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~ 星刻祭 ~

王都に広がる喧騒は、ただの祭りの準備ではなかった。

それは、ひとりの冒険者が「星刻」として認められたことを祝う、国を挙げての祭典だった。

知らぬ間に自らが祭りの中心となり、戸惑いながらも受け入れていくマサミ。

「星刻祭」の幕開けは、彼女が社会に公的に認知される瞬間であり、同時に新たな責任の始まりでもあった。

 大きな仕事が終わり、わたしは、新しいギルド証ができるまで一週間の間、特に何もすることがなくなってしまった。

 王宮図書室へ行くにもギルド証がなければ入室は許可されない。

 わたしは、当所(あてど)もなく王都の街をプラプラと歩いていた。


 王都に初めて来た時よりも心成(こころな)しか街の様子が騒がしいような気がする。


 手軽そうなおやつの屋台っぽいものが広場にあったので、買い食いついでに何かあったのか聞いてみた。

「おう、星刻祭の準備で皆、右往左往してる連中が多いのさ。」

 なるほど、お祭りがあるのね。それにしても、星刻祭なんて、狙いすましたようなタイミングだよね。


 おやつを頬張りながら、歩いていると、一枚の張り紙が目についた。

”星刻祭 開催決定”そして、その下に描かれているローブに仮面を付けた人。

 んん??どこかで見たことあるような恰好だよね。

 よく見てみると下のほうに、”冒険者 第五階層 星刻誕生! マサミ”と書かれている。


 え、えーわたしじゃん


 冷静に考えるマサミ

 つまりわたしが、星刻になったからお祭りになったってこと?

 開催日は、一週間後・・・それって、わたしのギルド証が出来上がる日だよね。


 これは、ちょっとセシリアさんに確認しておかないとね。


「こんにちは、セシリアさん」

「こんにちは」

「あのー星刻祭なんですけど」

「ああ、今は街中が蜂の巣をつついたみたいになってるでしょう」

「そうみたいですね。わたしに関係あるんだよね」

「もちろん、マサミさんを称えるお祭りですから」

「聞いてないんですけど」

「マサミさんには式典のご案内が、あった、これですね」

「王様からギルド証授与式って・・・」

「星刻といえば、王国の要ですからね、王様も気合十分できますよ」

 なんかわたし、やっぱり巻き込まれてるよね。


「マサミさんは出国する際、王様の許可が必要なこと忘れないでくださいね。もちろん、正当な理由がないと出国できないので気を付けてくださいね。」

 え、そんなのあるの??


 国境の街に拠点構えて、いざ面倒ごとになりそうだったら国外逃亡とか考えていたのに。

 なんか面倒ごと増えてないかな。

 今はそういうの考えるのやめよう。気分が沈んじゃう。

 わたしのためのお祭りなんだから愉しんじゃっていいよね。


 それから数日、お祭りの準備が進み、中央付近の広場にも屋台みたいな出店が増え始めていた。

 そして、とても気になったのだけど、わたしと同じ格好の人が増えてるんだよね。

 よーく見るとちょっと違ったりするんだけどね。コスプレってやつかな。

 わたし自身が埋没して好都合ではあるけど。


 お祭りっていうだけでなんだかワクワクするよね。美味しい屋台とかね。

 こういう時、ケイトさんがいたら一緒に散策できたのかな。

 王都じゃそういう親しい人まだ居ないしね。


 たまには、こういった何もしない休息も大事だよね。


 あ、美味しそうな串焼き屋さんだね。

「こんにちは、3本ください」

「嬢ちゃんも星刻様の衣装だね。一本おまけだ。」

「ありがとう」

 コスプレしてると一本おまけってハロウィンみたいだね。

 わたしの場合コスプレじゃないけどね。

 美味しいね、うん。こういうのって雰囲気でも美味しくなるものだよね。


 なんだろ、あの人だかり。


 近づいてみると、大道芸のようだった。

 こんなのもやってるんだね。

 ピエロの恰好の人が操り人形を使って寸劇をしていたね。

 しかも、わたしのエピソードなのに知らない話勝手に作ってやってたけど、別にいちいち指摘するほどのことでもないし。

 みんなが楽しんでるならいいよね。


 お祭り当日っていうよりその前から徐々に始まっていく感じなんだね。


 あれって、クレープ屋さんかな。

「こんにちは、この季節のフルーツのを一つください」

「あいよ、その衣装なら、ちょっと盛りをおまけしとくよ」

「ありがとう」

 ここでもコスプレサービスあったね。星刻祭ってこういうものなんだね。

 ちょっとお得だから嬉しいけどね。


 ついつい買い食いしちゃうのもお祭りって感じだよね。


 子供たちも元気に走り回ってるし。平和だね。

 そういえば、この広場の中央の噴水のところの像って王様っぽいよね。

 この王様、本片手に、肩にフクロウかな乗せているね。王様は知の番人て二つ名ある人だし、知の象徴のフクロウっていうのはこの世界でもあるんだね。


 噴水の周りには、鳩っぽい鳥、どんなところでも同じような景色ってあるものだよね。

 そして、その鳥を小さな子供が追いかけまわして飛び立つって、公園のあるあるだよね。


 こんなに平和な風景ばかりでも、この王都にも貧民街はあるんだよね。

 そういえば、この街の一般図書館へ行ってなかったよね。行ってみようかな。


 図書館はあっちのほうだって言ってたよね。

「こんにちは、これで利用お願いします。」

 ギルド証は白銀の守手だから、もう、一部の閉架以外は閲覧できるんだよね。

「館内自由に閲覧して頂けます。閉架については、こちらでお受けいたしますので、必要な資料がございましたらお申し付けください。」

 このルールはレスティラントの図書館と同じだね。

「あのー、時間の圧縮の関する資料ってありますか?」

 ものは試しで聞いてみる。

「ただいまお調べいたします。少々お待ちください。」

 もちろん時間かかるよね。

 その間に、王都の資料見ておこうかな。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――

【旅の寄り道コラム】


 王都「ラティノウン」

  王様 オルフェリウス・ラティーナ五世 ― 知の番人 ―

  ラティーナ=ノウリッジ【ラティーナの知識】を由来とする

  人口100万人

  都市周辺は広大な田園地帯が広がる

  この国のギルド各本部がある


 軍事

 王都常設軍:約12,000人前後

 内訳

  王宮近衛隊:1,000人

  城壁守備兵:4,000人

  都市警備隊:5,000人

  魔導防衛部隊:500人

  予備兵・訓練兵:1,500人


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


「マサミ様、申し訳ございません。紹介資料のみとなっております。」

「ありがとうございました。」

 あればラッキーと思ってはいたけど、やっぱりないよね。いよいよ王宮の図書室で調べるしかないよね。


 魔法書はレスティラントの図書館より多いみたいね。

 少し見ておこうかな。応用が広がればそれだけ使いどころが広がるからね。

 これは、地図魔法だね、これは便利だね。将来、転移魔法が使えるようになったときにリンクすれば、ある程度使えそうだよね。

 この地図魔法、わたしのイメージするのに関連してるね。

 仕組み的には、わたしの気配察知が具体的に生き物の気配だけど、これは元素の気配みたいなもので構築するんだね。


 これは、この世界の料理本だね。

 なんだか、ちょっと苦手な虫料理とかあるね。こういうのは遠慮したいかな。

 昆虫食は栄養あるとかいうけど、見た目がだめだよね。料理は見た目も合わせて美味しくいただくに限るよね。


 こっちは衣服の文化

 へえ、ローブにも色々あるんだね。

 わたしのは標準的なもので、マルティーナのときに買ってもらったローブは他国の文化のものに近いね。


 こっちは住居に関する本だね

 商業施設、個人住宅共に大きく分けて三種類程度


 レスティラントの図書館では、魔法書ばかり調べていたからこういう本があるの知らなかったよね。

 ほかにも色々あるし、また見にこよう。


 そろそろ、式典会場へ向かっておいたほうがいいかな。式典会場はあっちだったよね。


 あった、あった、ここが授与式の式典会場だね。

 ここに王様もくるわけだから警戒は厳重だよね。ちょっと物々しい警備だよね。

 衛兵に連れられて、待合テントに案内された。


 ここで小一時間ほど待つって感じなのかな。もうちょっと遅くても良かったかな。

 なにもすることがない1時間て長いんだよね。


「失礼いたします。お茶をお持ちしました。」

 さすがなんかちょっと違う待遇だよね。

 お菓子も美味しいよね。

 こういう時はやっぱり、暇つぶしのための本とか用意しておこう。


「マサミ様、準備が整いましたので、会場へお越しください。」

 衛兵が呼びに来た。


 えっと、やっぱり国王様の前では、片膝つきの、頭を下げるだよね。

「国王たるオルフェリウス・ラティーナ五世が新たな星刻が誕生したことを認め、ここに(あかし)を授与するものとする。」

 わたしは、いよいよ星刻のギルド証を受け取った。

「マサミよ、これからは星刻として、国のため、民のための更なる働きを申し付ける」

「ありがとうございます」


 ふーなんとか終わったよね。

 どうも王様の前とか緊張するよね。


 ともかく、これで星刻になったわけだから、この国の書物には全て触れられる可能性が出来たってことだよね。

 早速明日にでも王宮の図書室にいってみよっと。

華やかな祭りの熱気の中で、マサミは正式に「星刻」としての証を授かった。

それは人々の喝采と共に、王国の知識と権威へ通じる扉を開くもの。

緊張と戸惑いを抱えながらも、彼女の胸には「知を求め、使命を果たす」という静かな決意が芽生えていた。

祝祭の余韻の中、マサミは次なる舞台へ――

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