32 主人公のことはヒーローに任せることにします
聖 女 :フローラ・レイナ(白)
悪役令嬢:アリシア・ヴァレリ(黒)
皇太子 :オスカー・ヴァル(赤)
隣国の皇太子:ヴァン・セドリック(紫)
オスカーの許嫁:イザベル・サンダー(なし)
クラスメイト:セリーナ・クロウ(なし)
アリシアをイジメている人は、セリーナ・クロウというご令嬢らしい。
…誰?
キミカナにはもちろん、キミカナTにも出てきていないと思う。
アリシアにも確認してみたけど、キミカナにはセリーナ・クロウは出てきてない。
アリシアいわく、同じクラスにいるらしいけど。
ほんとに、誰?
「セリーナ・クロウさんも、ヴァン様のことが好きみたいで…私とは…釣り合わないって…」
アリシアがそう言ってポロポロと泣いた。
まとめると、嫌味を言われたり、ヴァンにちょっかいを出したりされているらしい。
それなら、ヴァンも気がついているだろう。
アリシアには言わないって言ったけど、ヴァンにそれとなく伝えておこう。
キミカナTで、アリシアがヴァンルートを選ばなかった場合、ヴァンは静かに隣国に帰っていく。
そして、隣国から私とオスカーを追及する。
隣国に帰ってからどうするかはわからないけど、少なくとも学園で恋人を見つけることはない。
ヴァンがアリシア以外の女性に興味を持つとは思えないから、セリーナ・クロウからいくらアプローチされても大丈夫だと思うけどね。
ヴァンはいいとして、オスカーはどうだろう。
キミカナでは、オスカーはイザベルとくっつくという未来もあった。
イザベルからアプローチをされ続けたら、オスカーもふらふらしちゃうかもしれない。
アリシアには寮に帰るように言って、ヴァンを探してみる。
私はオスカーとは違って男子寮に乗り込む勇気はないから、なんとか学園で会いたい。
「あれ?フローラ嬢。まだ、帰っていなかったんですか?」
ヴァンと図書館で会うことができた。
やっぱりこの人、図書館で会う人なんだなと思った。
「実は、アリシアのことで話があって。お時間、いただけますか?」
そう話しかけて、アリシアがセリーナ・クロウにイジメられているかもしれないと話した。
ヴァンが怒っている。
「誰ですか?その、セリーナ・クロウというのは!」
めっちゃ怒ってるけど…
「ヴァン様にもちょっかいを出していると聞きましたけど…ご存じありませんか?」
私がそう伝えると、ヴァンがちょっと考えている。
「ちょっかい…アリシアしか見ていなかったので。ん~…ちょっかい、出されてたかな?」
セリーナ・クロウのことをヴァンは認識していないようだ。
アリシア、ヴァンは、大丈夫そうだよ。
少し、ホッとした。
「あの…アリシアのこと、教えてくれてありがとう。アリシアのことは、俺が守るから安心してくれ」
あのヴァンに、私を嫌っていたヴァンに、お礼を言われてしまった。
「ありがとう。アリシアは私の大切な親友だから。よろしくお願いします」
そう言って頭を下げた。
本当は私が守ってあげたいけど、私自身がイジメられているから、アリシアの近くにいることがベストではないかもしれない。
ここは、ヴァンに任せようと思った。




