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もてもてヒロインに転生できたと思ったら「ざまぁ」されるヴィランでした  作者: 西園寺百合子


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3/50

3 出会いイベントを発生させようと思います

聖 女 :フローラ・レイナ

悪役令嬢:アリシア・ヴァレリ

皇太子 :オスカー・ヴァル

隣国の皇太子:ヴァン・セドリック

「やあ、君が聖女のフローラ・レイナだね。フローラって呼んでもいい?」


きたきた、皇太子オスカー・ヴァル。

「いえ、フローラ・レイナでお願いします。それより、皇太子様。私のお友達を紹介させてください」

挨拶もしない不敬な女の子を演じてみる。

「帝国の星、皇太子殿下にご挨拶申し上げます」

アリシアが見事な挨拶をする。

さすが、御令嬢は違う。


オスカーのキャラクターカラーは赤。

アリシアのキャラクターカラーは黒。

お似合いなんだよね。

オスカーがカッコいいのは乙女ゲームだから当然なんだけど、アリシアもとても綺麗なのだ。

私、つまりはフローラは可愛い系なのに対して、アリシアはお姉さま系の綺麗さがある。


「ふうん。フローラのお友達なんだ。よろしくね。学園内では、堅苦しい挨拶はしなくていいからね」

オスカーはそう言って、私を見た。

フローラって呼ぶなって言ったのに。

「フローラは、お昼はどうするの?よかったら、一緒にランチをどうかな?」

オスカーにそう言われて戸惑う。

ゲームのオスカーってこんなにグイグイくるタイプだったっけ?


「用事がありますので、また今度にさせてください」

本当はアリシアとオスカーを2人にしてあげたいから、2人でどうぞと言いたかったけど。

お昼休みにはヴァンとの出会いイベントが待っている。

「ごめんね、アリシア」

小声で伝えると「出会いイベントが無事終わったら、よろしく」と返された。

もちろん、もちろん。


つまらない授業を受けながら考える。

そっか、この世界はキミカナじゃないから、オスカーがグイグイくるのかも。

アリシアとヴァンが恋人になって、私とオスカーをざまぁするのがメインルートだから、私とオスカーがくっつくように話が進められているのかもしれない。

気をつけないと。

アリシアのためだけじゃなく、私のためにも、できるだけ、オスカーには近づかないようにしよう。


お昼休みになって、アリシアと2人で出会いイベントが発生する場所に向かう。

そこは、普段はあまり使われない建物の階段。

キミカナてぃーでは、ここで、聖女が悪役令嬢をイジメる。

勢いあまって聖女が悪役令嬢を階段から突き落としたところで、ヴァンがアリシアを助けるのだ。


だが、それでは私がヴァンに嫌われてしまう。

ざまぁ一直線だ。

だから、アリシアには不注意で落ちそうになってもらう必要がある。

本当に落ちる必要はない。

キミカナてぃーでも、落ちる前にヴァンが助けてくれていたから。


アリシアが階段で「こうやったら滑るかしら」と練習している。

何度か、それっぽく落ちそうになってもらっているけど、全然ヴァンは現れない。

「今日じゃなかったのかな?」

ぽつりと呟く。

ゲームでは『数日後』と書かれていただけで、詳しく何日にイベントが起こるかまでは記載されない。

「今日じゃなかったら、明日もこればいいよ」


アリシアがそう言って、上の段にいる私のところにこようとして、本当に足を滑らせた。

「アリシア!!」

びっくりして手を伸ばす。

アリシアも手を伸ばしてくれたけど、あとちょっとのところで掴めないまま、落ちていった。

人が落ちるときって、一瞬だと思っていたけど、とてもゆっくり落ちていく。


体が固まって動けないでいると、紫色の髪の毛が見えた。

人が落ちるような音は、していない。

かわりに「大丈夫?」と美ボイスが聞こえてきた。

アリシアの体を、ヴァンが支えてくれていた。


目の前に、ヴァン・セドリックがいる。

でも、それよりも。

「あ、アリシア~。よかったよ~」

本当に落ちたかと思った。

ほっとして、ポロポロと涙が溢れる。


「ご、ごめんね。私も、落ちたかと思った~」

アリシアも泣いている。

怖かったんだろう。

目の前に会いたかったヴァンが居るのに、ほったらかしにして、アリシアと抱き合って泣いてしまった。

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