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もてもてヒロインに転生できたと思ったら「ざまぁ」されるヴィランでした  作者: 西園寺百合子


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23/50

23 究極の選択を迫られてしまいます

聖 女 :フローラ・レイナ(白)

悪役令嬢:アリシア・ヴァレリ(黒)

皇太子 :オスカー・ヴァル(赤)

隣国の皇太子:ヴァン・セドリック(紫)


騎 士 :カイロ・レオン(桃)

賢 者 :ルーカス・ブレイド(橙)

宮廷医師:ジェラルド・クロウ(黄色)

講 師 :ドミニク・フェルナ(青)

オスカーの許嫁:イザベル・サンダー(なし)

あれから1か月。

オスカーは本当に、ちょっかいを出してこなくなった。

平和だ。

ときどきカイロが話しかけてきてくれるけど、できればカイロとも距離を置きたい。

今の私の目標は、誰のルートにも入らずに卒業を迎えることだ。


卒業で、キミカナもキミカナてぃーもストーリーが終わる。

そこから先は、自由なはず。

毎日、小説と言う名の妄想日記を書いて学園生活を満喫する。

それでいい。


クエストもミニゲームも、ほどほどにこなして、それ以外の時間はどのキャラクターにも会わない場所に行く。

ゲームを何度もプレイした私にとって、誰にも会わない場所を探すことくらい朝飯前だ。

それでも、ときどきカイロに会ってしまうけど。

好感度が上がっているような感じではないから大丈夫だろう。


そう思いながら、寮に帰る。

ドアを開けると、オスカーがいた。

部屋を間違えたようだ。

「失礼いたしました」

そう言ってドアを閉めて、まわりを見る。


ん?

ドアの数を数える。

間違いなく、ここは私の部屋だ。

一応、ノックをしてみる。

「どうぞ」と声が聞こえて、恐る恐る開けてみた。


やっぱり、オスカーが沸いている。

どういうことだ?

やっぱり部屋を間違えたか。

寮を間違えたのかもしれない。


「うん。ここは、フローラの部屋だから、間違ってないよ」

オスカーに言われて、何から突っ込んでいいかわからなくなった。

「こ、ここは、女子寮ですよ」

そう、ここは女子寮。

「そうだね」

「ここは、わ、私の部屋です」

「うん、フローラの部屋だね」


全部、肯定された。

どうする?


固まっていると、すっと、しおりを渡された。

しおり…しおり?!

びっくりして、手に取る。

これは、薔薇の花びらで作ったしおり。

このしおりが挟んであるのは…


ワナワナとしながら、オスカーの手を見る。

そこには、あの、妄想日記…いや、小説…いや、日記…

なんでもいいや。

誰にも見られてはいけないソレがあった。


「たまたまフローラの部屋に来たら、たまたまノートが落ちていて…」

たまたま、私の部屋に来るところからおかしいだろ。

「しおりを拾ったら、うっかりノートの中が見えてしまって。俺の名前が書いてあるみたいだから、てっきり、悪口でも書いてあるのかと思って…」

そこまで言われて、顔から火が出た。


見られた…

よりにもよって、1番見られてはいけない人に見られてしまった。

何か言ってごまかさないと。


「…というのは、嘘。ごめん。最低なことをした自覚がある。でも、俺の名前が書いてあるのが見えて、気になって…読んでしまった」

オスカーに真っすぐに謝られて、頭がパニックになった。

「ここに書いてあるのが、フローラの本当の気持ちなのだと、俺は信じたいんだけど。…違う?」

オスカーがそう言って、私の手をとった。

心臓がバクバクと音を立てている。


せっかく、ここまで上手にやってきたのに。

ここで…オスカー幸せ計画が破たんするなんて。

でも、たぶんこれが、私が素直になれる最後のタイミングなのだと感じた。

これを逃したら、一生、オスカーとは…友達にもなれない。


ポロポロと涙がこぼれ落ちた。

オスカーと一生会わない人生を選ぶか、オスカーが廃太子となる人生を選ぶか。

そんなの、どっちも選べない。

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