39 やっぱりストーリーの強制力は強いようです
聖 女 :フローラ・レイナ(白)
悪役令嬢:アリシア・ヴァレリ(黒)
皇太子 :オスカー・ヴァル(赤)
隣国の皇太子:ヴァン・セドリック(紫)
騎 士 :カイロ・レオン(桃)
賢 者 :ルーカス・ブレイド(橙)
宮廷医師:ジェラルド・クロウ(黄色)
講 師 :ドミニク・フェルナ(青)
オスカーの許嫁:イザベル・サンダー(なし)
クラスメイト:セリーナ・クロウ(なし)
「あのね…今の状況が、キミカナT…つまり、ゲームのストーリーに似ているような気がして」
キミカナTで、私はアリシアとヴァンに、アリシアをイジメたことを追求される。
そして、聖女としての品位にかける、聖女としてあるまじきとして処刑されちゃう。
今、私は、イザベルとセリーナに、ヴァンと密会していたことを追求されてる。
そして、聖女としての品位にかける、聖女としてあるまじきだと、噂を流されている。
ヴァンと密会していたなんていうのは嘘も嘘、大嘘なわけだけど。
信じる人が増えれば、嘘が真となってしまうかもしれない。
そうなれば、ゲーム同様、私は処刑されるかもしれない。
問題は、オスカーやヴァンも巻き込んでしまうかもしれないということ。
「イザベル様とセリーナ様がオスカー様やヴァン様を巻き込むとは思いませんが…」
私がそう言うと、ヴァンが「なるほど」と腕を組んだ。
「イザベル嬢はサンダー家の令嬢だったね。貴族どもを黙らせるかわりに、オスカーとイザベル嬢の婚約を押し進めようとするかもしれないな」
そういう手もあったかと、ヴァンの話を聞きながら思った。
「で、品位にかける聖女のお相手とされるヴァンを、セリーナ嬢が慰めて…つけいるつもり、かな~?ヴァンの正体を知っているのは、俺たちと一部の貴族と講師しか知らないしね」
オスカーはそう言ったけど…
「もしかしたら、イザベル嬢は俺のことに気がついているかもしれないな」
ヴァンがそう言った。
私もそう思う。
「イザベル嬢から、セリーナ嬢にヴァンの正体を話されていたら、やっかいかもね」
オスカーがそう言ってため息をついた。
隣国の皇太子であるヴァンは着々とアリシアとの結婚の準備を進めている。
そんななか、聖女ともよろしくやっていました、なんて、対外的によくない。
隣国に噂を広めない代わりに、セリーナとの婚約をサンダー家から申し出されたら、ヴァレリ家は受け入れてしまう気がする。
大人の世界って、面倒くさい。
ゲームだったら、こんなドロドロしたところは見なくていいのに。
アリシアはずっと黙っている。
「ごめんね。私が噂が嘘だって証明できないために、アリシアやヴァン様にまでご迷惑をかけちゃって」
そう声をかけると、アリシアが首を横に振った。
「違うの…あの噂。もしかしたら、私のせいかもって…思ってて…」
アリシアが突然、とんでもないことを言いだした。




