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~ 影と光の褒賞 ~

セリーナ様を救ったことが、また一つの可能性を開く

 王妃様とのお茶会は二度目だけど、もう、緊張はなかった。優しい人だってわかったしね。

 席に座ると、王妃様にいきなり感謝の言葉をもらった。

「王妃としてではなく、ひとりの人間として…セリーナを救って頂いたことは感謝してもしきれません。私はリシュレリア。どうかそう呼んでください」


 いきなり、王妃様に名前で呼んでって言われてもドキドキしちゃうけど、こういう他人に優しい人は付き合っていて気持ちがいいものね。ここはお言葉に甘えることにしよっと。

「わたしはただ、目の前にある可能性を否定したくなかっただけで、それを実現してくださったのは、リシュレシア様です。早飛部隊で送ってくださらなかったら、間に合わなかったかもしれません。こちらことありがとうございました。」


 リシュレリア様は笑顔で応対した。

「これでは、感謝の応戦になってしまうわね。」

 そういって、二人で笑いあった。とても身近に感じる人になった。王妃様という立場でなかったら、ケイトさんみたいに街を一緒に散策できたのかもしれないと思う。


 リシュレリア様はちょっと申し訳なさそうに言った。

「セリーナのことで、私も陛下も直接褒美を出すわけにはいかなくて、ごめんなさいね。」

「いえ、わたしのわがままを通させてもらっただけで十分です。」

「マサミさんのような方が貴族としてこの国を支えて下さったら、どんなに心強いことか」

 リシュレリア様までそんなこと言わないでください。


「その話は置いておいて、セリーナの夫、グラントール公爵が会いたいとおっしゃるのだけど、また、クレオスペリアへ行ってくれるかしら。」

 公爵様だよね。王家に近い人なんだよね。わたしどうなるの?!

「私たちの代わりと言ってはなんだけど、褒美が出ると思うわ。ぜひお願いね。」


 褒美を出したいって言われると悪い気はしないけど、わたしどんどん貴族に接点持っちゃってるよね。これからどうなるんだろ。

 そして、リシュレリア様から、別れ際に綺麗なペンダントをもらった。このパターンて・・・


 図書室での件も行き詰っているし、気晴らしにクレオスペリアの街を散策に行くのもいいかもね。

 前に行ったときは観光どころじゃなかったしね。


 王都とクレオスペリアへは連絡馬車があるらしい。

 レスティラントへの馬車もあるみたいだけど、なにかと貴族と縁があって、一般向けの馬車に乗ったことはなかったからね。


 連絡馬車を予約に行くと、三日後の予定になるらしい。

 その間は、王都の依頼でも消化しておくことにする。生活費は必要だからね。


 冒険者ギルド本部へ向かう。

「こんにちは、セシリアさん」

「あら、こんにちは、今日はどのようなご用件ですか?」

「3日後にクレオスペリアに行くことになったので、その前に生活費でも稼いでおきたくて」

「マサミさんはまだ稼ぎ足りないのですか?一般の方なら向こう数年暮らせる額を稼いでると思いますけど。」

 そんな風に言われてしまうと身も蓋もないのだけれど、別に守銭奴って訳じゃない、ケイトさんとの約束を果たすためには資金が必要なのだ。

「あー生活費というか、その、約束を守るためのお金なんです。」

 案の定、誤解された。借金じゃないよー!


 とりあえず誤解を解き依頼を受けた。レベル的には白銀の守人クラスの依頼なのだけれど、今回は実践指導をお願いされた。

 巡り人魔法使い3人に跳ね人1人の4人を指導してやってほしいと言われた。

 わたしに真っ当な指導ができるのかどうかは置いておいて、この4人を危険に晒すことはないだろうと思う。


 指導を担当する4人とは郊外で待ち合わせすることになっていた。

 わたしは暇だったので、郊外の魔物の状況を知るためにと、気配察知の伸長訓練を兼ねて、静かな夜明けとともに待ち合わせ場所で瞑想をしていた。


 最近は、危険が迫るだけでなく、近づく人物の心情を察知できるようになっていた。

 それに伴って、水の調和は危険察知のみに集中して割り振ることが出来るようになっていた。


 なんだろ、一人近づいてくるね。今日担当する子かな、すごく怯えてるみたいだけど、実践経験が少ない子なのかな。

 近づいてきて、傍で様子見してるみたいだね。

「心配しなくていいよー」

 声をかけたのが突然でびっくりさせてしまったようだった。

「ひゃい!」

 緊張してるねー、噛んじゃったよ。

「きょうの実践訓練の子だよね?」

 わたしは瞑想をやめて、気配察知だけに集中していた。

「はい!星刻マサミ様、今日はよろしく、お、お願いしみゃす。」

 あらら、また嚙んじゃったよ。


「そんなに緊張しないで、わたしのことは知ってるみたいだから自己紹介はいいよね」

「は、はい、勿論です。わ、わたしはエミリです。巡り人の魔法使いです。」

 エミリちゃんか、資料にあったね、性格は消極的、巡り人ランク昇格もギリギリで、パーティの助けがあったからってレベルらしい。真面目だけが取り柄みたいなこと書いてあったよね。年齢はわたしより年上なんだけど、この世界じゃランクが絶対だし、星刻ともなればこの子たちから見れば雲の上の存在みたいなものだろうしね。

 エミリは真面目なら、瞑想して心落ち着けたり、今日の実践訓練を想像でシミュレーションしてもらうことがよさそうだよね。

「エミリちゃん、今日は緊張しないことを目標に参加して。今からみんな来るまで瞑想して、今日のこと想像でいいからどんな戦い方が自分に向いてるか考えてみて。」

 だいぶ時間早く来たみたいだけど、ほんとに生真面目なのかもね。


 次に来たのは、ライルだった。

「おはようございます!ライル、巡り人魔法使いです。本日はよろしくお願いします!」

 元気はいいね。積極的な性格、戦闘では剣士より前にでることもある。え?魔法使いなのに前に出ちゃだめでしょ。わたしも人のこと言えないか。

「ライルくん、今日は魔法使いの立ち位置に関して考えながら参加して。今日のルールとして、わたしより前に出ての戦闘は御法度ね」

「はい!」

 返事だけはいいけど、ほんとに守れるのかな。


 次に来たのはサフィラ。規律重視ってタイプだけあって、時間ぴったりだね。

「お早うございます、跳ね人魔法使い、サフィラです。星刻マサミ様、本日はご指導よろしくお願いします。」

 ああ、ちょー真面目で、殲滅速度重視のあまり魔力切れを起こしたことがあるのね。爆速魔法使いだね。協調性があまりないとか、いるよね。

「サフィラさん、今日は、殲滅速度ではなく、戦略重視、仲間との連携を意識して参加して。今日のルールはどんなに弱い相手でも単独撃破禁止ね」

「了解しました。」

 あらら、敬礼までして、実力が上の人には敬意をもってるけど、実力がない人にめちゃめちゃ厳しいタイプだね。


 最後はだいぶ遅れてきたね。リィルくんか。

「おはおよ~ございます~」

 もうのんびりの極致だね、さっそくサフィラともめなきゃいいけど。

 温和だけど、努力の方向を間違えてることが多いか・・・


 すると、さっそくサフィラさん出たね。

「遅刻ですよ、意識が低いのではないですか?星刻様をお待たせするなど・・・」

「サフィラさんストップ、今日はわたしが教官なの、わたしの方針に従ってくれるかな」

「申し訳ございません。」

 まあ、簡単に引き下がってくれて助かるけどね。


 まあ、サフィラさんの顔も立てとくか

「リィルくん、チームで動くときは時間厳守ね。今日は周りをよく見て観察すること、自分が何をするべきかよく考えて行動すること。」

「は~い」

 ほんと気抜けするけど、まあ、ムードメーカーとしてはありかもね。


「あらためて、自己紹介するほどでもなさそうだけど、わたしはマサミ、どんな危険があっても、あなたたちの命だけは絶対に守ります。だからどんな状況でも慌てず冷静に対処してください。それぞれに言った課題を自分の中で整理して今日の実践訓練で何かを掴んで帰ってもらえたらいいかなと思ってます。みんなから何かありますか?」

 早速手をあげたのは、消極的と言われるエミリちゃんだった。なんだろ

「あの~今日相手にする魔物は何ですか?」

 え?それ聞くの?

「えー本日は実践訓練です。敵を見つけ次第その場で連携とりながら皆の力で勝つ、誰もケガをしない。それを忘れないようにしてください」


 続いて質問したのは、サフィラだった。

「質問よろしいでしょうか?」

「はい、何?」

「魔法使いだけのパーティになりますけど、前衛は誰が受け持つのでしょうか。」

 あーなるほどね、心配はごもっともです。

「はい、わたしが今日は前衛剣士としていますので、皆さんは後方に徹するように。」


 ほかに質問もでなかったので、早速近隣の森へと出発する。今日のわたしは前衛としてやるけど、基本受け流しだけで後ろの4人に倒すのは任せることになる。


 森につくと早速出てきたのは森狼。ごく普通の誰しも単独撃破できる魔物だけど、さて、サフィラが早速ぶっぱなしそうになったので、制止を合図する。

 ライルも前に出そうになったので制止する。

 なんかほんとに今日は問題児ばかり押し付けられた感じだけど仕方ないよね。皆一長一短なんだからね。

 できれば、ここは、エミリちゃんに倒させたいけど、後ろでやっぱり、オロオロしてるね。リィル君役割はたせるかな。


 お、リィル君なかなか見どころあるね。エミリちゃんに何か話にいったよ。ちゃんと回りみてたね、とりあえず合格だね。

 エミリちゃんが動き出したね。よし、いけーエミリちゃん。


 エミリちゃんやればできる子だね。これで自信つけてくれるといいのだけど。


 さて、次に選んだのは一つ目族の魔物だね。結構凶暴で仲間同士でも争ってたりするらしい。

 ここは少し自由にやらせてみますか。


 最初に魔法をぶっ放したのはサフィラだった。

 もちろんわたしの見立てでサフィラが最高魔法ぶっ放しても倒せる相手じゃないのを見計らって見繕ったのだから。

 サフィラは、ちゃんと言いつけ通り、皆で勝つことを選択をしたね、余裕をもった魔法を使ってるみたい。

 ライルも前へ出すぎずに魔法で牽制してるね、よしよし。

 リィル君もちゃんとまわりを見て司令塔してるみたいだね。あの子のいいところは、ちゃんと見さえすれば、冷静でいられることだからね。

 エミリが止めを刺すのに成功したね。エミリは実力はあるのに、緊張したり、焦ったりして発揮しきれてなかったんだよね。


 それから、難度を調整しながら色んな魔物と対峙して、誰一人脱落することなく実践訓練を終えたね。


「えー皆さん今日はお疲れ様でした。今日皆さんはものすごく成長したのが見受けられました。今日のことを教訓に今後も頑張ってください。以上」

「「「「ありがとうございました」」」」

 うん充実した一日だったね。


 わたしは、それぞれの報告書を添えてギルドに提出して終わりにした。わたしも、無事済んでほっとしたよ。


 いよいよクレオスペリアへ旅立つ時がきたね。

 予約していた連絡馬車に乗り込むと、殆どが個人で旅しながら商いしている商人さんだね。

 武装しているのは傭兵さんかな。連絡馬車には万一に備えて傭兵が雇われているって聞いてたものね。


 一人の商人さんが話しかけてきた。

「もしかして、星刻様ではありませんか?」

 こんなところで嘘をついても仕方ないので、はいとだけ返事をした。

「星刻様と乗り合わせるとは、なんと運のよいことか。」

 口々に商人さんが喜びを表していた。

 まあ、乗り合わせてしまった以上、何かに襲われてしまったら、助けるよ。見捨てるって選択肢はわたしにはないもの。


 傭兵さんたちも、口々に楽が出来そうだの好き勝手言っているが、まあ、これが星刻の役目なのだと割り切ることにした。


 道中は極めて平和だった。というか平和にしていた。いつもと変わらない。魔物でも追い返せるなら追い返すだけ。

 近づく前に追い払うを繰り返して面倒ごとを抱え込まないようにしていた。


 いよいよクレオスペリアに到着するというところで窓から街を見ると、上空から見た時とはまったく別の印象に映った。

 地上からみると、煙突が立ち並び、キラキラとした魔導機が絶え間なく動いている。

 前に来たことを機にある程度調べてはいたけど、産業の中心地というだけあるよね。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――

【旅の寄り道コラム】


 創造と繁栄の街「クレオスペリア」

  クリエイト=プロスペリティ(創造と繁栄)に由来

  領主:グラントール公爵ヴァルディス 鋼の恩主


 街並み

  中央に魔導蒸気塔が(そび)え立つ

  魔力炉の青白い光とともに蒸気の白煙が上空へと立ち上る

  街中にはそこかしこに真鍮パイプと魔法陣、魔導機などが露出している

  一般のガス灯と魔導灯が混在する


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


 レスティラントや、王都と比べると、まるで違う世界のような産業特化の街が特徴といえるね。


 街の入り口へ到着し、自分の足で立って街を見上げると、益々巨大な魔導機群がこれはこれで壮観だね。


 城門で門兵にグラントール公爵から招待を受けていることを伝えると、城門の横から地下通路へと案内された。

 地下には、魔導列車が用意されていた。なんか、今までと全く世界に来たかのような錯覚を覚える。

 案内されて、魔導列車へ乗り込むと、すぐに発車した。もしかしてわたしの為だけにこんな贅沢なものを動かしているのかと思うと、もっと、ほかのことにリソースをまわしたほうがいいのではないかとも思ってしまう。通常は、賓客か緊急時にか使わないらしいけど。賓客の大半は馬車で中央へ向かうため、この列車を利用することはほとんどないということだった。知っていればこんな贅沢に甘んじることはしなかったと思う。今更だけど。


 ある意味貴重な体験をさせてもらい。この世界にもまだまだ知らないことだらけだと思い知った。


 中央へはものの十数分で到着するというこの世界では驚異的なスピードといえる。

 列車を降りると案内人に従って階段を上るとそこは既に、魔導蒸気塔だった。


 とりあえず案内されたのは、セリーナ様の部屋だった。たしかに見覚えのある部屋だ。

 セリーナ様は元気になられて、自分で歩くことが出来るようになるまで回復していた。

 とりあえず、疲れさせてはいけないと思い、一日も早く元の生活に戻れるよう祈ってますと伝えて出てきた。

 病み上がりの病人に感謝の嵐を受けても、かえって恐縮してしまうものだ。


 グラントール公爵に会うのに少々時間があるということで、来賓室へ通され、お茶とお菓子がふるまわれた。

 しばらくお茶とお菓子を貪って時間をつぶしていると、なんとグラントール公爵が直々に部屋まで来てしまった。


「此度の妻のこと、誠に感謝する。いや、感謝してもしきれぬ。何か望むものがあれば、遠慮なく申すが良い。」

 そうは言われても、と思ったが、あのおしろいの危険性を訴え、出来ることなら使わないようにするべきだと伝えた。

 ある意味それが望みでもあったから。


 しかし、あの商店のおしろいは人気商品で、貴族の間でも使っていないものは居ないくらいだと教えられた。

 とても危険なものであっても、やはり美に対する執着心というものは根深いものがある。


 そこで、わたしの世界の安全なおしろいを作ることを提案した。しかもあの商品よりも白くできる上、日焼け止め効果まであることをアピールした。

 わたしは、知識の中で実はわたしの世界の安全なおしろいはそこかしこにある材料で作れることを知っていたので、わたしは、ひと月以内に完成させる、現物をもって再度話し合うこととなった。


 わたしは、魔法の使えるこの世界ではわりと簡単に生成できるので、二週間ほどで、サンプルを完成させた。


 そして、その白さでまずは女性陣の注目を浴びることができた。そして、日焼け止め効果も抜群で、その二つが合わさったおしろいということで、領主家のメイドや女性陣に、そして、セリーナ様にもぜひこのおしろいを広めてほしいとの依頼があがり、グラントール公爵がパトロンになることで、わたしが事業展開することになった。

いよいよ、マサミが商人としての才を発揮する、のかどうか今後に期待です。

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