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もてもてヒロインに転生できたと思ったら「ざまぁ」されるヴィランでした  作者: 西園寺百合子


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30/50

30 秘密のカレーデートです

聖 女 :フローラ・レイナ(白)

悪役令嬢:アリシア・ヴァレリ(黒)

皇太子 :オスカー・ヴァル(赤)

隣国の皇太子:ヴァン・セドリック(紫)


オスカーの許嫁:イザベル・サンダー(なし)

腕を掴まれて、ぎょっとして振り返る。


「ひとりで散歩?奇遇だね、俺も」

ひょうひょうとそう言うオスカーを見て、心底、ホッとした。

ホッとして、オスカーに抱きつく。

自分の行動に、自分が1番ビックリした。

「ビックリしたじゃん。…もう…」


不安とか寂しさとか、空腹とか。

色んなものが、涙と一緒に溢れてしまった。

オスカーを困らせるってわかってるのに。

「うん。ひとりにさせてごめんね」

オスカーがそう言って、背中を擦ってくれた。

優しいじゃないか。

そんな風に優しくされると、涙が止まらないんだぞ…


オスカーに抱きついたまま、しっかり泣いて、スッキリした。

「…っ、で、どうして、ここにいらっしゃるんですか?」

まだ、鼻に鳴き声が残っていて恥ずかしい。

「散歩…じゃなくて。心配だったからに、決まってるだろ」

オスカーが照れたように空を見る。

オスカーが照れるなんて、私のほうが照れるじゃないか。


「…ありがとう。そういうところ…その…好き」

モジモジしながら、そう伝えてみた。

沈黙…

なんか言ってよ、恥ずかしい。

そう思ってオスカーを見たら、オスカーが赤くなっていて、さらに恥ずかしくなった。


きゅるきゅるきゅるきゅるるるぅぅ…


すごくいいところで、お腹が盛大に鳴った。

そういえば、お腹空いてたんでした。

「ご飯、食べてこなかったの?」

オスカーに言われて、何と答えたものか悩む。

「…ああ、イザベルと同じグループだったよね。こっちにおいで」


オスカーがそう言って、少し開けたところに連れてきてくれた。

なぜか、騎士のカイロがいる。

「準備はできてますが…本当に、こちらに泊まるんですか?」

そう言って、テントを見せた。

「うん。今日は、フローラとここに泊まるから。俺のグループとフローラのグループの先生にそう伝えておいて」

オスカーがすごくめちゃくちゃなことを言いだした。


「え?か、課外授業って、それで、いいんですか?」

100歩譲って私はいいだろうけど。

いても居なくてもだしね。

オスカーはダメなんじゃないだろうか。

一応、皇太子殿下なんだし。


「私はこのテントに泊まらせていただいて、オスカー様は施設に戻ったほうがいいですよ」

「フローラは戻らないんだろ?じゃあ、俺も戻らない」

オスカーがそういうと「カレーを作ろう」と張り切っている。

正直に言えば、すごく嬉しい。

でも、これは皇太子としてよくない。


「わかりました。私も施設に戻りますから、オスカー様も戻ってください。皇太子ともあろう方が、課外授業をサボるなんてよくないです」

クラスの中だけならともかく、全学年が参加する課外授業だ。

オスカーに悪い噂がたつのは好ましくない。

オスカーが少し悩んで「わかった。カレーを食べたら戻ろう」と言った。


カレーは私も食べたい。

そんなわけで、2人でカレーを作って食べた。

カイロがアリシアと同じグループだったから、アリシアがどうしているか聞いたところ、ヴァンと消えたらしい。

ラブラブならよかった。

いらぬ心配だったようだ。


「なんだ。俺に会いにこようとしてくれてたんじゃないんだ」

オスカーがそう言って膨れている。

「オスカー様は心配しなくても、お強いから大丈夫だと思ったんですもの」

そう伝えて、オスカーの手を握った。


カレーを食べて、2人で空を眺めて、オスカーに施設まで送ってもらう。

本当は、ずっと一緒に居たい。

でも、私が帰れと言った手前、我儘も言えない。

「早く…課外授業が終わるといいですね」

そう伝えるのが、精一杯だった。

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