26 聖地巡礼からの許嫁問題です
聖 女 :フローラ・レイナ(白)
悪役令嬢:アリシア・ヴァレリ(黒)
皇太子 :オスカー・ヴァル(赤)
隣国の皇太子:ヴァン・セドリック(紫)
騎 士 :カイロ・レオン(桃)
賢 者 :ルーカス・ブレイド(橙)
宮廷医師:ジェラルド・クロウ(黄色)
講 師 :ドミニク・フェルナ(青)
オスカーの許嫁:イザベル・サンダー(なし)
今日は、王城にお邪魔している。
もちろん、オスカーに会うためなんだけど。
せっかくだから、アリシアとヴァンも一緒に行くことにした。
ヴァンはアリシアが行くからついてきただけ。
アリシアは…
「きゃ~!!キミカナに出てきた、お城!これ、これっ!」
「ここ、あれだよね、オープニングの!」
2人で聖地巡礼中である。
ずっと会えなかった賢者のルーカス・ブレイドと、宮廷医師のジェラルド・クロウにも会うことができた。
推しじゃなかったけど、やっぱりかっこいい。
「橙担と黄担に、申し訳ない!」
「拝んでおこう!」
そう言って、2人で拝ませていただいた。
ヴァンが温かく見守っていてくれたのが、不幸中の幸いと言えるだろう。
聖地巡礼を経て、オスカーの待つ応接室へ通してもらった。
オスカーに会いに来たのはほかでもない、イザベル様のことだ。
キミカナでもキミカナTでもイザベル様は名前すら出てこなかったから、まさかクラスメイトになるとは思っていなかった。
とはいえ、そもそも、私が許嫁と再会させようとしたことで起こってしまったこと。
許嫁がいるのに、私が恋人でいていいのかという相談だ。
「別に、いいと思うよ」
さらっとオスカーがいい、ヴァンもコクコクうなずいている。
「でも…」
許嫁と言うくらいだから、幼い頃から皇太子妃になるための教育を受けているに違いない。
異世界からひょいっと来た私より、ずっと皇太子妃にふさわしいだろう。
「だって、許嫁なんて15人…もうちょっといたっけ?」
オスカーがさらっとスゴイことを言った。
ここは、一夫多妻制の世界でしたっけ?
「え??15人って。もしかして、ヴァン様にも許嫁がいらっしゃるんですか?」
アリシアがヴァンの胸ぐらを掴んでいる。
「ふ、普通、許嫁はそれくらい…いるんじゃないか?」
ヴァンがアリシアをなだめている。
オスカーとヴァンの話をまとめると、こんな感じだ。
許嫁というのは、王家に嫁ぐにふさわしい令嬢のこと。
1人にしておくと、亡くなったり、病気になったときに大変だから、大勢いたほうがいいじゃないかということで、身分が高い令嬢はことごとく許嫁になるらしい。
つまり、皇太子妃になる資格があるというだけで、イコール結婚相手というわけではないのだそうだ。
そんな許嫁ってある?
「だから、皇太子の許嫁でも好きな男性ができたり、いい話がくれば、許嫁を解消して別の人と結婚するなんてよくあるんだよ」
そう言われて、なんだかモヤっとしたけど、そういう文化なら仕方がない。
「ふうん。つまり、皇太子って、よりどりみどりなわけですのね」
アリシアが頬を膨らませている。
小動物アリシア、可愛い。
ヴァンがデレデレしながら、なだめている。
「でも、イザベル様はオスカー様のことを好いていらっしゃいますよ?」
問題はそこだ。
許嫁であるイザベルは、オスカーが好き。
「だが、聖女であるフローラ嬢のほうが、イザベル嬢より、皇太子妃にと思うものは多いんじゃないか?」
ヴァンがそう言うと、オスカーが「そうだね」と言った。
「現状では、俺がフローラと結婚することに反対するものはいないと思うが。サンダー家はやっかいだから」
オズカーがため息をついた。
ん?
なぜか私、オスカーと結婚する前提で話が進んでるんですね。




