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もてもてヒロインに転生できたと思ったら「ざまぁ」されるヴィランでした  作者: 西園寺百合子


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9/50

9 親友から秘密を打ち明けられて困っています

聖 女 :フローラ・レイナ(白)

悪役令嬢:アリシア・ヴァレリ(黒)

皇太子 :オスカー・ヴァル(赤)

隣国の皇太子:ヴァン・セドリック(紫)


騎 士 :カイロ・レオン(桃)

賢 者 :ルーカス・ブレイド(橙)

宮廷医師:ジェラルド・クロウ(黄色)

講 師 :ドミニク・フェルナ(青)

「最低なのは、君のほうじゃないか?フローラの話もアリシアの話すら聞かずに、イジメていると決めつけるなんて」

そう声がしたので振り向くと、予想通り、オスカーが立っていた。

ややこしくなるから、そういうことは言わなくていいのに。

これはもうストーリーの強制力なのだから、私がアリシアをイジメていると思われるのは仕方がない。


「オスカー様、ヴァン様、申し訳ありませんが、今はアリシアが…」

そう、2人にかまっている暇はない。

泣いているアリシアを、早く落ち着かせたい。

「それなら、俺が落ち着かせよう。慰めるふりをして、またイジメるつもりなんじゃないか」

ヴァンがそう言ってアリシアの肩を掴む。


推しにここまで嫌われてしまうとは。

諦めたとはいえ、寂しい。

「君はまた、決めつけるんだね。フローラがアリシアをイジメたという証拠はあるのかい?」

堂々巡りしてる。

私がイジメたとかイジメてないとか、どうでもいい。


「2人とも、うるっさい!!泣いているアリシアを、どうにかするのが先でしょ?!」

私が大きい声を出したから、一瞬、シンっと静まり返った。

みんなに見られているのがわかる。

いたたまれなくなって、アリシアを連れて外に出た。

もうすぐ授業が始まるから、教室の外に出ている人はほとんどいない。


学校の庭園につくと、アリシアを座らせた。

色々と騒ぎがあったというのに、アリシアは一言も話さない。

「…どうしたの?」

改めて、アリシアにどうしたのか聞いてみた。

アリシアは下をむいたまま、じっとしている。

私には話したくないことなんだろうか。


「…私じゃない誰かに、話を聞いてもらう?」

アリシアがなかなか話し出さないから、そう伝えてみた。

「ううん。…フローラに、言わないといけないことがあって」

アリシアが震えている。

どうしたんだろう?


「あのね。オスカー様とお茶会をした、あの日。帰りに…ヴァン様にお会いしたの」

そうだったんだ。

それから、アリシアが話しにくそうにモジモジしている。

「それでね、ヴァン様が…私が元気ないからってカフェに連れていってくれて…」

うんうん。

やっぱりヴァンは優しいね。

感心しながらアリシアの話を聞く。


「私の愚痴とか聞いてくれて…すごく優しくて…。それでね、改めて、好きだって、告白していただいたの」

なんと!

アリシアも告白されていたんだ。

「告白されて…泣いてたの?」

そう伝えると、アリシアがまたポロポロと泣き始めた。

これではまるで、本当に私がイジメているみたいだ。


「な、泣かないで、アリシア。私がイジメてるみたいになってるから」

「あ、ごめんなさい。フローラに申し訳なくて…ごめんなさい…」

アリシアに謝られてばかりで、話が進んでいかない。

背中を擦ってあげて、ともかく落ちつかせる。

しばらくして、ようやくアリシアが話してくれた。

「私、ヴァン様のこと、好きになっちゃった」


予想はしていたけど、やっぱりそうか。

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