43 ざまぁ終了のようです
聖 女 :フローラ・レイナ(白)
悪役令嬢:アリシア・ヴァレリ(黒)
皇太子 :オスカー・ヴァル(赤)
隣国の皇太子:ヴァン・セドリック(紫)
騎 士 :カイロ・レオン(桃)
賢 者 :ルーカス・ブレイド(橙)
宮廷医師:ジェラルド・クロウ(黄色)
講 師 :ドミニク・フェルナ(青)
オスカーの許嫁:イザベル・サンダー(なし)
クラスメイト:セリーナ・クロウ(なし)
私がしっかりと瞳を見たからか、セリーナもイザベルも少し怯んだようにみえた。
「そ、そうやって、自分の罪を軽くしようとする行為もまた品位に欠けますわ。そうは思いませんか?」
イザベルが誰かに向かってそう言った。
ここに集まっている皆さまということだろう。
だけど、それは想定していた問答だ。
「品位…というのであれば、イザベル嬢もお言葉を慎まれた方がいいのではなくて?」
アリシアがそう言って立ち上がる。
イザベルが、また、怯んだ。
「実はこのたび、我がヴァレリ家は正式に、サンダー家との関係を切ることにいたしましたの」
アリシアがそういって、扇で口元を隠した。
これは…悪役令嬢アリシア・ヴァレリだ。
「セリーナ嬢。残念でしたわね。サンダー家からクロウ家への融資も、期待できなくなりましたわ」
私がそう言うと、セリーナの顔が青ざめた。
あれから、アリシアとヴァンが調べてくれて、サンダー家からクロウ家へ融資の話があることがわかった。
それが、私とアリシアを陥れるための手助けをする報酬らしいということも。
「サンダー家は…そうね。もしかしたら、没落?してしまうかもしれませんわ。そうなったら、どうかしら。没落貴族と聖女様とであれば、どちらが皇太子妃にふさわしいかはあきらかではなくて?」
アリシアがのってきている。
ノリノリだ。
いいな…私も悪役やってみたい。
っていうか、そもそも私がヴィランなのに。
「それ以前に、こんな茶番をご披露されるような方、『品位』が疑われますわよね?そうは思いませんか?」
負けじと私がそう言って、まわりの人を見た。
イザベルも青ざめている。
「で、でも…私、見ましたのよ!フローラとヴァン様が2人で…」
イザベルがそう言ったところに、オスカーとヴァンが割り込んできた。
「その話だけど、フローラとヴァンが何度も2人で密会しているというのは、嘘、だよね?」
オスカーがそう言って、水晶を出した。
「ここにいる人のほとんどは知らないと思うけれど、ヴァン・セドリックは隣国の皇太子だ」
オスカーがそう言って、ヴァンの正体をあかしてしまった。
もう、ゲームのストーリーはめちゃめちゃだなと思う。
みんながザワザワとしている。
イザベルとセリーナは、やはりそのことを知っていたみたいだ。
「隣国の皇太子になにかあっては我が国の失態。そのため、ヴァン殿下には常に護衛と、何かあったときのために記録が残されている」
そう言うと、水晶が光りはじめた。
そこには、学園生活をおくるヴァンが映し出されていた。
「イザベル嬢が言った『パーティーの先週』から見ていったが、ヴァンは常にアリシアと一緒にいて、フローラと密会していた事実は確認できない」
オスカーがそう言うと、ヴァンはうんうんと頷いた。
「念のため、遡って調べたけれど、やはり密会の事実はなかった。それは、賢者であるルーカス・ブレイドも証明してくれる」
そう言うと、ルーカスが前に出てきた。
「我が国の皇太子、オスカー・ヴァルの婚約者内定の場で偽証したことにより、皇太子妃教育の準備を遅らせた罪は重い。イザベル・サンダー、ならびに、セリーナ・クロウは、修道院送りとする」
カイロが何か紙を読み上げている。
「父上に、初めて泣きついたよ」
オスカーがそう、私の耳元で囁いた。
たしかにこれは、オスカーだけではできないことだろう。




