15 やっぱりパートナーは皇太子になるようです
聖 女 :フローラ・レイナ(白)
悪役令嬢:アリシア・ヴァレリ(黒)
皇太子 :オスカー・ヴァル(赤)
隣国の皇太子:ヴァン・セドリック(紫)
騎 士 :カイロ・レオン(桃)
賢 者 :ルーカス・ブレイド(橙)
宮廷医師:ジェラルド・クロウ(黄色)
講 師 :ドミニク・フェルナ(青)
結局、パートナーが決まらないまま、パーティー当日となってしまった。
アリシアは当然、ヴァンと行く。
私はアリシアからドレスを貸してもらって、オスカーが来る前に出かけることにした。
アリシアから借りたドレスを着る。
大人っぽい雰囲気のアリシアのドレスが、私に似合うはずはない。
今日は壁の花となって、適当なところで帰ってくるつもりだから、まあいいか。
侍女もいないので、自分で適当に準備をしてとっとと行こう。
こんなに早く出かけるとは、オスカーも思わないだろう。
「もう行くの?あれ?パートナーがいないみたいだけど」
「ひぃっ!!」
もう名物になってきた、沸いてくるオスカー。
いつの間に来ていたんだろう。
「そのドレスどうしたの?」
オスカーが私を上から下まで見ている。
「…アリシアから借りたの。アリシアのようにスタイルがよくないから、似合ってませんよね」
素敵なドレスだけど、私には似合ってない。
靴はありものだから、馬車を乗るときにちょっと見えちゃうのが恥ずかしい。
こんな私をエスコートさせるのは、オスカーにも悪い。
「アリシアから借りたんだ。じゃあ、こっちのドレスに着替えたらいいよ」
そう言われて、有無を言わさぬ勢いで寮に連れ戻された。
パタパタと誰かが入ってきて、着替えさせられて、靴も髪飾りも新しいものに替えられた。
鏡に映る自分が、とても綺麗でびっくりした。
フローラ・レイナはキャラクター的に可愛いんだけど。
フローラの可愛いイメージに合わせた、赤色のドレス。
赤色の装飾品たち。
…赤?
「あ、これはマズイ…じゃない。これでは、ほかの人に勘違いをされてしまいます」
よくよく見たら、オスカーの衣装は赤で、装飾品は白や透明でまとめられてる。
ラブラブカップルみたいじゃん。
「俺は、それで全然、問題ないよ」
オスカーが私を見て微笑む。
…ん?
「えぇっ゛!!ここ、私の、わ、私の部屋ですっ」
なぜ、オスカーが私の部屋にいて、椅子に座って、私を見ているの?
女子寮だよ?
あたふたとしていると「皇太子だからね、俺」とわけのわからないことを言われた。
職権乱用ということだろうか。
大丈夫なのか、この学園。
驚きすぎて、いつの間にか馬車にのせられて、そのままパーティー会場についてしまった。
オスカーが私の手をとって、腰に手を置く。
「エスコートさせていただきますね、聖女様」
腰、腰、腰…
飛び上がりそうなほどドキドキする。
扉が開くと、アリシアが見えた。
ヴァンもいる。
アリシアとヴァンも、お互いの色を取り入れたコーディネートをしていた。
素敵だな。
それにしても、どうして私たち、こんなに注目されてるんだろう。
みんな…そうか、オスカーを見てるんだ。
皇太子だもんね。
それに、かっこいいし。
そんなことを思っていると、中央をまっすぐ進んで、なんだか高いところに誘われてしまった。
どうして、こんな高いところに連れてこられたんだろう。
まるで、主役、みたいな…
アリシアが私を見て涙ぐんでる。
なんで?
この世界の主人公はアリシアなのに、どうした?




