14 年上の男性にも頑張ってアタックします
聖 女 :フローラ・レイナ(白)
悪役令嬢:アリシア・ヴァレリ(黒)
皇太子 :オスカー・ヴァル(赤)
隣国の皇太子:ヴァン・セドリック(紫)
騎 士 :カイロ・レオン(桃)
賢 者 :ルーカス・ブレイド(橙)
宮廷医師:ジェラルド・クロウ(黄色)
講 師 :ドミニク・フェルナ(青)
「私、どうしてもカイロ様とお茶したいです」
キラキラ聖女スマイル。
「えっと…じゃあ、皇太子様と3人で、いかがですか?」
カイロがオスカーの圧に負けている。
「カイロ様と、2人で…」
「ごめんね。カイロはこれからずーーーーっと、護衛の仕事が入ってるから無理かな」
オスカーが微笑んでいる。
職権乱用なんじゃないだろうか。
そんなこんなで、カイロをパートナーに選ぶのは難しいとわかった。
この調子では、賢者と宮廷医師にも会えそうにない。
となれば、講師のドミニクしかない。
年上の男性とお付き合いをしたことはないから緊張するけど、なんとかパートナーになってもらわないと。
ドミニクの講師室の前で待ち伏せしてみる。
ヴァンでキミカナTの攻略者は、出会える場所で私だけでは会えないことがわかってる。
だから、私から動いていくしかないのだ。
「えっと…フローラ・レイナさん。どうしました?質問ですか?」
そう言って、ドミニクが現れた。
何度も言うが、さすが乙女ゲームの攻略キャラクター。
大人な雰囲気でかっこいい。
「はい。質問があって。よろしいですか?」
そう言って、講師室に入れてもらった。
2人きりになれた。
これは、チャンスだ。
「あの、先生!先生は、今度のパーティーに出席されますか?」
直球で勝負する。
「いや…あれは、生徒しか出席しないパーティーだよね?」
そうだった…
でも、ここでひるむわけにいかない。
「実は私…異世界から来たものですから、パートナーがいないんです」
聖女ウルウルアタックで、ドミニクに詰め寄る。
「恋人も婚約者もいなくて、親族もいないんです。学校の先生だったら、親代わりってことでパートナーになれるんじゃないでしょうか。…お願いします」
頑張って伝えてみた。
「そういうことですか。…ただ、その」
ドミニクが困っている。
「どうしたんですか?」
首を傾げると、ドミニクが窓の外を指さした。
すごく嫌な予感がする。
ばっと窓を見ると、オスカーが凄い形相で中を見ていた。
「ひぃっ!!」
びっくりして、ドミニクの陰に隠れる。
「…オスカーさんがあなたとパートナーになりたがっているみたいですし。恋人としてではなく、友達として、パートナーになってもらってはいかがですか?」
ドミニクが『いいこと言ってる』って顔をしている。
あ…ちょっと無理。
ドミニクも無理だとわかって、がっくりして講師室を出た。
友達としてパートナー?
お互いがそう思っていたとしても、周りはそう思ってくれないかもしれないじゃん。
ああ、うまくいかない。
「先生に、どんな質問していたの?」
いつの間にかやってきたオスカーに尋ねられる。
誰のために、こんなに頑張ってると思ってるんだ。




