38 悪い噂が広がっているようです
聖 女 :フローラ・レイナ(白)
悪役令嬢:アリシア・ヴァレリ(黒)
皇太子 :オスカー・ヴァル(赤)
隣国の皇太子:ヴァン・セドリック(紫)
騎 士 :カイロ・レオン(桃)
賢 者 :ルーカス・ブレイド(橙)
宮廷医師:ジェラルド・クロウ(黄色)
講 師 :ドミニク・フェルナ(青)
オスカーの許嫁:イザベル・サンダー(なし)
クラスメイト:セリーナ・クロウ(なし)
パーティー会場でオスカーは私をかばってくれたけど、パーティーで婚約者の内定が公表されることはなかった。
オスカーは押し切ろうとしていたけど、周りの偉い人がそれを許さなかったみたいだ。
それをいいことに、イザベルとセリーナがあることないこと噂を流しているみたいだ。
オスカーとヴァンはそんな噂は気にしていないけど、周りはそういう目でみてくれない。
オスカーには悪いけど、ちょっとだけホッとしている自分がいる。
彼のことは好きだけど、皇太子妃になる自信はまだない。
ただ、私のことは置いておいて、ヴァンのことは潔白だと証明しないといけないだろう。
ヴァンは隣国の皇太子なのだ。
隣国の皇太子が皇太子の想い人を横から奪ったなんてゴシップ、面白すぎてすぐに噂は広がってしまうだろう。
3年になるまでには、なんとかしなければいけない。
久しぶりにアリシアと2人でお茶会。
「もう、酷い噂だよね」
アリシアがぷんぷん怒っていて可愛い。
本当にアリシアと友達になれてよかった。
どんなにひどい噂を流されても、たぶん、アリシアは私をかばってくれるだろう。
でも…どうしても不安が消えていかない。
私が暗い顔をしているのを見て、アリシアが私の手を握ってくれた。
「…ちゃんと、オスカー様と話はしてる?不安なこととか、お伝えしたほうがいいと思うの。フローラはすぐに自分でなんとかしようとするけど」
アリシアがそう言って微笑む。
「大切な人がひとりで悩んでいるのは、寂しいと思わない?私もね、ヴァン様に心配をかけたくなくて、ひとりで頑張ろうとしたことがあるんだけど。一緒に頑張ったほうがいいなって思ったの」
アリシアにそう言われて、少し悩む。
でも、確かにアリシアの言うとおりだ。
ひとりで不安になって悩んでいてもどうにもならない。
「アリシア、相談したいことがあるの。オスカー様と、できれば、ヴァン様も一緒に」
そう伝えて4人で会うことにした。
数日後、王城の応接室に4人で集まる。
本当は、もう少しこっそり会いたかったのだけど、そういうわけにいかなかった。
「で、相談って何?俺にだけ、相談してくれてもよかったんだよ?」
オスカーがそう言って微笑む。
アリシアだけじゃなく、ヴァンまで呼んだのが気に入らなかったみたいだ。
「相談…というか、不安なことを聞いてほしいというか…」
言い淀む。
確信があるわけじゃない、私の推論をこれから3人に聞いてもらおうというのだから。
少しモジモジとして、ゆっくりと話しを始めた。




