34 剣術を学ぶのを反対されるようです
聖 女 :フローラ・レイナ(白)
悪役令嬢:アリシア・ヴァレリ(黒)
皇太子 :オスカー・ヴァル(赤)
隣国の皇太子:ヴァン・セドリック(紫)
騎 士 :カイロ・レオン(桃)
賢 者 :ルーカス・ブレイド(橙)
宮廷医師:ジェラルド・クロウ(黄色)
講 師 :ドミニク・フェルナ(青)
オスカーの許嫁:イザベル・サンダー(なし)
クラスメイト:セリーナ・クロウ(なし)
「ええ?!剣術を学ぶつもりなの?」
オスカーが立ち上がって驚いている。
女性はあまり剣術は学ばないそうだから、まあ驚くでしょう。
でも、異世界転生した私は知っている。
女性剣士って、かっこいいということを!
憧れる…
「いや…騎士科に行くのはいいとして、剣はどうだろう。弓とか…騎士科でも馬のお世話を勉強するコースもあるし…」
「剣術が学びたいんです」
私がそう言うと、オスカーは複雑な顔をした。
「フローラ、もう1つ確認なんだけど…」
オスカーが私の手をとる。
手汗が心配だったけど、ぎゅっと握られてしまった。
「俺と結婚してくれるよね?」
オスカーに真っすぐ見つめられて、言葉につまる。
正直なことを言うと、まだ、心の準備ができていない。
オスカーが平民の男性だったら、二つ返事でOKしていたけど、皇太子妃となると、私でいいのだろうかと不安に思っている。
オスカーのことは好き。
なんなら、大好き。
ただ、私は聖女というだけで、この国の一般常識がない。
皇太子妃だと認めてもらえるように、頑張れるだろうか。
「え…っと、」
オスカーのことは好きだと伝えなきゃと思うのに、言葉が続かない。
「俺は守ってもらいたいんじゃなくて、フローラを守りたいんだ。だから、剣術なんて危険なことはしてほしくない」
守りたいと言われて、きゅんとする。
オスカーは私をきゅん死させるつもりなのかもしれない。
顔が熱くなる。
たぶん、真っ赤になっていることだろう。
恥ずかしくて、俯いた。
オスカーはちゃんと話してくれているのだから、私もちゃんと答えないといけない。
「…オスカー様。私、オスカー様のことは好きです。でも、皇太子妃にと言われると、まだ自信がありません。だから、自分に自信をつけたいんです」
私がそう伝えると、オスカーは黙ってしまった。
怒らせたかなと、ちらっと目線をあげると、オスカーが真っ赤になっている。
伝わった、かな…?
「わかった!皇太子をやめよう!廃太子にしてもらうよ。待ってて!」
オスカーがそう言って立ち上がったので、全力で止めた。
私のこれまでの苦労を、水の泡にしないで…
「大丈夫だよ。俺の兄弟、5人もいるし。誰かが代わってくれると思うから」
さらっと言われて、引いた。
兄弟、5人もいたんだ…知らなかった。
王城で会ってないけど。
「ああ、将来、王位を争わないようにって、俺以外、養子に出されちゃってるんだけどね~」
オスカーが「でも、大丈夫だよ」と言った。
何が大丈夫なのかわからないし、廃太子になる方向で話を進めないでほしい。
「廃太子になるなら、結婚はしません!」
そう言い捨てて、その場をあとにした。




