24 独占欲ヴァーサス妄想癖です
聖 女 :フローラ・レイナ(白)
悪役令嬢:アリシア・ヴァレリ(黒)
皇太子 :オスカー・ヴァル(赤)
隣国の皇太子:ヴァン・セドリック(紫)
騎 士 :カイロ・レオン(桃)
賢 者 :ルーカス・ブレイド(橙)
宮廷医師:ジェラルド・クロウ(黄色)
講 師 :ドミニク・フェルナ(青)
オスカーの許嫁:イザベル・サンダー(なし)
オスカーがため息をつく。
「アリシアにね、『げーむ』とやらのことを聞いたよ」
突然、そう言われてビックリする。
「いまだによくわからないけど、俺もヴァンも、『げーむ』のキャラクターで、俺はアリシアとヴァンに『ざまぁ』というのをされるんだよね。君と恋人になると」
オスカーの口から、ざまぁとか出てくるとは思わなくて、きょとんとする。
「アリシアが心配しているよ?…フローラの元気がないって。俺とのことが原因なんじゃないかって話してくれたんだ」
オスカーに説明してもらって、状況はなんとなくわかった。
「そう…でしたか。アリシアに、バレちゃってたんですね」
不甲斐ない。
アリシアのことは、ちゃんと騙せていると思っていたのに、心配をかけていたなんて。
「君が不安にならないようにって、『ざまぁしません』という誓約書まで書いてくれたよ」
そう言って、オスカーがその書面を見せてくれた。
『アリシア・ヴァレリと、ヴァン・セドリックは、フローラ・レイナとオスカー・ヴァルにざまぁいたしません』
ぷっと、吹き出す。
「『ざまぁいたしません』って…なんですか、この誓約書…」
ヴァンは、ざまぁがなんのことかもわからず署名したんだろう。
そのときの様子を思い浮かべて、クスクスと笑った。
「俺も、ざまぁに関しては勉強不足だけど、これで、フローラの不安が無くなってくれたら嬉しい」
オスカーが、私の手をとる。
「もしも、万一、何かが起こって、廃太子になっても、フローラと一緒に居られるなら、その運命を受け入れてもいいと思ってる。でも、フローラがそれを望んでないなら、どんなことをしてもこの地位を守ろう」
オスカーが私を真っすぐに見るから、目をはなせない。
私の推しは、…キミカナでの推しだけど、かっこいい。
「どうか、俺と結婚してくれないだろうか」
「……?」
あれ?なんか、飛んでない?
一段、とんでるよね?
「ここは、付き合って、と言うところじゃなくて?」
「え?…両想いなんだし、結婚しちゃえばいいじゃないか」
2人で見つめ合う。
ぷっと、また吹き出してしまった。
全部の不安がぬぐい切れたわけじゃない。
でも、このままオスカーと会えなくなるのは、やっぱり嫌だ。
「まずは、恋人からお願いします」
そう、頭をさげた。
それから、2人で話をした。
女子寮の部屋なんだけどね…
ときどき、カイロが私に話しかけてきたのは、オスカーが私の近況を探らせていたらしい。
それで、あんなにしどろもどろだったのか。
1か月かけて、アリシアに私のことを聞きだして、本日に至ったそうだ。
ゲームではただ、まっすぐな元気ボーイだと思っていたけど。
「意外と執着するタイプなのかな…」
ぽそっと呟くと「俺のこと?」とオスカーが私の顔をのぞき込む。
聞こえていたか。
「俺、独占欲が強いから、覚悟してね」
オスカーが私を真っすぐ見る。
「私は妄想癖があるから、気をつけてね」
私だって、負けていられない。
これからどうなるかわからないけど、オスカーとなら大丈夫だよね。




