、調整しているだけ。」
「お前に見えていないということは…その者は超越存在ということか?それとも、姿を消し、逃れているというのか。」
クリスは少し間を置いてから、首を振る。
「多分どっちも違う。私自身は超越存在だし。宇宙の情報を探っても、それらしい影は見えない。過去が消されているかも。それと…私が認識できないってことは……もしかしたら…」
「……何がある?」
クリスの声は、ほんのわずかに震えていた。
「……世界の起源者。すべてを統べるもの達……使徒」
神殿に、深い沈黙が落ちた。
スキーです!いや〜今回でかなり話が進んだんじゃないですかね?アポストルという新たなる影が出てきましたね!こういう最強主人公ですら知らない未知の影ってすごくいいですよね…(語彙力)
今回のヴィクトニケの能力公開!今回は能力というよりはヴィクトニケの持つ神剣についての話になります!
概滅剣 《エンドノヴァ》
これはヴィクトニケの持つ神剣の中でも強いものでこの世の秩序や概念や因果律を斬りつける効果があり、相手がどこに居ようと自分を狙う気配を断ち切ることで相手も断ち切ることが出来るという。火力の設定は無限に出来る。
創造剣 《ジークコンセプト》
相手の能力に対して有効な力を生み出すという能力。ヴィクトニケの対応外の力でもジークコンセプトで相手に有効打を出すことによって勝てる。ついでに勝利の因果を操る力も持つ。
次回の投稿は2025年12月21日に投稿します!




