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もてもてヒロインに転生できたと思ったら「ざまぁ」されるヴィランでした  作者: 西園寺百合子


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5/50

5 推しに嫌われているようです

聖 女 :フローラ・レイナ(白)

悪役令嬢:アリシア・ヴァレリ(黒)

皇太子 :オスカー・ヴァル(赤)

隣国の皇太子:ヴァン・セドリック(紫)

「図書館に一緒に行ってあげるから、今度のオスカー様とのお茶会、フローラにも来てほしいの」

アリシアにそう言われて首をひねった。

「え?私…いないほうがいいんじゃない?」

そう伝えると、アリシアの顔が真っ赤になる。

可愛い。


「ふ、ふたりきりになると、何を話したらいいのかわからないんだもん。オスカー様が気をつかって色々と話してくださるけれど、申し訳なくて…」

なるほど。

好きな人の前ではおとなしくなっちゃうタイプか。

「うん、オッケーだよ。盛り上げつつ、アリシアの魅力をオスカーに伝えてあげる」

そう伝えて、2人でキャッキャとクエストを終わらせた。


翌日、アリシアと一緒に図書館に行く。

すると、いた!

やっぱり、ヴァン様と図書館で会うにはアリシアが必要だったみたいだ。


「あ、ヴァン様。偶然ですね」

全然、偶然じゃないけど、偶然を装って話しかけてみる。

ヴァンがチラッと私を見て、アリシアを見た。


ふうっとため息をつかれる。

イケメンのため息は美しいと初めて知った。

「…君は、アリシア・ヴァレリを召使いのように使っているのか?」

思いがけない言葉に、きょとんとする。

「フ、フローラは、私の大切なお友達です!」


私が何も言い返せないでいると、アリシアがそう訴えてくれた。

「君も、聖女様のご機嫌をとる必要はないよ。この間も、階段から突き落とされたんだろう。もう少し距離をとるべきだと思うよ」

ヴァンは、私のことをチラリとも見ないで図書館から出ていった。


これは、もしかしなくても、私、ヴァンに嫌われている。

アリシアをイジメていると思われていて、アリシアを階段から突き落としたとも思われている。

どうしてそんな勘違いをされてしまったのか。


いや、そういうストーリーのゲームだからなのかもしれない。

私は本当にアリシアをイジメていないけど、イジメたことになるのかもしれない。

オスカーと恋人になるつもりはないけど、いつの間にか恋人になって、ざまぁされて、処刑されてしまうのかも…


「私、ヴァン様に話してくるから!」

アリシアがそう言って、図書館から出ていった。

涙が溢れる。

ヴァン様だけじゃない。

クラスのモブたちも、私のことを悪く言ってる。

きっと、アリシアをイジメていると思われてるんだ。


何もしていないのに、いつの間にかゲームのストーリーと同じになってく。

…ヴァン様を諦めて、逃げようかな。

呆然と床を見ていたら、肩をたたかれた。


「フローラ!ここにいたんだ。君が本を読むイメージはなかったけど、何か調べものかい?」

オスカーだ。

やばい、泣きそうになってたから、ヒドイ顔してると思う。

慌てて顔を隠す。

「お、オスカー様。私だって、本くらい読みます。もうお城に帰られるお時間でしょ」

早く、ひとりにさせてほしい。


そう思っていたら、オスカーが私の顔をのぞきこんできた。

「え?泣いてたの?」

王族だからなのか、デリカシーが無い。

こういうときは、そっとしておくものじゃないのか。

「オスカー様には関係ありません」


そう伝えると、手をとられた。

「俺は君のことが好きだから、関係なくはないよ」

そう言われて、不覚にも、きゅんとした。

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