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~ マサミの休息 ~

戦いの合間に訪れる、ささやかな休息。

ケイトとの時間は、ただの憩いではなく、マサミが「素の自分」を見せられる大切なひとときだった。

笑顔と甘いプリンに彩られた日常は、やがて街の影に潜む現実へとつながり、未来への約束を生む。

ここから物語は、友情の温もりを礎に「社会的使命」へと歩みを進めていく。

 翌朝、ちょっとゆっくりめの朝食を済ませた頃にケイトさんが訪ねて来た。

「おはようございます。」

「ちょっと上がって、お茶でもしていきませんか?」


 わたしは、ケイトさんとのデートで気合を入れていた。

 そして、もうケイトさんの前では素のままでいたいので、セーラー服でお出迎えである。

「マサミさん、その恰好、とても可愛いですね」

「えへへ、本当はこの姿でいつもいたいのだけど。でも、冒険者としては今まで通り、仮面にローブ姿でいきますからよろしくお願いします。」

「まあまあ、その格好のほうがとても可愛らしいのに」

 細かい事情を話すとケイトさんは納得してくれた。


 お茶は昨日良い香りのハーブティーをチョイスし、そして、たぶんこの世界ではないであろうスイーツの王道、プリンを作りました。

「あら、これは美味しい、どこで買ったのですか?」

「へへ、わたしの手作りです。」

「すごい、おいしい、これならすぐにでもお店開けますよ。私通っちゃうかも」

「ケイトさんになら何時でもご馳走しますよ。」

 そんな他愛もない会話をしてから、街へ散策に出た。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――

【旅の寄り道コラム】


 プリンの作り方


 材料は、牛乳などのミルク、卵、砂糖、水、バニラエッセンス


 カラメルソースの作り方

  少量の水に砂糖を入れて茶色くなるまで煮詰めます。

  (この時、想像を絶する熱さになっているので、注意)

  その後適量の水で薄めるのですが、一気に水を入れると跳ねるので注意が必要。

  ※冷えてからでは薄めることができないほど硬くなってしまいます。


 プリン液の作り方

  ミルクと卵を混ぜ、丁寧に攪拌かくはんし、目の細かい網でします。

  バニラエッセンスを適量加え、混ぜます。

  ※卵のからざや、溶け残った白身などを取り除くことで滑らかな仕上がりになります。

  ※卵は新鮮なものを使わないと生臭さが残ってしまいます。


 仕上げ

  カラメルソースを適量容器に注ぐ

  プリン液がカラメルソースと混ざらないようにそっと注ぎます

  フライパンでも、鍋でも構わないので、蒸し焼きにします。

  ※この蒸し時間で硬さが調整できるので、お好みで時間調整します。

  冷やして完成です。


 上手につくるコツ

  作るときは何時も同じ容器を使うようにして、容量をほぼ同じにする。

  蒸し時間は自分で何度か作った結果で調整すると毎回同じようにできるようになります。

  ※魔法の箱(電子レンジ)でもつくれますが斑になるので一つづつ加熱しましょう。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


 二人で小物のお店や、可愛いものが売っている店を回りながらはしゃいでいると、なんかお姉ちゃんができたみたいでとても満たされていた。

 ケイトさんは当然年上なのだけれど、それ以前にわたしは、ケイトさんの肩くらいまでしか背がないので、傍目にみれば姉妹にみえるかもしれない。

「ギルドの制服じゃないケイトさんは、とても大人っぽくてなんかお姉ちゃんができたみたいです。」

 そういって、わたしは少し照れてしまった。

「マサミさんもとても可愛いらしくて、私一人っ子で姉妹がいないから、妹ができたみたいでとても嬉しいわ」

 それから二人で色々なお店を回ったり、街が一望できる高台へ案内されたり、こんなに落ち着いて街を回ると景色が違って見えてきた。

挿絵(By みてみん)

 ケイトさんは朝のプリンのお礼ということで、ケイトさんがいつも行っているカフェへ案内してくれた。

 ケイトさんおすすめのスイーツ、多種のベリーを使ったタルトとそれに合うハーブティーをご馳走してくれた。

「美味しかったです、ご馳走様でした。」

「マサミさんの口に合ってよかったわ」

 また二人で、街をぶらぶらと思いつくままに店に入っては色んなものを見て回った。


 夕方、日が落ち始めるころ、とても夕焼けが奇麗な所があると、連れられて行った。

先ほどとは違う高台で、ちょうど、城門の先に日が沈んでいく様が見える感じだった。


「ケイトさん、この街にも貧民街はあるんですよね」

 ふと綺麗な景色を見ていたらその裏にある街の闇の部分を思い出してしまった。

「そうね、とても残念なことだけど、貧富の差は埋められないわ」

 ケイトさんはちょっと寂しそうに語ってくれた。


「生まれや、育ちだけで差別されたり、仕事につけなかったり、様々な理由はあるけど、この街は大きすぎるのよ。良い面もあるけど、そういった貧富の差はとても埋められるような小さな問題ではなくなってしまっているの。貧民街では、食べ物がろくに無いから、病気の人も多いし、だから余計に働けない。そんな悪循環が蔓延っているわ。領主様もそういった貧民街に目を向けてはいるのだけど、賄いきれる人数ではないわ。健康な人であれば、軍に入ったりもできるのでしょうけど、健康面に問題があれば、それも叶わないわ。悲しいことだけど、私たちに何かできるような状態ではないのよ。」

 そうだよね。ずっと援助し続けられるわけでもないのに、中途半端な援助は結局苦しめる結果しか生まない。根本を変えられる何かがないとね。

 ケイトさんもこの街にいて、色んな事を見て知っているし、何かしてあげたいと思っても出来ないんだね。今のわたしも何も変わらない。


「ケイトさん、わたしね、今描いてる未来があるの。期待だけさせるつもりはないし、貧民街すべてを救う決定打にもならないのはわかってる。でも、できそうな段階になったら、ケイトさんにも知恵を貸してほしいの。お願いできるかな。」

「まあ、マサミさんはそんなことを何時も考えて行動してるの?」

「わたし、目の前で苦しんでる人がいたら手を差し伸べたい。助けたいって思うから。たった一人しか助けられなくても、自己満足でもいい、助けられる人を助けないことのほうが自分を許せなくなるから」

「マサミさんは強いのね。私にできることがあるなら言ってね。いつでも協力するから。」

 そこにはケイトさんの期待に満ちた、未来を見ている目があった。


 行く末を見守るかのような風がそっと二人の頬をなでていった。


ケイトと過ごした一日は、姉妹のような絆を深めると同時に、街の貧民街という現実を直視させた。

「たった一人でも助けたい」というマサミの言葉は、自己満足を超えて使命感へと変わりつつある。

夕焼けに染まる街を見下ろしながら交わした約束は、やがて大きな行動へと結実していくだろう。

静かな休息の裏に芽吹いた決意が、次なる試練の始まりを告げていた。

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