最強の能力者
スキーです!
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第一幕【目的】
「ほう…アベルがバベルに狙われていると?それが深淵世界とどう関わっているのだ」
アベルは落ち着いて話す。
「僕の能力の無限法と神限が関係しているんだ。無限法で天界に無限適応し、神限を使い、無限の広さである天界を枠になる能力と合わせ、深淵世界に行くという方法だ。これなら、天界の端に到達することが出来る」
やはり、バベルも枠になる能力を持っていた。きっと、天界のどこかに居るに違いない。
「なるほどな。だがそれでも深淵世界に到達出来るというだけであって、深淵世界での能力行使は不可能じゃないか?」
「深淵世界には、深淵能力があると言ったな…深淵能力は認めた者だけに、深淵能力を与えるんだ。元々あった能力を深淵化し、その能力を深淵世界でも使えるようにするんだ」
どうやら簡単な話でも無さそうだ。
「認めた者…?認められる条件はなんだ。それにそんな情報、誰が提供したと言うのだ」
アベルは思い出すようにして答える。
「そこまでは分からないな…深淵世界のことを知ったのは…1ヶ月前くらいか…」
丁度、俺が天界を出てデルゲ・セントラルに行ったくらいのことか。
「赤髪の男が俺の前に現れて…『1ヶ月に来たる全世界の危機にヴィクトニケを呼び、深淵世界のことを伝えろ』って…」
赤髪の男…嫌な記憶がよぎる。
「少し、頭を貸せ」
俺はアベルの頭に手を置き、アベルの記憶を遡る。
「やはり…か」
そこにはエルダが居た。確かに、アベルに深淵世界のことを伝えている。
「今さら、なんのつもりだ…」
もう二度と会わないと思ってた男だったのだがな。
「なんのことだ?」
アベルが聞いてくる。
「いや、なんでもない」
俺はアベルに質問し直す。
「それで、バベルはどこに居るんだ?枠に溶け込んでいるのであれば、すぐに引っ張り出せるのだが」
アベルは答えにくそうにしつつ答える。
「それが…分かんないんだよねぇ」
勝てば教えてやると言ってたのにとんだ嘘つきだ。
「はぁ…もういい」
俺は踵を返し、立ち去ろうとする。
「あぁちょっと待って!」
アベルが呼びとめる。
「これだけは言わせてくれ。少なくとも、バベルは天界には居ないぞ」
「なんだと…?」
「バベルの部屋を覗いた時、天界から違う世界に向かうゲートが開いていた…俺はよく分からなかったが、ヴィクトニケなら何か分かるかと思ってな」
俺はアベルに背を向けたままデルゲ・セントラルへのゲートを繋げる。
「用が出来た。下界へ戻る」
俺は一瞬にして、デルゲ・セントラル学園の校庭に戻る。
「これは…」
校庭には僅かに天界人のエネルギー反応が残っている。それに、地面もボコボコだ。
「七央達は大丈夫なのか…?」
俺はすぐさま学校内を探し回った――
第二幕【合流】
「七央!」
俺は自分のクラスに寝ている七央達の姿を捉える。そこには空兎と弓月も居た。
「ヴィクトニケ…」
空兎が近付いて俺の耳元で話す。
「さっき、赤髪の男が四天使の脅威は去った…そして約束は"果たした"と言ってどこかへ去った。何か君と関係のある人なんじゃないか?」
エルダのことだ。もう既に下界に降りていたとはな。
「約束を果たした…?」
一旦考えずに聞きたいことを聞く。
その男は俺の知り合いだな。どこへ向かったか分かるか?」
空兎は答える。
「分からないね…ただ、君ならどこへ行ったか探れるんじゃないかい?」
俺はデルゲ・セントラル全体にオーラを纏わせる。天界人の気配だけを感じ取るように。だが、天界人の気配は俺と七央と零矢、アトゥム、ハデス、アースの今、この場にいる者のものだけだった。
「存在を消しているか…それとも逃げたか」
どちらにせよ、何を企んでるのか分からん奴だ。
「それにしても…一体なにがあった?」
俺は教室に寝転がっている七央達に視線を向け直す。
「なぜ、七央達は寝ているんだ?」
「それが…僕も弓月先輩も、ここでなにがあったか見てなかったんだ。校庭に来てみれば、この有様だったというわけさ」
四天使にここまで殺られたのか、はたまたエルダか…
「でも、一つ不思議なことがあってね」
「なんだ?」
「私達がここの教室に皆を運んで来た時には既に七央さんだけが居たの」
弓月が語る。
「それに、ここの教室には赤髪の男がさっきまで居たんだ。わざわざ七央ちゃんだけ運んでくる意味が分からない…」
「そうか…分かった。空兎と弓月は、皆を見ておいてくれ、軽傷なはずだ。直に目覚めるだろう。俺はデルゲ・セントラルで赤髪の男を探してくる」
「あぁ、分かったよ。気を付けてね」
空兎も自由神が来てからやけに素直になったものだ。
俺は校舎から飛んで自分の力でエルダを探すことにした。
そして、さっきの空兎の言葉を思い出す。
「約束は果たした――か…」
俺はふとエルダとした約束について遡る。
第三幕 エピローグ【約束】
――200年前
『エルダ、お前が俺の仲間でよかったよ』
天界の広い草原の中、俺がそう言うと、エルダは俺に不思議そうな顔をして向く。
『なんでだ?』
『お前が俺の大切なものを守ってくれたからだ。俺の城がJOKERに襲撃された時、お前が来てくれなければ、俺の部下は全員殺られていたハズだ…そして、俺も…』
俺はJOKERとの戦闘時の記憶を思い出しながら語る。
『なに、大したことはない。それに、ヴィクトニケは俺に大切なものをくれたじゃないか』
エルダは答える。
『俺に、楽しさというものを教えてくれた。ヴィクトニケとクリスが、俺に楽しさを教えてくれたお陰で、今の俺があるんだ』
クリスは「フフッ」と笑い話す。
『いつもふざけてるのに、やけに真面目な話だね』
『ふざけている?俺が?』
エルダは驚いた顔で言う。
『いつもヴィクトニケと張り合ってるし、いつも負けてるし?』
『あれはふざけてしているわけではないぞ!?』
「ハハハッ」と俺は笑い、その場から立って言う。
『そうだぞ、クリス。ふざけているわけではない…エルダの実力は確かに俺に並んでる…僅差なんだぞ?むしろ、俺もエルダを超えるのに忙しい』
『ほら、そういうとこ。すぐエルダに喧嘩売るようなこと言う…』
『そんなことないがな?』
エルダは不服そうな顔で言う。
『俺のほうがヴィクトニケを超えるのに大変な思いをしている…』
俺はエルダの方を見る。
『いや、俺のほうが大変だな』
エルダも俺の方を見る。
『いや、俺だ』
俺達の視線はビリビリと音を立てる勢いで…いや、実際に立てて草原どころか天界を焼却する勢いで視線が絡む。
『馬鹿なんだか真面目なんだか』
クリスは「はぁ…」とため息をつけて言った。
『ヴィクトニケ』
エルダは俺に話を持ちかける。
『ヴィクトニケ。俺は、ヴィクトニケの一番大切なものを守る。だから、ヴィクトニケは俺達で築き上げたこの楽しさを、いつまでも守っていてくれ』
『なんだ急に…情緒不安定か』
俺はエルダの急な感情の代わりにツッコむ。
『いや、今のこのやりとりも、俺が明日ルシファーになったら、中々出来なくなるだろうな…ってな…』
明日はエルダがルシファーの称号を与えられ、天界で秩序を守る者としてバベルの右手に立つ存在になる儀式が行われる日だ。
『そうだな…だが、この思い出は決して消えはせんぞ、安心しろ』
クリスもうんうんと頷く。
『それもそうだな…!』
だが、次の日――その惨劇は天界の式内で起こる。
『ルカムス、アリエム、ガネス、カリオス、この4人を今からミカエル、ガブリエル、ラファエル、ウリエルの称号を与える』
バベルが白いカーテン越しに言う。
その瞬間――
――ザザザザガシュッ
一人の男が横から一気にルカムス、アリエム、ガネス、カリオスの胴体を斬り裂く。光の血潮が鮮明にその場に響く。
その男は紛れもなく、エルダだった。
そして、その時にバベルの姿はすでに無くなっていた。
式を見届けていた俺はすぐさま、エルダに向けて多元概念剣 《パンドラ・ヒーロー》を空間から抜いて斬りかかる。
――ガァアン!
エルダの神剣と俺の神剣がぶつかり合う。
『なんのつもりだ、エルダ!』
式内の会場では、天界人達の悲鳴が響いていた。
『ヴィクトニケ…ここはまともじゃない…今のお前に伝えるべきことではない…』
エルダの神剣は《ロード・ブレイカー》。対象の発動能力を否定し、消し去る能力を持ち、永久的な無意味を循環させるという能力を持つ剣だ。――当時の俺では到底敵わない力だった。
『ふっ!』
エルダは剣を振るい、俺の持つ全ての能力ごと斬り裂く。
『がはっ…』
《パンドラ・ヒーロー》はその場にカランッと音を立てて俺の手から落ちる。
『すまない…ヴィクトニケ。必ず、"約束は果たす"――その日が来る時に…』
そう言ってエルダは存在を不成立にし、どこかへ消えてしまった。
『くそっ…なにがあったと言うんだ…』
俺は初めて怒り…いや、悲しみの叫びをその場で叫ぶ。誰も居ない式内に俺の声だけがそこには響いた――
第四幕【両者の誓い】
俺は、昔にエルダと約束したことを思い出し、その場に立ち尽くす。俺の足元に雨粒がポツリと落ちる。
「エルダ…俺は…約束を守れてなかったな…」
その瞬間、大雨が降る。ザァーという音が街に降り注ぐ。
「お前との記憶を…楽しかった記憶を…捨ててしまっていた…」
俺は独り言を呟く。自分でもなんで勝手に言葉が出ているのか、分からなかった。
「俺は…裏切られたと勘違いしていたんだ…」
その時、俺に初めての感覚が襲ってきた。
目から水が溢れ、俺の頬を雨とは別のものが伝う。
「お前の…約束を…楽しかったと思えた記憶は…認めずに…捨ててしまっていたんだな…」
すると、雨はなぜかすぐに止み、太陽の光が俺の背中を照らす。
「ヴィクトニケらしくないな…なんだ?それは、雨か?」
俺には聞き慣れた声が後ろから聞こえてきて、俺の肩にポンッと手が置かれる。
「まだ、楽しい記憶はあるさ、ヴィクトニケが俺を覚えてくれている。それだけで十分な約束だ」
その声の主は俺の前に立つ。
「久しぶりだな。ヴィクトニケ」
バベルが、俺の親友が、目の前に立っていた。
「ヴィクトニケ、俺にまんまとはめられたな」
「ふ…今、気づいた」
俺は真実を語る。
「バベルは…既に存在しない…」
エルダは頷く。
「あぁ、200年前時点で既に…な。俺はヴィクトニケを試してたんだ」
エルダは説明する。
「200年前、バベルが俺をルシファーにする際、俺はデルゲ・セントラルのこと…ヴィクトニケのことについてを語らされた。過去の四天使候補者達はそれに賛成し、行おうとしていた。俺はそれを許せずに…バベルだけは事前に殺し、姿を隠した影となり、バベルを演じていた」
「四天使候補者達が襲われた時、バベルの影がすぐに消えたのは、バベルの影を動かしていたお前が動いたから――だな…?」
俺はそう言う。
「そうだ。バベルの作戦を実行させないためにも、俺は1ヶ月前から、ヴィクトニケにデルゲ・セントラルの監視をするように伝えたんだ。200年前では、JOKERに敵わないと思い、最近向かわせたんだ。昔のヴィクトニケにバベルの作戦を伝えれば…お前は勝手に動いてただろう?」
俺は昔のように笑って返す。
「ハハッそうだな…昔の俺は負けず嫌いだったからな…」
俺は疑問だけをエルダに伝える。
「そういえば…お前がバベルに成りすましていたのであれば、JOKERや自由神…四天使の侵攻は防げたんじゃないか?」
エルダは複雑そうな顔をして答える。
「あぁ…それなんだが、お前を成長させるためでもあったんだ」
「成長させるため…?」
「そもそも、既にバベルのために動くように仕組まれていたものは防げず…JOKERや自由神、四天使達の侵攻起源自体は防げなかった…だが、顕現してからなら止めることは出来た。それをしなかったのはヴィクトニケを成長させるためだ。事実、お前が枠を越える能力を手に出来たのは下界に来て、JOKER達と戦闘したお陰だろう?」
「そうだな…それに、バベルが深淵世界を狙ってたということ自体は本当なんだな?」
エルダは頷く。
「あぁ、それ自体は本当だ。俺は能力で深淵世界がどんなもんなのかと、少し見てみた…周辺まで来れることは出来た。だが、それ以上は無理だった…恐怖を感じたんだ。あの場には。まぁ、これについては後で話すとするよ」
「分かった…それと、最後に一つ聞きたいことがあるんだが、なぜ、新しい四天使達にバベルの命令を受けるようにしたんだ?」
エルダは顎に手を置いて考えながら喋る。
「それは俺がした訳では無いから俺も分からない。もしかしたら、四天使候補というのは昔の奴らだけでなく、後釜に使う用として、もう一組くらい作ってあったのかもしれんな…」
「そういうことだったんだな…エルダ。やはり、お前は俺の想像を超えてくる…」
「それはヴィクトニケもだ…」
「ふっ、そうか? …にしても、俺の一番大切なものがなぜ七央だと分かったのだ?」
エルダは逆になんで?という顔でこちらを見てくる。
「え?だって、ヴィクトニケと七央は付き合――」
「あっ!俺の行きつけのうどん屋さんがあるんだが、後で一緒に行かないか?天界のものかと思うくらい絶品だぞ。七央が教えてくれたんだ」
「そうか!じゃあ色々話し終わったら行くとしよう」
全く、無駄なところだけ見る男だ…
俺はワープでエルダと共に学園へ戻った――
第五幕【深淵世界】
俺が学園へ戻ると、七央達は既に起きていた。
「あっ!ヴィクトニケ!おかえり!」
七央は俺に抱きつく。
「あぁ、ただいま」
零矢からなぜか殺気の籠った視線を貰ったような気がするが、気にしないようにした。
「ヴィクトニケ!天界のお土産あるか!?」
野郎もお土産を期待して俺に走って近付いてくる。
「時間が無くて無理だった…」
野郎は「うおおおおお!」と叫びながら地面にうずくまった。
1日しか経ってないと言うのに、平和な光景に俺は安心した。
「あれ、ヴィクトニケ、その人知り合いだったの?この人が私のこと助けてくれたの!」
七央がエルダを指指す。すると、空兎とアトゥムとハデスとアースは目を見開いて一斉に口を開く。
「「「「赤髪の奴!」」」」
「アトゥム、ハデス。久しぶりだな」
俺は天界でのこと、そして、エルダとのことについて皆に話した――
「えっと…つまり、エルダは偽のバベルで…バベル本人の作戦自体は行われかけてたから、それを今まで私達に止めさせてたってことで…いいのよね?」
アスガが状況をまとめて言う。
「そういうことだ」
エルダが言う。
「今までエルダさんに僕たちは遊ばれてたんだね…」
結弦が苦笑いする。
「俺は深淵世界というのが一番気になるな…ヴィクトニケも今は既に到達出来るんだよな?次は深淵世界の調査へ行くのか?」
無羽飛が俺に言う。
「エルダ。深淵世界とは結局なんなのだ?」
エルダは神妙な面持ちで語る。
「深淵世界は…ありとあらゆる世界線や次元、時間軸に存在する世界だ。全ての世界に統合されていながらも、全ての概念や存在…非存在さえも内包しているという所だ。本質や性質は、ずっと解明されていない。いや、本質や性質自体が、深き深淵で…見ることも、観測することも、それを定義することも出来ない…そんなところか…」
ハデスが喋る。
「ん?じゃあ、今居るここも、俺達も、深淵世界の一部なのか?」
エルダは首を振る。
「そうとも言い切れない」
「なんだよ…じゃあどういうことなんだよ?」
「ここは確かに、深淵世界の一部であると言う真実はある。だが、その真実でさえも、性質でも、本質でも無いんだ。だから、一部であって、それ自体でも無い」
エルダは続けて言う。
「それに、今回の作戦には、俺と…ヴィクトニケと、クリスと、七央しか連れて行かない」
アースが口を開く。
「ちょっと待て、深淵能力に認められれば、深淵世界での活動は出来るんだよな?なら、俺たちも行けなくは無いんじゃないのか?」
「無理だ。そもそも、深淵世界に行くことが不可能なんだからな。強制的に深淵世界へ行くようにしても、座標なんてあるわけないから、天界の端に移動させられ、再び天界の世界が広がり続けるだけなんだ。そこで、俺は深淵世界に辿り着くことの出来るこの3人を使命したというわけだ…」
「そうか…」
皆が全員で行けないことを寂しがっていた。
「なに、すぐに帰ってくるさ」
俺は七央とエルダを連れて校舎から離れようとする。
「待ってくれ!」
零矢が俺に話しかける。
「俺の親について、なにか分かったか…?」
「すまないが…見つけることは出来なかった…見つけたら報告する」
零矢は俺の背中を押す。
「気を付けろよ」
俺は笑って返してみせる。
「心配することなど無い」
さらに後ろから声がかかる。
「ヴィクトニケ!深淵世界のお土産頼むぜ!」
野郎が笑いながら言う。
「深淵能力…俺にも今度見せてくれ!」
無羽飛が薄く笑いながら言う。
「また今度、お手合わせ願うよ」
結弦が手を振りながら言う。
「私に負ける前に負けたら許さないんだからね!」
アスガが喝を入れるように笑って言う。
「「ヴィクトニケ様!お気をつけて!」」
アトゥムとハデスが深く一礼をして一緒に言う。
「ヴィクトニケ、俺との勝負は今度しよう」
アースが笑いながら言う。
「みんな…ありがとう!」
七央が礼を言う。
「よし、行くぞ」
俺は七央とエルダを連れてワープする。辿り着いた場所は――
――うどん屋さん
「ちょっと!?今、完全に深淵世界に行くつもりだったのに!?」
七央がツッコむ。
「いや、さっきエルダと食べようと言ったのでな…」
「俺だって下界の食には興味がある」
七央の後ろから一人、歩いてくる。
「ごめんね、七央ちゃん。こういう人達だから」
クリスもうどん屋さんの前に集まった。
「クリスさん…ヴィクトニケ達と旅してて疲れなかった…?」
七央はクリスとコソコソ話す。
「正直、疲れてしかいなかった…」
クリスが苦笑いをして俺達は店内に入る。
「いらっしゃい!」
店主のおじさんの声が響く。
「おっ七央ちゃん!久しぶり!今日はお友達多いね!」
店主のおじさんは七央に聞く。
「あっはい!」
七央も返事をして答える。
「ヴィクトニケと七央は友達じゃなくて恋――」
「あー…!席はどこでもいいか?」
俺はエルダが変なことを言う前にとっさに話題を変える。
「今日は他にお客さん居ないからいいよ!」
俺達は座敷に座る。
「注文は?」
店員さんが来て注文を聞いてくる。
「私はえび天でお願いします!」
七央が注文する。
「私はおにぎりで大丈夫です」
クリスも注文する。
「では、俺は――」
「「ごぼ天を頼む」」
「ん?」
「ん?」
俺とエルダは一瞬だけ目線を合わせて店員さんに視線を向け直す。
「すまない。やはり――」
「「トロロうどんを頼む」」
俺とエルダは剣を構えてお互いの首に剣を添える。
「俺に喧嘩を売っているのか…?」
「お前こそ、なんのつもりだ?」
「殺るか?」
「殺ろう」
七央が俺の背中を叩き、クリスがエルダの背中を叩く。
「ここ天界じゃないしうどん屋さんだからやめて!?全世界崩壊しちゃうから!」
「壊したら許さないから…」
俺とエルダは座り直し、結局、俺がごぼ天を頼み、エルダがトロロうどんを頼んだ。
「なんだか…この雰囲気も懐かしいな」
エルダが水を飲みながら言う。
「私達は100万年以上前から生きてるからその中の200年前って考えたら短いような気もするけどね」
クリスが言う。
「特にクリスは140億歳だからな」
エルダが笑いながら言う。
「エルダ…?年齢のことは言わないでって言ったよね…?」
クリスがエルダに圧を飛ばす。
「クリス。それ以上はうどん屋さんが消し飛ぶからやめるんだ…。それに、宇宙誕生が138億年前なんだから、時系列的に考えて138億年以上は生きてることくらいバレるだろ?」
俺は水を飲みながら言う。
「そういう問題じゃない…」
クリスが俺を睨む。
「ま…まぁまぁ、せっかくの再会なんだし、ここはゆっくりしよう…!」
七央がクリスを抑える。
「エルダさんは意外と抜けてるというか…倫理観がない…」
七央がエルダを見ながら言う。
「まぁ、100万年以上から生きてても馬鹿な奴はたくさんいる。ハデスとか…戦闘IQは高いんだがな…それこそ、人間基準だと16歳でかけ算も出来ない野郎なんて一体どれほどの馬鹿なんだ…100万年、ずっと色んな世界を見てきたが、野郎ほどの馬鹿は中々居なかったぞ」
俺は野郎の馬鹿具合を思い出しながら語る。
「だろうね…」
七央は苦笑いしながら返答する。
すると奥からうどんが運ばれてきた。
「おまちどう!」
店員さんが俺達の前にうどんを運んでくる。
「いただきます」
俺はうどんを啜る。やはりここのうどんはいつ食べても絶品なものだ…
「下界の食べ物ってこんなに美味しかったか…!?200年もあれば人類も進化するものだな」
昔の下界料理しか食べてこなかったエルダは衝撃を受けている様子だ。
そして、俺達はうどんを食べ終わり、会計をして店を後にする。
「よし、天界に行くぞ」
俺は全員に目配せをする。
「準備は出来てるよ!」
七央がガッツポーズをしながら言う。
「今度は中まで探索する」
エルダも決断出来てるようだ。
「行こう…」
クリスも平常運転で言う。
俺は天界へとゲートを繋ぎ、天界へと俺達はワープした――
次回の投稿は2026年2月8日です!




