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六色のハートビート

作者: 桐ケ谷アスナ

高校二年の春、俺、佐藤悠太の日常は一変した。親の再婚で、突然「六つ子の姉妹」と同居することになったのだ。「おい、悠太!荷物そこに置くな!」赤い髪を振り乱して怒鳴るのは赤羽紅音。バスケ部のエースで、熱血すぎる長女だ。「効率的に考えれば、玄関は最適かと」クールに言い放つのは青葉蒼。青髪の生徒会長で、頭がキレすぎる次女。「ねえ、悠太!ここのお菓子美味しいよ!」黄色いリボンを揺らし、笑顔で絡んでくるのは黄瀬柚。明るすぎる三女だ。「えっと、悠太君…お茶でも淹れるね」緑のエプロンで微笑むのは緑川碧。癒し系の四女で、声まで優しい。「ふぅん、君が悠太か。興味深いね」紫の瞳でじっと見つめるのは紫苑菫。芸術肌の五女で、ミステリアスすぎる。「悠太ぁ!抱っこー!」白いワンピースで飛びついてくるのは白石雪。甘えん坊の末っ子だ。六人六色、個性がぶつかり合って、俺の平穏は初日から崩壊した。数週間後、文化祭が近づいてきた。六人が突然、リビングに集まり、俺に宣言した。「悠太、私たちね、文化祭で告白するから!」紅音がニヤリと笑う。「論理的には、その方が効率的よね」蒼が冷静に頷く。「えへへ、私が一番目立っちゃうよ!」柚がウインク。「えっと…私も頑張るね」碧が頬を赤らめる。「心のビートがそう囁いてるの」菫が詩的に呟く。「悠太、私のこと見ててね!」雪が目を輝かせる。「……は?」俺は固まった。一日で六人とデートして、告白を受けるだと?文化祭前日、最初のデートは紅音だ。体育館でバスケの練習を見せられた。「悠太、ちゃんと見てろよ!」紅音はシュートを決めるたび、こっちをチラ見。でも、練習試合で負けた瞬間、彼女はベンチでうつむいた。「負けるの…嫌いなんだ。あたし、姉妹を引っ張らなきゃって」ポツリと呟く紅音。目が赤い。「でもさ、紅音は頑張ってるよ。それでいいじゃん」俺が言うと、彼女は立ち上がり、勢いで抱きついてきた。「悠太には…負けてもいいかなって、思う時あるよ」顔が真っ赤で、すげえ可愛かった。次は蒼。図書室で一緒に資料整理だ。「無駄な動きはしないでね。効率が大事」蒼は淡々と指示を出す。でも、本棚の奥で小さなアルバムを見つけた。「これ…家族の写真?」俺が聞くと、蒼の手が止まる。「昔、失ったの。感情は邪魔だと…そう思ってた」声が震えてる。「でもさ、蒼の笑顔、すげえいいよ」俺が言うと、彼女は初めて笑った。「悠太といると、心が変になるの。論理じゃ説明できない」その笑顔が、俺の頭から離れなかった。柚は屋上でデート。弁当を広げて、笑いながら絡んでくる。「悠太、私って目立ってるよね?ね?」ウインクがうざ可愛い。でも、風が強くなった時、柚が急に黙った。「昔さ、誰も見てくれなくて…寂しかったんだ。だから目立つの」涙がこぼれてる。「柚は十分目立ってるよ。俺、ちゃんと見てるから」俺が言うと、彼女は泣きながら笑った。「悠太には隠せないよ…本気になっちゃうよ」その声の震えが、すげえ愛おしかった。碧は校庭の花壇でデート。花に水をやりながら、優しく微笑む。「悠太君、花って癒されるよね。私、好きなんだ」碧の声は穏やかだ。でも、花の名前を教えてる時、彼女がポツリと言った。「お母さん亡くなってから、私、弱くて…守れなかった」目が潤んでる。「碧は優しいよ。それで誰かを守れるよ」俺が言うと、彼女は俺の手を握った。「悠太君がそばにいてくれるなら、私、強くなれるよ」その温もりが、すげえ心地よかった。菫は美術室でデート。キャンバスに絵を描きながら、俺をチラ見。「君はどんな色に見えるかな。興味深いよ」菫の言葉は詩みたいだ。描き終わった絵を見せてくれた。俺と六人が色鮮やかに描かれてる。「昔から、誰も分かってくれなくて…孤独だった。でも、悠太は違う」菫の瞳が揺れる。「菫の絵、すげえよ。俺、分かるよ」俺が言うと、彼女は涙をこぼした。「悠太は私のキャンバスに色をくれた…消えない色を」その言葉が、心に響いた。最後は雪。教室で工作デートだ。紙を切って、楽しそうに笑う。「悠太、折り紙上手いね!私、もっとやりたい!」雪の笑顔は無邪気だ。でも、ふと彼女が呟いた。「姉妹がバラバラにならないように、私、頑張ってるんだ。頭いいって言われるけどさ」意外な一面だ。「雪のおかげで、みんな繋がってるよ」俺が言うと、彼女は飛びついてきた。「悠太が笑ってれば、みんな幸せだよ。私、頑張るからね!」その純粋さが、眩しかった。文化祭当日、夜の校庭で六人が集まった。紅音が赤いマフラーを渡してきた。「あたし、悠太にこれを巻いてほしいな」蒼が青いペンを差し出す。「悠太に使ってほしい。私の気持ちも込めたから」柚が黄色い飴を握らせる。「これ、私の甘さだよ。食べてね?」碧が緑の花をくれる。「悠太君に似合うと思って…受け取って」菫が紫の絵を渡す。「私の心だよ。悠太に預けるね」雪が白い手紙を差し出す。「悠太、大好きだよ。読んでね!」六人の「色」が俺を包む。俺は言った。「みんなが大事だよ。家族として、ずっとそばにいたい」六人が笑った。夜空に花火が上がって、俺たちのビートが響き合った。

END



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