TSカリスマ美少女ぴゅあぴゅあアイドル、幼馴染み(女)に手籠めにされる
前世、病気のせいでぴゅあぴゅあなまま転生した元少年が、今世で憧れのアイドルになって頑張った結果、幼馴染に愛されすぎて襲われるお話。
頭空っぽにして読んでいただければ。
生まれつき体が弱かった。
学校にもほとんど行けず、青春と呼ばれる経験をしたことはなかった。
そんなボクの唯一の楽しみは、お父さんが買ってくれたゲームだった。
ゲームはすごい。体をあまり動かせない自分でも、さまざまな世界でいろんな物語を自由に、精一杯生きることができた。
その世界でボクは、悪に立ち向かい姫を救い。竜の背に乗って空を飛び。スパイとなって秘密を探り。トレジャーハンターとなって遺跡を探索し。学生となって恋をした。
でもボクが一番好きなゲームは、プロデューサーになってアイドルを育てる物語だった。
素敵なアイドルの卵たちを裏でも表でもサポートし、世界で一番輝くスターにするために奮闘するそのゲーム。ゲーム性もさることながら、キャラクターたちの魅力にすっかりとはまってしまった。彼女たちはステージで輝く裏で、血のにじむような努力と、さまざまな苦難に立ち向かっており、その姿に何度も涙を流し、「自分も負けられない」という気持ちにさせられた。
特にカリスマ美少女ギャルアイドルの「瀬名キララ」は、ボクにとっての最推しとなった。
美しく光沢を放つ赤みがかった金髪。白く透けるような肌。均整のとれたプロポーション。少しつり上がった猫目。スッ通った鼻筋。これらを自身のメイク技術でさらに磨き上げている。
胸と身体が小さめであることが若干のコンプレックス。それでも自分の容姿に絶対の自信を持つ彼女の口元は、いつだって挑戦的につり上がっている。
おしゃれで。誰とでもしゃべれて。ムードメーカーで。少し気分屋で。大人のプロデューサをからかうこともある、小生意気な高校生。けれどその裏で、親からのプレッシャーに苦しみ、自信の持てない自分を、努力という服で必死に覆う健気な少女だった。
その姿に。その心のあり方に。ボク自信の心を救われたと、本当にそう思う。
そんな最推しの彼女にボク自身が生まれ変わったことに気がついたのは、十歳くらいのころだった。
特にこれといったきっかけもなく。朝起きて。ご飯を食べて。歯磨きをしているときに、ふわっと前世を思い出した。死んだときのことははっきりと思い出せなかったけど、長生きできない身体だろうことは察していたので、驚きは少ない。年齢も高校生にはなるかならないくらいだったと思う。
それより問題は、女の子に転生していること。しかも最推しの瀬名キララになっていることである。
これまで女の子として当たり前に出来ていたことが、男としての記憶を思い出したことで問題が発生してきた。前世でずっと病院暮らしだったボクが、突然明るく元気な女の子になってしまったのだ。今世の記憶もあるとはいえ、ギクシャクしてしまうのは仕方がないことだ。特に女の子に対する耐性があるはずもない。たとえ十歳といえど、近くにいてドキドキしてしまうようになった。
とはいえボクは憧れの最推し、瀬名キララになったのだ。いずれカリスマ美少女でトップアイドルになる彼女を、ボクという記憶のせいで落ちぶらせる訳にはいかない。
ボクは一念発起。前世で読み込んだ彼女の公式情報を思い出し、できる限りあの彼女に。ボクの大好きな瀬名キララに成れるように全力を尽くした。
健康的な生活はもちろん。運動も。ダンスも。歌も。勉強は……本来のキララは苦手だったけど、楽しくって頑張り過ぎてしまった。
他にも、本来の彼女を思い出しながらコミュニケーションを磨き。ファッション雑誌を読み込みセンスを磨き。大変ではあったが、やはりポテンシャルは高いらしく、ぐんぐんと理想の彼女に近づくことが出来た。
なによりも前世とは比べものにならないほど身体が動く。努力すればするほど、出来ることが増えていく。生きることがこんなにも楽で。楽しくて。キラキラしていて。
何も出来ない辛さを知っているからこそ感じるこの奇跡を、ボクは一生懸命に走り続けることが出来た。
そしてボクは、同じグループの三人の仲間とともに、トップアイドルに登り詰めたのだッ‼
@@@
ゆっくりと意識が浮上する。ゆるゆるとまぶたを開く。
ぼやけた視界。知らない天井。ここはどこなのか。その答えを探そうとして――
「あ、ようやく目を覚ましたね、キララちゃん」
聞き慣れた声に目を向ければ、思わず二度見してしまうほどの美少女。
「アオイ……」
同じアイドルユニットのリーダーで幼馴染みの桜坂アオイが、ボクの顔をのぞき込んでいた。
とっても真面目で頑張り屋。ちょっと無理しすぎたり、何でも背負い込んじゃう悪い癖もあるけれど。高校生ながら「可愛い」ではなく「美しい」と評される彼女は、心も身体も美しい。そのくせ同じ歳とは思えないほど、その……りっぱなお胸をお持ちである。まるで、男の夢を詰め込んだような少女だ。本来ならキララの幼馴染みなんて設定はなかったのだが、色々あってかれこれ七年の付き合いになる。
そんな彼女をぼうっと見つめる。彼女の自慢のつややかな黒髪が、ボクの頬をやさしくなでてきて、なんだかこそばゆい。
「……そんなに見つめられると、照れちゃうな」
「ッ‼ ご、ごめん!」
頬を桜色に染めた彼女に言われ、はっとして目をそらす。ついつい見惚れてしまった。その事実を自覚して、急に羞恥心がこみ上げてくる。顔が熱い。ついでに思考も動き出してきた。
「と、ところでここは?」
確か今日は、オリコンチャート一位を初めて獲得し、名実ともにトップアイドルとなったお祝いに、事務所のみんなでパーティーをしていたはず。
「覚えてないかな? キララちゃん、パーティーで間違えてお酒飲んじゃったんだよ? で、すっかり酔っちゃったから、仕方なく私が連れ帰ったの」
「そ。そうだったの?」
記憶は曖昧だ。ただ、なんだか異様に気分が高揚して、涙腺が緩んで……そういえば、だいぶ小っ恥ずかしいことを言っていた気が……
「キララちゃん、可愛かったよ~。ふふ、酔うとあんな感じになるんだね。でもこれからは、私の前以外では飲んじゃだめだからね」
「ええ? それってどういう――――」
――――カシャン。
「――――へ?」
聞き慣れない音に。身体を引っ張られる感覚に。ようやくボクは自分の状態を正しく理解して。
「な、ななななんじゃこりゃぁあああっ‼?」
ボクは知らないベッドの上で、手足を縛られ拘束されていた。
訳のわからない状態に、疑問を視線でアオイに向ける。その先で、彼女の口元が妖艶に弧を描く。これまで感じたことのないほどの。ぞくりとするほどの。
「キララちゃん……いいえ、キララが悪いんだよ」
「へ?」
言っている意味が、わからない。
「キララはね、私のヒーローなの。私だけのヒーローなの。小学生の時いじめられて、誰にも言えなくて。そんな私を偶然会っただけのキララが、違う学校なのに乗り込んでくれて、助けてくれた」
ゲームではいじめられた過去を持つアオイ。最推しはキララだったけど、他のキャラクターも大好きだったボクは、当然それを覚えていた。そして記憶を取り戻した十歳の頃、いままさにアオイが苦しんでいることに気がついたボクは、放っておくことが出来ず。無我夢中で彼女を助けてしまった。
おかげで彼女のいじめられたという苦い記憶はほとんどなく、代わりに「キララの幼馴染み」という本来はなかった設定が生まれてしまった。
「でも、私だけじゃなかった。アイドルになる前も。なってからも。普段はワガママぶって、自己中みたいな振りして。でも、誰かが苦しんでいたらすぐに駆けつけて。無理して無茶して。そうして最後は、助けちゃう」
「そ、それは……」
だってそれは。ゲームならそれは、プロデューサーがなんとかするはずなのだ。きっとアイツがなんとかしてくれるって……そう信じて我慢していたのだ。それとなく伝えたり。それとなく誘導したり。できる限りのことをやったのだ。やったのだけど。
あんなに辛そうな顔しているのに。明らかに落ち込んでいるのに。アイツ何ッッにもしないんだよ‼ みんなのこと全ッッッッッッ然気づきもしないんだよッ‼
だから、しょうがなかったんです‼ わざとじゃないんです‼ 全部プロデューサーがポンコツなのが悪いんですッ‼‼
――――なんて、言えるはずもなく。
「だからみんな、キララが大好きになっちゃったの。だから悠長に――外堀を埋めてからなんて言っていられなくなったの。だから、酔ったキララを家に連れ帰る振りをして、ホテルに連れ込んだの」
そう言うとアオイの身体から、重力に従ってするりと服が落ちていく。
急な展開について行けず。それを脳が理解した瞬間、堅く目を閉じたものの、彼女の美しい姿が脳裏にバッチリ焼き付いてしまった。一気に体中が沸騰する。
「って、ななななななんて格好しているのッ‼ ははははやく、はやく、ふくを。服を。福を? 福をきききききにゃしゃいぃぃいいッ‼」
「あらら、顔を真っ赤しちゃって。かわいー。ふふ、私知ってるよ。キララはすごく大人で経験豊富な雰囲気出しているけど、本当はとってもウブだもんね。成績優秀なのに、保健だけは唯一赤点だし。異性どころか同性の私たちの裸だって、恥ずかしくって見れないもんね。絶対に私たちの着替えは見ないし。お風呂も一緒に入ったことないもんね。それに――――一人でしたこともないんでしょ?」
「しょ、しょれはっ!?」
あ、憧れの最推し瀬名キララの身体で、そそそそんな破廉恥なこと、出来るわけないじゃん‼ いくら今が女だからって、やっちゃダメじゃん‼ 前世でだって、病気のせいでそれどころじゃなかったし‼ ちょこっと知識はあるけど‼ 興味だってそりゃぁあるけど‼ というか、一人でのこと、なんで知ってるのッ!?
「ねえ、キララ」
「おおお落ち着いてアオ――――」
「好き。大好き」
「――――っ‼!?!?‼????」
「もちろん。友達としてじゃない方だよ?」
「ボ、ボ、ボボボクは……ボクは……」
「ふふ、慌てると自分のことを「ボク」って言う癖、出ちゃってるよ? ごめんね。本当はウブでぴゅあぴゅあなキララとゆっくりと関係を深めていきたかったけど、もう時間がないの。大丈夫。私に任せてくれれば、きっと気持ちよくなれるよ。私も初めてだけどいっぱい予習してきたからね。さあ、私と一緒に――――」
ペロンと、ボクの服がめくれ上がる。思わず開いた視線の先で、彼女の舌が。妖しく。なまめかしく。自身の唇をねぶって。
「ああ、素敵。夢にまで見た、キララの――――とっても、キレイね」
「ちょッ、ア、アオイッ‼!? まままままって。まってまってまってまってまって――――――――――――――――――――ひょぇえええええええええええええッッッッッッッ………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………ぅにゃぁっ」