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もてもてヒロインに転生できたと思ったら「ざまぁ」されるヴィランでした  作者: 西園寺百合子


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22/50

22 二次元の推しはやっぱり二次元の推しのようです

聖 女 :フローラ・レイナ(白)

悪役令嬢:アリシア・ヴァレリ(黒)

皇太子 :オスカー・ヴァル(赤)

隣国の皇太子:ヴァン・セドリック(紫)


騎 士 :カイロ・レオン(桃)

賢 者 :ルーカス・ブレイド(橙)

宮廷医師:ジェラルド・クロウ(黄色)

講 師 :ドミニク・フェルナ(青)

オスカーの許嫁:イザベル・サンダー(なし)

「大切な人って誰ですか?」

カイロに尋ねられて、口を閉ざす。

自分でもビックリした。


カイロに尋ねられて最初に思い浮かんだのは、アリシアでもヴァンでもなく、オスカーだったから。

「…秘密です」

オスカーの護衛騎士であるカイロには言えない。

オスカーの命を狙っている人がいると勘違いでもされたら厄介だし。

「き、気になります。…ヒントだけでも、教えてくれませんか?」

なぜか、カイロが必死だ。

ヒント…それくらいならいいか。


そっと胸ポケットにしまっていたものを出す。

薔薇の花びらをしおりにしたもの。

「私が…好きな花なんです」

「…薔薇、ですか?」

カイロがそう言って、じっとしおりを見ている。

「はい。あまりにも綺麗だったので、しおりにしたんです」

とても、綺麗な思い出。


まずい。

泣きそうだ。

アリシアのこと、泣き虫とか言えない。

「そろそろ、帰らないといけませんね。カイロ様は、まだ学園に御用ですか?」

「い、いえ。だいたい終わったので。あ!…りょ、寮まで送りましょうか。そうですね、送りましょう」

ひとりで帰れると伝えたのだけれど、どうしても送ると言うので仕方なく送っていただくことにした。


今日のカイロは、なんだかおどおどとして、始終落ち着きがなかった気がする。

もしかして、訓練とか仕事とか、サボっていたんじゃないだろうか。

サボっていたとしても、私がオスカーに言いつけることなんてないのに。

今度会ったら、そう言ってあげよう。


寮に戻って、読めそうな本を探してみる。

「教会から持ってきたのは、歴史書みたいなのばっかりだったもんな。あー、漫画読みたい…」

この世界には漫画がない。

私に絵心があれば描けたかもしれないけど、残念ながらそのようなものは持ち合わせていない。

残念…。


漫画は描けないけど、小説なら書けるかもしれない。

私が、私のためだけに書く小説。

うん、いいかも。


その日から、日記のように小説を書くことにした。

アリシアとヴァンのこと、オスカーのこと。

もしも、私がヴィランのフローラじゃなかったら。

アリシアとヴァンに負けないくらい、オスカーとイチャイチャしたかった。

その欲望を、書き出すことにする。


パーティーの日、お庭を散歩したこともしっかりと書き記した。

本当は言いたくて言えなかったことも。

なにせ私しか読まないのだから思う存分、甘くする。

オスカーに「好きだよ」と言われたら「私のほうが好きよ」と伝えたい。

ダンスに誘われたら、一緒に踊りたい。


実際には踊れないけど、空想の中だったらそれができる。

書き終わると、しおりを挟んで机の奥にしまった。

私の空想は、空想の中のオスカーは、私だけのものだ。

学園では、遠くから見ているだけでいい。

いずれ、イザベル様と結婚して、この国を治める王となる人だもん。

これくらいの距離が、ちょうどいい。

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