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~ 序章 ~

異世界ファンタジー。私が蒼井あおい みどりとして書いた初作品になります。

色々な想いや、メッセージを込めて書いています。

トランスジェンダー要素若干あり苦手な方はご遠慮ください。


これは、ひとりの「わたし」が世界の境界を越えて歩き出す物語です。

正しさや普通に馴染めなかった声が、異世界でどんな響きを持つのか。

少しユーモラスに、少し切実に──どうぞ肩の力を抜いて、最初の一歩を見届けてください。


 わたしはマサミ。

 誰かが決めた「普通」や「正しさ」に、うまく馴染めなかった。

 だから、世界を自分の目で見て、自分の言葉で語ることを選んだ。

 それは時に孤独で、時に勇気のいることだったけれど、わたしにとって、それが生きるということだった。

 わたしは、境界の外側にいる。

 性別や役割、常識といった枠の中では、呼吸が浅くなる。

 だから、わたしはその枠を越えて、自分の在り方を探し続けている。

 誰かの痛みに気づいたとき、わたしは立ち止まる。

 誰かの孤独に触れたとき、わたしはそっと寄り添う。

 それは、わたし自身の存在を肯定するための、大切な行為でもある。

 そして、わたしはセーラー服を着る。

 それはただの服じゃない。

 わたしにとっては、過去と今をつなぐ儀式であり、

 「わたしはわたしである」と静かに宣言するための象徴。

 その形と質感が、わたしの輪郭にぴたりと寄り添ってくれる。

 わたしの歩みは、いつも少し震えている。

 でも、その震えごと抱えて、わたしは前を向く。

 この世界に、わたしの声が届くことを信じて。

 それが、わたしの物語の始まり。


 わたしは、今、異世界と言われる所にいる。

 異世界って表現は、わたしの住んでた世界で一般的に言われていた言い方に過ぎない。でも、それ以外の表現方法をわたしは持っていないので、そう表現しておく。

 昔から、こういう異世界に入り込んでしまう、所謂、巻き込まれ体質だ。幼少の頃からよくいなくなる子として親からは認識されている。でも、夜には帰っているので、大きな問題にはなっていない。

 わたしにも不思議なのだが、戻ってくるときは、さほど時間が経っていない状態で戻ってくるらしい。長くても半日くらいだろうか。


 わたしは、昔からセーラー服に憧れていたので、学校を卒業してからセーラー服を愛用している。わたしのアイデンティティだ。

 学生時代にセーラー服を着ることはなかった。色々な事情があってのことだ。そのうち、そのあたりは話すことになると思う。


 今いるこの世界に来たきっかけを話そうと思う。

 わたしは、いつも通り、別に何かあったわけじゃないけど、大好きなセーラー服を着て、散歩に出た矢先だ。いきなり石につまずいたと思ったら、手をつく先に黒い穴があって、落とされた。

 いつも、異世界にくるのは同じようなパターンだ。もし、わたしを巻き込んでいる神様っぽい人がいるなら、ぜひもっと穏やかな方法で送ってほしいと思っている。

 いや、まって、できれば異世界に送るをやめてもらうべきか。


 それよりも、今回も自力で生きていくしかない状況にされちゃった訳だけれども、落ち方がひどい。いつも尻もちをつくように落とされる。ほんとに何とかして欲しいものである。

 紺のプリーツスカートも地面の土で汚れてしまうし。

 それと、これは一応配慮してくれているのだと思うけど、異世界でのスキルは毎回違うし、前に習得したスキルは引き継ぐことはできない。

 けれど、現地の人たちよりスキルの習得や向上が早いのが救いだ。

 あと、考え方次第で現地の人たちが使っていなかった魔法の使い方なんかもできるらしい。


 異世界に落とされることの怖さを知ってからは、色々と自分でサバイバルの方法やら、剣の使い方なんかを研究するようになった。

 もちろん本物を手にするのは異世界だけだけれども、訓練くらいはイメージトレーニングだけでも違うものだ。

 魔法もイメージだと思う。そこに、現地のスキルが加わると意外と強くなれるらしい。

 というか、強くならなければ、即終わりである。

 死ぬという経験はないので、異世界で死んだらどうなるのかまでは分からないし、知りたくもないというのが本音だ。

 死ぬような目には何度も遭っているが。


 さて、ここは多分森の中だよね。

 いきなり何もない状態で魔物みたいのにあったら危ないこと違いなしなので、わたしは耳をすまして、周りの気配を感じる。

 呼吸を整えると、周りがみえるような感覚でわかってくるのは、たぶん、異世界に来すぎてそういうスキルみたいなものになっているのだと思っている。

 名前をつけるなら、気配察知といったところかな。

 周りに殺気がある生物みたいなものはいなさそうとわかると、明るいうちに移動を開始する。

 途中、お約束の木の棒、これは必須だ。

 なるべく硬くて、でも振り回せるくらいの大きさと重さの物に持ち替えながら進む。

 川音を見つけて、川を下るように行くのがセオリーになっている。

 町がなかったとしても、水に困ることがないのが一番だ。


 初めて飛ばされた幼い時の悲しい思い出、それは水すら手に入らなくて、知識もなかったから泥水をすする羽目になったこと。

 これだけは避けないと腹痛でもおこしたら動けなくなるからね。

 水さえあれば、木の実はちょっとだけ口に含んで、直感的に嫌な味がしたらすぐに口をすすぐという習慣は身についているので、自力で食べられるもの、食べられないものを見分けるにはこれしかない。

 少量でも時々危ないものがあって、かなり苦しんだこともあるから、含む感じを決して飲み込んだり、吸収されない程度にするのが最初は大変だった。


 食べられそうでも、なるべく火を通したり、いろいろ工夫をしている。

 火を通すには、大きな葉っぱに水を入れて、火は木をこすり合わせるか、火打石のように火花の出る石をみつけられればそれを使う。

 石で木を砕いたり、綿毛のような植物を使うのも出来ればしている。

 その中でも注意しなければいけないことは、いくらでもある。

 火をつけたとたん、毒のような煙を出す植物や木、葉っぱにも水やお湯に溶け出す有害なもの、そういうのは一つづつ試してみるしかない。

 どれにしても、川などの大量の水が使えれば、大抵凌げるものだ。


 サバイバル技術は確実に向上し、異世界に落とされて最初の生き延びるための知識はかなり豊富になっている。

 そのせいもあって、最近落とされる異世界ではより簡単に村や人のいる所までたどり着けるようになったように思う。

 今回も、気配に注意しながら、小さいが村にたどり着けた。

 どんな出会いが待っているのか、今から楽しみである。

 村の人たちが友好的だと良いのだけど。

 あと、言葉の問題とかね。

挿絵(By みてみん)

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

マサミはまたしても異世界に落とされました。けれど、彼女にとってそれは「試練」であると同時に「自分を確かめる場」でもあります。


この序章は、まだほんの入口にすぎません。

次の章では、彼女が出会う人々や出来事が、正直さと孤独をどう揺さぶるのか──その始まりが描かれます。

どうか続きを楽しみにしていてください。


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