6 親友の恋敵にならないように正直に話します
聖 女 :フローラ・レイナ(白)
悪役令嬢:アリシア・ヴァレリ(黒)
皇太子 :オスカー・ヴァル(赤)
隣国の皇太子:ヴァン・セドリック(紫)
オスカーから遠回しに告白されてしまった。
どうしようか悩んだけど、アリシアに隠しておきたくない。
だから、正直に図書館であったことをアリシアに話した。
「そうなんだ…。実はね、私も…」
アリシアがそう言って、ヴァンに告白されたことを教えてくれた。
2人で黙り込む。
すると、アリシアが「はぁっ」と大きなため息をつく。
「ゲームの…ストーリーの強制力、だよね。私なんてヴァン様と会ったの、階段と図書館の2回だよ?それで好きって、そんなわけないじゃん」
普段のアリシアとは思えないほど言葉が乱れている。
ストーリーの強制力か。
「そうだとしたら、どうやっても私はオスカー様の恋人になるし、アリシアとヴァン様は恋人になるのかな」
そして、やっぱり私は、ざまぁされる。
「そうならないように、2人で頑張ろう!」
アリシアが私の手を握る。
「私ね、フローラがお茶に誘ってくれて、すごく嬉しかったの。異世界に来て、処刑される運命なのかもって怖くて…」
アリシアが涙を浮かべている。
まさに今の私の気持ちだ。
「でも、フローラが、ストーリーを変えちゃおうって言ってくれて、そうだなって思ったの。ゲームの世界かもしれないけど、私たちはここで生きてるんだもん」
アリシアは、やっぱり主人公だ。
キラキラして、綺麗。
「うん。そうだね。どうやって生きるかは、自分で決めていかないとね」
アリシアの手を握り返した。
アリシアの言うとおりだと思ったけど、ストーリーの強制力の強さもわかった。
だから私は、アリシアが幸せになれるように動こうと決めた。
1人では無理でも、2人で1人を幸せにすることはできるかもしれない。
ヴァンに嫌われていてもいい。
アリシアがオスカーと恋人になれるように、全力を尽くそう。
そうすれば、私にも違う道が見えてくるかもしれない。
最終的に、ざまぁされても仕方がない。
せめて、処刑じゃなくて修道院送りにしてくれたらいいなとは思うけど。
「あのね、アリシア。私、思ったんだけど」
あらためて、アリシアに攻略方法を提案した。
「まずは、アリシアとオスカー様が恋人になるようにしたらどうかしら?オスカー様が私から離れてくれないと、私が自由にヴァン様を追っかけるのは難しそうだし」
これは、本当のことだ。
「なるほど。私とオスカー様が恋人になってしまえば、フローラをフォローしやすいかも」
そういうわけで、アリシアとオスカーラブラブ大作戦(改)がスタートした。




